2025年度「住宅市場動向調査」―――減らない「家賃の負担感」

2026/08/18
国交省が25回目の「住宅市場動向調査」結果を公表
この7月に、国土交通省が令和7年度(2025年度)「住宅市場動向調査」の結果を取りまとめ、公表している。01年度より続く調査で、今回が25回目だ。当記事では、このうち「民間賃貸住宅に関する結果」部分から、いくつか目につくところをひろっていきたい。
なお、調査の対象となっているのは、24年4月~25年3月の間に賃貸住宅(個人や民間企業が賃貸する目的で建築した住宅であって社宅などを除く)に入居した、三大都市圏(首都圏・中京圏・近畿圏)在住の人々となる。回収された調査票の数は590となっている。
首都圏の範囲は、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県。中京圏は、愛知県、岐阜県、三重県。近畿圏は、大阪府、京都府、兵庫県。調査期間は25年9月1日~12月9日。
物件を選ぶ際に妥協したもの―――1位は「家賃」
住宅の選択理由、すなわちいま住んでいる賃貸物件を選んだ理由の上位は以下のとおりだ。複数回答においての割合10%以上となる1~7位までを抜粋する。
| 1位 家賃が適切だったから | 45.8% |
| 2位 住宅の立地環境が良かったから | 37.6% |
| 3位 交通の利便性が良かったから | 34.2% |
| 4位 職場から近かったから | 27.6% |
| 5位 住宅のデザイン・広さ・設備等が良かったから | 27.3% |
| 6位 昔から住んでいる地域だったから | 12.4% |
| 7位 親・子供などと同居した、または近くに住んでいたから | 10.5% |
このとおり、「家賃が適切だった」が5割にも近い最も大きな割合を占めている。だが、一方では下記のとおりとなる。
| 1位 家賃(予定より高くなった) | 28.6% |
| 2位 住宅の広さ | 17.1% |
| 3位 間取り、部屋数 | 15.3% |
| 4位 台所の設備、広さ | 13.4% |
| 4位 浴室の設備、広さ | 13.4% |
| 6位 交通の利便性 | 11.5% |
| 7位 交通・生活利便性の高い立地 | 10.8% |
| 7位 職場からの距離 | 10.8% |
「家賃が予定より高かったが妥協した」―――が、このとおり、最も大きな割合を占めている。
賃貸物件選びにおいて、家賃の額が希望にかなうことは重要な条件となる。だが、実際には魅力的な物件を見せられたときなど、人の心は動きやすいものだ。そんな風景を思い起こさせる上記の結果ともいえそうだ。
いま住んでいる物件の家賃の分布
家賃についての具体的な数字を覗いてみよう。まずは、いま住んでいる物件の月額家賃の区分別(5区分)の割合となる。
| 月額家賃 | 割合 | 前年度 |
| 2.5万円未満 | 0.9% | 0.3% |
| 2.5万円以上5万円未満 | 14.1% | 17.0% |
| 5万円以上7.5万円未満 | 35.4% | 41.6 |
| 7.5万円以上10万円未満 | 23.2% | 20.6% |
| 10万円以上 | 26.4 | 20.5% |
なお、上記のうち「10万円以上」の高い家賃については、前年度に比べ5.9ポイントの大きな増加となっている。
そのことが反映されているのが、以下の数字だ。
| 三大都市圏全体の家賃 | 家賃 | 前年度 |
| 平均月額家賃 | 83,381円 | 77,677円 |
| 中央値 | 74,000円 | 70,000円 |
高い家賃の物件に住む人の数字に引き上げられるかたちで、前年度からの平均値の伸びが中央値のそれに比べてより大きなものとなっている。
家賃の圏域格差
平均月額家賃においては、3つの圏域における差が以下のとおり大きい。
| エリア | 平均値 | 中央値 | 両方の値の乖離 |
| 首都圏 | 94,068円 | 84,500円 | 9,568円 |
| 中京圏 | 63,447円 | 60,000円 | 3,447円 |
| 近畿圏 | 71,965円 | 67,000円 | 4,965円 |
そのうえで、首都圏においては、上記のとおり平均値と中央値の乖離も大きい。
これは、首都圏エリアにおいて、高額な、あるいは飛び抜けて家賃の高い物件に住む人が少なくないことを想像させるものとなる。前述したとおり、それらの数字が平均値を引き上げる。
賃貸を住み替えると家賃が増えやすい現在
以上を踏まえ、次に「住み替え前の家賃」を見てみたい。
| 2.5万円未満 | 1.6% |
| 2.5万円以上5万円未満 | 13.0% |
| 5万円以上7.5万円未満 | 44.7% |
| 7.5万円以上10万円未満 | 22.5% |
| 10万円以上 | 18.2% |
さらに、
| 三大都市圏全体の家賃 | 家賃 |
| 平均月額家賃 | 79,150円 |
| 中央値 | 65,000円 |
これをさきほどの「いま住んでいる物件」の数字と比べると、以下のような動きとなる。
| 家賃 | 住み替え前 | 住み替え後 | 変化 |
| 2.5万円未満 | 1.6% | 0.9% | 0.7ポイント減 |
