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地方と家賃。家賃高騰は地方の街にも及んでいるのか? 地方の「小さな都会」物件に投資する際の注意点

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賃貸物件への投資を考える際、首都圏など大都市圏のオーナーのなかには地方の物件を選択肢に入れる人も少なくない。高い利回りという見逃せないメリットがあるからだ。なお、地方の物件といっても、それが建つ街の規模はさまざまだ。当記事では、政令指定都市よりもコンパクトで、かつ、三大都市圏の外に散らばる「小さな都会」――地方の中核市クラスの街に焦点を当てて、投資のヒントを掲げていく。

家賃高騰の波は及んでいるのか?

中核市クラスの地方都市物件への投資となれば、投資家である賃貸住宅オーナーがまず気になるのはこのことだろう。現在、首都圏等に押し寄せている家賃高騰の波はそれらの街にも及んでいるのか?

結論から言えば、目下首都圏など大都市部で進行中の家賃の高騰、あるいは急上昇といえる状況は、地方の中核市クラスの街までは及んでいない。たとえば、九州最南端の拠点、鹿児島市だ。県庁所在地であり、政令指定都市並みともいえる人口約5 8万人を擁する街だが、家賃相場を調べていくと、投資の対象となりやすい単身・カップル向けを中心に、ここ1年半ほど数字はほぼ横ばいだ。

県庁所在地ではないが、隣接する岡山市とともに中国地方最大ともいわれる都市圏を形成する倉敷市(人口約46万人)でも、家賃が目立って上がっている様子はない。現状、やはり横ばいに近い状態が見て取れる。

金沢市はどうだろう。人口は約45万人。倉敷市と同じくらいだが、こちらは北陸地方の中心として拠点性が非常に高い。県庁所在地であり、内外からの旅行客需要で賑わう国際観光都市のひとつでもある。この金沢市からは、近ごろ家賃は上がり気味とのデータが拾える。だが、それでも同じく国際観光都市であり、大阪圏内の政令指定都市である京都市から聞こえてくるような話は聞かれない。それは「ここ1年で単身用だと10%くらいは家賃が上がった」といった声だ。

次いで、金沢市に近いキャラクター(旧城下町の資産等を活かした大型観光都市であり県庁所在地)を持ち、かつ近い人口規模(約50万人)を誇る四国の松山市を見てみよう。こちらでは家賃は横ばいか、あるいは微妙な下落傾向に転ずる可能性も窺える。

東北、北海道はどうだろうか。仙台市に次ぐ東北地方の隠れた都会ともいわれる郡山市(人口約31万人)にあっても、横ばいが続く様子はやはり変わらないようだ。札幌市に次ぐ北海道第2の街、旭川市(人口約31万人)の場合は、横ばいの見方とともに今後はおそらく下落に向かうとの声も聞こえてくる。

以上、過熱する三大都市圏(首都圏・名古屋圏・大阪圏)を除く、全国各地の主だった中核都市を紹介してきた。報道などで「上がり過ぎ」「危険水域」などとも叫ばれるわが国家賃の高騰は、こうして見ていくと要は大都会に限られたものといっていい。これらエリアから一定の距離を隔てた地方の中核都市クラスの街までは広がっていないというのが、多くの方々も察するであろう実情となる。

ちなみに、視点をやや移して、三大都市圏の縁(へり)に位置するような街はどうなのだろうか。たとえば、人口約51万人を誇る北関東(群馬・栃木・茨城)最大の都市、宇都宮市だ。東京へ通勤している人も少なからずいることで知られるこの街だが、家賃は現在上昇傾向にある。東京・首都圏からの波がこの辺りまでは及んでいるといったところだろう。もっとも、波の高さは風上(東京とその周辺)に比べて低く、グラフにしても折れ線の角度は平均して緩やかだ。

