あなたの所得は平均に近い? それとも中央値? 国民生活基礎調査の結果が公表

2026/08/03
単独世帯・高齢者世帯、共に過去最高
先般7月15日、厚生労働省から2025(令和7)年「国民生活基礎調査」の結果が公表されている。
- 「単独世帯は1947万7千世帯で過去最高(前年は1899万5千世帯)。なおかつ、その割合は全世帯の35.4%で、こちらも過去最高(前年は34.6%)」
- 「高齢者世帯は1754万6千世帯で過去最高(前年は1720万7千世帯)。なおかつ、その割合は全世帯の31.9%で、こちらも過去最高(前年は31.4%)」
- 「児童のいる世帯は917万4千世帯で少し増加(前年は907万4千世帯)。その割合は全世帯の16.7%で、前年(16.6%)より0.1ポイント増」
- 「高齢者が単独で暮らす世帯は933万5千世帯で過去最高(前年は903万1千世帯)。高齢者世帯におけるその割合は53.2%で、前年(52.5%)より0.7ポイント増加するも、こちらは意外にも調査初年(1986年・54.2%)より少ない」
―――なお、最後の「86年より少ない」だが、当時は高齢者世帯の数自体が現在の1/7以下という(236万2千世帯)、現在とは違う世界が広がっていたうえでの数字となる。
そのほか、いくつか目に付く内容をひもといていこう。
(本調査において高齢者世帯とは、65歳以上の人のみで構成されるか、またはこれに18歳未満の人が加わった世帯)
「働く母」が8割超
「児童のいる世帯」における母の仕事の状況をみると、「仕事あり」の割合が81.2%となっている(前年80.9%)。
前年に、比較可能な04年以来、初めて8割を超えたものが、今回はわずかながらさらに数字が伸びている。なお「児童」とは、この調査においては18歳未満を指す。
内訳を覗いてみよう。
| 項目 | 今年 | 前年 |
| 正規の職員・従業員 | 34.7% | 34.1% |
| 非正規の職員・従業員 | 35.8% | 36.7% |
| その他 | 10.8% | 10.1% |
| ―――以上を合わせて | 81.2% | 80.9% |
| 仕事なし | 18.8% | 19.1% |
このとおり、家庭以外でも働くお母さんは、いまはごく普通の存在となった。
なおかつ、母・主婦の仕事といえば多くは「パートさん」だった時代もいよいよ過ぎ去り、現在は、正規と非正規の割合が上記のとおり拮抗している。
所得は増えても「生活が苦しい」は6割を割らず
「児童のいる世帯」へ、さらにフォーカスしていこう。
以下は、同世帯における1世帯当たり平均所得金額の推移だ。カッコ内に全世帯の平均も添える。
| 年 | 平均所得 | 全世帯平均 |
| 2015年 | 707.6万円 | 545.4万円 |
| 2016年 | 739.8万円 | 560.2万円 |
| 2017年 | 743.6万円 | 551.6万円 |
| 2018年 | 745.9万円 | 552.3万円 |
| 2019年 | (20年の調査が実施されなかったため未詳) | |
| 2020年 | 813.5万円 | 564.3万円 |
| 2021年 | 785.0万円 | 545.7万円 |
| 2022年 | 812.6万円 | 524.2万円 |
| 2023年 | 820.5万円 | 536.0万円 |
| 2024年 | 857.3万円 | 575.2万円 |
このとおり、直近のデータとなる24年の857.3万円という数字は、これを含む過去10年間において最高のものだ。15年の数字と比べると、約150万円のプラスとなっている。
ただし、こちらも見てみよう。
児童のいる世帯における「生活意識」の状況だ。
| 項目 | 今年 | 前年 |
| 生活が大変苦しい | 27.6% | 33.9% |
| 生活がやや苦しい | 33.9% | 30.4% |
| ―――以上を合わせて | 61.5% | 64.3% |
| 普通 | 32.8% | 30.6% |
| ややゆとりがある | 4.8% | 4.6% |
| 大変ゆとりがある | 0.9% | 0.6% |
このとおり、所得が大きく増えつつも、「生活が苦しい」の割合は半数を未だかなり超えている。主な理由は当然ながら、近年の物価高とそれにともなう生活費の増加ということになるだろう。
子どもをもつ世帯すなわち、支出が何かとかさむ世帯だ。物価高騰の影響が如実に表れた数字といえそうだ。