| 2.5万円以上5万円未満 | 13.0% | 14.1% | 1.1ポイント増 |
| 5万円以上7.5万円未満 | 44.7% | 35.4% | 9.3ポイント減 |
| 7.5万円以上10万円未満 | 22.5% | 23.2% | 0.7ポイント増 |
| 10万円以上 | 18.2% | 26.4% | 8.2ポイント増 |
| 三大都市圏全体での平均月額家賃 | 79,150円 | 83,381円 | |
| 三大都市圏全体での中央値 | 65,000円 | 74,000円 |
このとおり、大きな変動があるものとしては、「5万円以上7.5万円未満」における9.3ポイントの減少があり、さらに「10万円以上」における8.2ポイントの増加がある。
そのうえで、全体を上下にレベル別けすると、7.5万円未満までの「低家賃帯」では差し引き8.9ポイントの減となり、7.5万円以上の「中~高家賃帯」では8.9ポイントの増となる。
つまり、住み替え前から住み替え後にかけては、支払われている家賃が総じて増加している。三大都市圏全体での平均月額家賃および中央値も、もちろんこれに連動して増えている。
これらは、現在わが国において進行している、物価上昇に付随しての家賃の上昇が明らかな数字となって表れているひとつといえるだろう。
一気に上がった?世帯年収。しかし「家賃の負担感」は減らず
民間賃貸住宅入居世帯の「世帯年収」は、以下のとおりとなっている。
| 年収 | 割合 | 前年度 |
| 400万円未満 | 23.4% | 33.9% |
| 400万円以上600万円未満 | 23.7% | 23.6% |
| 600万円以上800万円未満 | 12.5% | 13.4% |
| 800万円以上1,000万円未満 | 8.6% | 7.5% |
| 1,000万円以上1,200万円未満 | 4.2% | 2.4% |
| 1,200万円以上1,500万円未満 | 0.3% | 1.0% |
| 1,500万円以上2,000万円未満 | 0.7% | 0.5% |
| 2,000万円以上 | 0.5% | 1.0% |
| 無回答 | 25.9% | 16.6% |
このうち、最も収入の少ない「400万円未満」の経年変化を見てみよう。
| 21年度 | 29.6% |
| 22年度 | 30.4% |
| 23年度 | 31.4% |
| 24年度 | 33.9% |
| 25年度 | 23.4% |
このとおり、25年度にあっては大きく割合が減っている。
さらに、全体での平均世帯年収の変化を見てみよう。
| 21年度 | 516万円 |
| 22年度 | 499万円 |
| 23年度 | 492万円 |
| 24年度 | 486万円 |
| 25年度 | 527万円 |
25年度の数字は大きく伸びている。よって単純には、収入の低い世帯が大いに減ったことで、平均の収入額が大いに上がったものと見て取れる。
ただし、気になるのは、上記「無回答」の割合だ。前年度に比べ+9.3と、なぜかかなり増えている。年収400万円未満の世帯の割合が10.5ポイント減った分は、まるごとここに吸い込まれたかたちに見えたりもする。
つまり、この「無回答」の多くが、実は年収400万円未満の世帯だったりすると、いま述べた状況それぞれが不確かなものとなってしまうわけだ。
そこで、そのことも一応踏まえた上で、次の数字を見てみよう。
| 年度 | 非常にある(生活必需品を切りつめるほど苦しい) | 少しある(ぜいたくはできないが、何とかやっていける) | 合計 |
| 21年度 | 8.7% | 40.2% | 48.9% |
| 22年度 | 9.4% | 44.4% | 53.8% |
| 23年度 | 7.6% | 42.7% | 50.3% |
| 24年度 | 6.8% | 46.1% | 52.9% |
| 25年度 | 8.3% | 45.6% | 53.9% |
このとおり、25年度調査においては、過去数年とさほど変わらない数字が出てきている。
半数またはそれを少し超える割合の世帯が、「苦しい」「ぜいたくはできない」といった、家賃の負担感を訴えている状況が変わらず続いている。
すなわち、さきほどの「無回答」は、やはり年収が最も低い層の世帯がその多くを占めているものなのかもしれない。
あるいは、そうではなく、低収入の世帯が実際に減り、全体の平均も上がっているのが事実であったとしても、それでも、結果としては、これまでと同じような割合の世帯が家賃への負担感を訴えているのが現状のようだ。
つまり、そこからは、「収入は増えても家賃や物価の上昇にそれが追いつかない」との声が、聞こえてくるということになるだろう。
令和7年度(2025年度)「住宅市場動向調査」の結果については、下記で内容をご確認いただける。
「国土交通省 ~令和7年度住宅市場動向調査の結果をとりまとめ~」
(文/賃貸幸せラボラトリー)
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この記事を書いた人
編集者・ライター
賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室
