人口が減っている国での自然な風景

以上のような、三大都市圏の外に散らばる小さな都会――地方の中核市の現状だが、これらについて押さえておきたい事実がある。それは、現在人口が増えている街はこのなかには皆無ということだ。

国によるいわゆる中核市制度に基づき、現在、中核市として全国62市が指定されている。このなかには千葉県の船橋市や大阪府の吹田市といった、大都市圏の中心に位置する街も名を連ねている。よって、こうした街のいくつかでは、圏内中心部への人口集中に乗るかたちでの人口増加が見られる。だが、それ以外にあってはそうではない。先ほど挙げた鹿児島市、倉敷市、金沢市、松山市、郡山市、旭川市はいずれも地方における小さな都会であり、あるいは拠点とされる街だが、どこも人口は減っている。具体的には、2020年国勢調査において判明した人口に比べ、25年分(速報値)については、すべてが9千人台から2万人超といった範囲でその数を減らしている。そのうえで、これはまったく不思議なことではない。現状、国全体の人口を急速に減らし続けているわが国においての、これらは当たり前の風景であるにほかならない。

「地方の小さな都会」物件のメリットとデメリット

さて、そんな地方の街々であっても、そこにある賃貸物件へ投資しているオーナーや、それをこれから行おうとしているオーナーはたくさんいる。「人口」というマーケットの根底部分において、将来性が常に下がっていく不安なエリアであるにもかかわらず、彼らは賃貸住宅経営という時間的スパンの長い投資に挑んでいる。だが、これは一概に無謀なこととはいえない。一部を除いて、これら投資家たちは、リスクとメリットを事前にしっかりと学び、計算に入れて堅実な投資を行っている。

まずは、そのメリットだ。挙げたような地方の街においては、通常、利回りが高い。物件を安く買えるからだ。もっとも、それと引き換えに家賃は大都市圏に比べて下がる。しかしながら、物件価格ほどの落差は通常生じない。なぜなら、いわゆる家賃の粘着性――動きにくさ、変化のしにくさ――は、大都市部と地方との相場の差においても見られるからだ。ここがポイントだ。通算しての利回りが上がることになる。そのため、オーナーはキャッシュフローを浮かせやすくなるのだ。次なる投資のための資金も貯めやすくなる。のみならず、修繕等の急な問題にも対処しやすくなる。と同時に、入居者へのサービスレベルも上げやすい。いかがだろう。すなわちこの時点で、低い利回りに難渋している都会のオーナーから見れば、まさに垂涎の環境がそこにあるといったかたちになるわけだ。

一方、デメリットも存在する。それは大都市圏の物件に比べ、地方の物件は概して資産性に劣るということだ。理由の多くは当然ながら大都市圏に比べて安い土地価格にある。そのうえで、地価の下落が速いエリアにあるなど、このデメリットがより多くの比重を占める物件ほど、高利回りのメリットが相殺されやすい。結果、デメリットとメリットのいずれが上回ったか、投資の成否については、いわゆる出口のところで物件を売却することによって示される。その時点までの賃貸経営は、たとえ毎月の収支が堅調であったとしても、一貫して気の抜けないものになるわけだ。

投資成功のためのヒント

以上のように、それぞれ大きな「メリット・デメリット」が同居する地方の小さな都会の物件への投資だが、これを成功させているオーナーはどのような点に気をつけながら事に臨んでいるのだろうか。具体的なポイントを挙げていこう。

1.現地をよく知る

成功しているオーナーは、現地を知る努力を怠らない。そのうえで、まず知るべきはその街のポテンシャルだ。大学、企業などがバランスよく立地しているか、交通機関の充実度はどうか、周辺地域から人が集まる核(コア)となっているか、さらには、それらが長く維持されそうな街なのかといった点を見極める。コアであり続ける街では、第3次産業の賑わいも維持されるため、それらで働く人々による市場もそれなりに厚い。賃貸マーケットの縮小が長期にわたって抑えられる可能性が高くなるということだ。加えて、優秀なオーナーは現地の仲介会社、管理会社などを訪ね、街の各エリアの情報をくまなく拾うなどする。駅から遠くとも、車社会ゆえ賃貸ニーズが手堅いエリアの存在を知ったり、その逆(駅近だが寂しい)を発見したりする。さらには騒音リスクや治安リスク、災害リスク等が心配な地域を把握したりもするわけだ。