世帯の所得の平均は近年最高。しかし、中央値は大きく下がる
さきほどチラリと掲げたが、今回の国民生活基礎調査において、全世帯の平均所得金額は575.2万円となっている(24年の所得)。前年の536.0万円から一気に上がったかたちだ。
そのうえで、この575.2万円というのは、あくまで平均値となる。高額な所得を手にしている人の数値に引き上げられることにより、この数字は、現在、多くの人が平均的と感じているであろう値―――実感値よりも、おそらくかなり高いものとなっている。
そのため、全てのデータを並べた上での真ん中の値―――中央値となると、平均値よりも124万円ほど低い451万円に下がる。こちらこそが、実感としての平均に近いだろう。
なお、中央値よりもさらに少ないレベルとなる、所得400万円までの人にあっては、
| 100万円未満 | 5.8% |
| 100万円以上200万円未満 | 12.2% |
| 200万円以上300万円未満 | 13.5% |
| 300万円以上400万円未満 | 13.0% |
合わせて44.5%にのぼっている。
そのうえで、中央値を含む「400万円以上500万円未満」の割合は9.6%で、これを上記に足すと54.1%となる。まだ前述の平均値に及ばない段階だが、ここで数としては5割を超えてしまうわけだ。
そこで、さきほど「児童のいる世帯」のところで出た、「生活が苦しい」の割合を見返そう。
全世帯での数字はこうなっている。
| 生活が大変苦しい | 23.2% |
| 生活がやや苦しい | 32.2% |
| ―――以上を合わせて | 55.4% |
このとおり、世帯の所得金額が「中央値辺り以下」の世帯の割合(54.1%)と、上記の55.4%は非常に近い。両者、つながりが濃いものと見てよい数字だろう。
約4割が通院者。高齢者では7割近く
今回の国民生活基礎調査では、3年ごとに行われる大規模調査が実施されている。
そのため、調査項目がいくつか増えているが、このうち注目したいデータをひとつ紹介したい。
傷病で通院している人の割合―――通院者率だ。
この数字は、初めてこれを知った人、特に30代以下の若い人たちなどからはよく驚かれる。前回そうであり、今回もそうだろう。
まずは、かいつまんで記そう。
- 「わが国では現在、65歳以上になると7割に近い人が通院者となる」
- 「75歳以上に限れば7割を超える」
- 「60代ですでに5割を超え、6割近くがそうなっている」
- 「50代に下がっても約4割が通院者だ」
こうしたことの影響により、総数に対しては約4割が通院者となっている。
なお、傷病別にみると、男女ともに「高血圧症」での通院者率が最も高い。次いで、男性では糖尿病が続く。女性では、脂質異常症(高コレステロール血症等)が続く。これら、併せて代表的な生活習慣病となる。
以下、年齢階級別の通院者率だ。
| 9歳以下 | 102.1人 |
| 10~19歳 | 124.8人 |
| 20~29歳 | 142.0人 |
| 30~39歳 | 204.9人 |
| 40~49歳 | 272.7人 |
| 50~59歳 | 401.2人 |
| 60~69歳 | 568.8人 |
| 70~79歳 | 690.5人 |
| 80歳以上 | 705.8人 |
| 65歳以上 | 678.6人 |
| 75歳以上 | 707.6人 |
| 総数 | 409.2人 |
長寿はもちろん多くが望むところだが、できれば健やかにそれを享受したいものだ。
高齢者医療等に費やされるコスト、社会の負担という面からも、長生きと健康を両立させつつ暮らす人の数を増やすことは、個人にとっても、国にとっても、目下の重要な課題にほかならない。
今回の国民生活基礎調査については、下記で結果をご覧いただける。
(文/朝倉継道)
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この記事を書いた人
コミュニティみらい研究所 代表
小樽商業高校卒。国土交通省(旧運輸省)を経て、株式会社リクルート住宅情報事業部(現SUUMO)へ。在社中より執筆活動を開始。独立後、リクルート住宅総合研究所客員研究員など。2017年まで自ら宅建業も経営。戦前築のアパートの住み込み管理人の息子として育った。「賃貸住宅に暮らす人の幸せを増やすことは、国全体の幸福につながる」と信じている。令和改元を期に、憧れの街だった埼玉県川越市に転居。

