中核市クラスの都市のなかでもより小さな都市を投資の対象とする場合、賑わう街としての余命が短い可能性が高くなる。そのため、以上のようなリサーチはさらに重要になってくる。

2.利回りに釣られない

高い利回りが地方の物件のメリットといっても、それに釣られてニーズの乏しいエリアの物件や、車移動が中心なのに駐車場が無い物件など、不利な物件を選んでしまうのは禁物だ。当然だが、利回りは部屋がきちんと埋まり続けてこそ成立する仮定の数値にほかならない。そのため、派手な数字に釣られての物件選びをすると、地方では出口の売却で困るケースがより生じやすい。市場が小さく買い手が少ない、不利な物件であることが狭いマーケットのなかで知れ渡っているなど、思ったような値段では売れなくなる可能性が高いということだ。

結果として大幅な値下げに追い込まれ、積み重ねた利回りのメリットが吹き飛んでしまうような事態はぜひ避けたい。

3.一本足打法を警戒する

地方に限らないが、多くの人が集まる大学や施設、企業が単独に立地していることで、いわば局所的に周辺での賃貸ニーズが維持されているケースもある。あるいは、一定の数の企業が集まっているといっても、それらはほとんどが一個の会社を取り巻く関連の事業所といった場合も同じことがいえるだろう。こうした環境は構造としては地方に生じやすいはずだ。これに依存する賃貸経営は原則避けたい。確固たる見通しや出口戦略があるならともかく、そうでなければそれら企業等の撤退とともに市場が消滅するおそれがある。

4.出口戦略を常に練っておく

繰り返しになるが、地方においては政令指定都市に迫るような大型の中核市であっても、人口という、賃貸市場の根底部分が少しずつ崩れていく。

よって「逃げ道」と「逃げ時」を踏まえない投資をすべきではない。当初の段階から出口戦略をしっかりと描いておくことだ。

なお、地方の物件への投資をすでに経験しているオーナーは少なからずご存じと思うが、大都市圏のオーナーが居住地から離れた地方の物件に投資する場合、融資の獲得に苦労することも多い。懇意の金融機関が地方のマーケットの先行きを懸念したり、あるいは、現地の金融機関が地元の借り手以外への融資に躊躇したりといったことも起こりうるからだ。

すなわち、そこでは貸し手探しや、融資の条件にこちらがどう対応するかなどの「入口戦術」も重要になってくる。

5.頼れる管理会社を見つける

少し前まで、賃貸物件への投資は、オーナー自身が環境をよく知る地元以外、もっといえば歩いて回れるご近所以外で行うべきではないなどとよく言われていた。その「戒め」はいまも基本として間違いではないが、一方で、現在は賃貸住宅の世界に投資型のプレイヤーが増えたことで、管理会社等、それを受け止める側の態勢も変わってきている。そのため、この記事も昔のように渋い話ばかり並べずに済んでいる。

そこで、最後のヒントだ。オーナーの目が届きにくい、地方にある物件をしっかりと見守ってくれる、頼りになる管理会社選びに注力せよということだ。そのために、可能ならばオーナー同士のネットワークを利用できるとよいだろう。

相手の居場所が遠いのをよいことにだらしない仕事をする会社もまだ少なからずあることを忘れてはならない。だらしないどころか、投資家を脇の甘い都会の金持ちと見て、こっそり甘い汁を吸おうとする者もいる。注意は決して怠らないようにしたい。

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この記事を書いた人

編集者・ライター

賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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