高齢者として生きる長大な時間―――2025年「簡易生命表」を読み解く

2026/08/10
日本人の平均寿命は男性81.35歳、女性87.33歳
先月下旬(7月24日)、厚生労働省が令和7年(2025)分の「簡易生命表」を取りまとめ、公表している。日本における日本人の死亡数、出生数等を基礎資料として作成されるものだ。いくつか目につくところを挙げていきたい。
まずは、日本人の最新の平均寿命となる。
| 男性 | 81.35歳 |
| 女性 | 87.33歳 |
前年と比較すると、男性は0.25年、女性は0.20年延びている。
各国の状況も併せ、ランキングのかたちで見てみよう。
| 男性 | 1位 スウェーデン | 82.52歳 |
| 2位 スイス | 82.4歳 | |
| 3位 イタリア | 81.744歳 | |
| 4位 ノルウェー | 81.61歳 | |
| 5位 キプロス | 81.44歳 | |
| 6位 スペイン | 81.38歳 | |
| 7位 日本 | 81.35歳 | |
| 8位 シンガポール | 81.23歳 | |
| 9位 オーストラリア | 81.06歳 | |
| 10位 アイスランド | 80.9歳 | |
| 女性 | 1位 日本 | 87.33歳 |
| 2位 韓国 | 86.6歳 | |
| 3位 スペイン | 86.53歳 | |
| 4位 スイス | 85.9歳 | |
| 4位 フランス | 85.9歳 | |
| 6位 キプロス | 85.83歳 | |
| 7位 イタリア | 85.729歳 | |
| 8位 シンガポール | 85.57歳 | |
| 9位 スウェーデン | 85.55歳 | |
| 10位 オーストラリア | 85.10歳 |
なお、厚労省によると、平均寿命の諸外国との比較は「国によって作成方法等が異なることから厳密な比較は困難」とのこと。同省手元の資料からは、上記までが導かれるということのようだ。
ちなみに、このランキングのうち、なじみの薄い国として多くの方が挙げると思われるキプロスは、地中海東部に浮かぶ島国となる。イタリア、スペインなどとともに、ユネスコ無形文化遺産「地中海食」の登録国となっている。長寿の食習慣として、世界に知られるものだ。
こちらが本当の平均寿命?―――「死亡年齢最頻値」
ところで、上記の平均寿命とは「0歳における平均余命」を指す言葉となる。
そのため、新生児や乳幼児など、幼くして亡くなる人のわずかな年齢も母数に加わる。それらが数字を引き下げるかたちとなる。
よって、われわれが日常周りを見渡したうえで、「このくらいの年齢で亡くなる人が多い」と感じる辺りからは、やや印象がずれがちだ。
そこで、そんなイメージに一番近い数字を挙げるとすれば、「死亡年齢最頻値」がおそらくそれに該当する。文字どおり、亡くなる人の数が現状もっとも多い年齢のことだ。
今回の簡易生命表においては、以下のとおりとなっている。
| 男性 | 88歳 | (平均寿命との差 +6.65歳) |
| 女性 | 92歳 | (平均寿命との差 +4.67歳) |
このとおり、平均寿命との差がやや開いている。多くの人が、平均寿命をさらに超えて生き続けるということだ。
よって、いわゆるライフプラン―――とりわけマネープランを考える際の基準としては、平均寿命ではなく、これら死亡年齢最頻値を意識しておくのが、より賢明なことといえるだろう。
長生きとは何歳以上をいうのか?――「寿命中位数」
日本人が平均してどのくらいまで生きるかにあっては、さらに「寿命中位数」というデータもある。
出生者のうち「半数が生存していることが現状期待される年齢」として算出されるものだ。
これを超えて生きている場合、その人は長生き(長く生きている半数の側の人)と、見られてよいことになるだろう。
| 男性 | 84.13歳 | (平均寿命との差 +2.78歳) |
| 女性 | 90.17歳 | (平均寿命との差 +2.84歳) |
このとおり、女性の寿命中位数は90歳を超えている。つまり、女性は80代で亡くなると、いまは長生きとはいえなくなるようだ。
「まだ若いのに」(同い年の半分以上がまだ生きているのに)と、かたちとしては惜しまれることとなる。
ちなみに、昭和22年(1947)の男性の寿命中位数は、なんと59.28歳だった。60まで生きられれば、その人は長生きの側に数えられたわけだ。
高齢者でいる「長大」な時間
次に、平均余命を見てみたい。2つの年齢をピックアップする。
| 65歳の平均余命 | 男性 | 19.68年 |
| 女性 | 24.52年 | |
| 75歳の平均余命 | 男性 | 12.24年 |
| 女性 | 15.88年 |
このうち、65歳は「前期高齢者」となる年齢だ。75歳で「後期高齢者」となる。
しかしながら、数字は見てのとおり。
65歳時にあっての平均余命は、男性にして20年近く、女性は25年近くにも及んでいる。これらの期間を老後、あるいは余生などと呼ぶにはいかにも長すぎる。
「高齢者」と、社会的に呼ばれるようになってからのこの長大な時間をどう生きるか?
その日が近い人、あるいはすでにその日を迎えた人も、ここは若者以上に熱心に生きがい探し―――自分探しをした方がよいのかもしれない。
オレも・ワタシも「もう老人」と、安易に人生が終わった気分でいると、無為に過ごした時間をあとで振り返りつつ、さまざまな後悔に襲われる危険性もある。
最大の課題―――「健康寿命」
さて、そんな自分探しの日々も絡んで、課題となるのが「健康寿命」だ。
亡くなるまでの寿命ではなく、高齢化にともなう健康上の問題によって、日常生活に制限が生じるまでの期間を指して、このように呼ぶ。
以下は、一昨年12月に厚労省「第4回 健康日本21(第三次)推進専門委員会」で示された、健康寿命の(少し古いが)「令和4年値」だ。
| 性別 | 健康寿命 | 平均寿命との差 | 死亡年齢最頻値との差 | 寿命中位数との差 | 令和4年簡易生命表での平均寿命との差 |
| 男性 | 72.57歳 | -8.78年 | -15.43年 | -11.56年 | -8.48年(平均寿命81.05歳) |
| 女性 | 75.45歳 | -11.88年 | -16.55年 | -14.72年 | -11.64年(平均寿命87.09歳) |
このとおり、健康寿命と平均寿命の差は大きい。死亡年齢最頻値や寿命中位数との差はさらに大きく開いている。
すなわち、われわれ日本人が老いて死を待つまでの間、「健康ではない」状態でいる時間は、平均するとかなり長いようだ。
このことは、われわれの大きな課題にほかならない。
人生の終わりを出来るかぎり健やかに生きたい。そのためにはどういう努力や工夫をすべきか。何を避け、何を求めるべきなのか?
個人のみならず、高齢者医療・福祉等に費やされるコストという面においては、これは当然ながら国レベルでの重要課題ともなる。
紹介した資料・数字は下記でご覧いただける。
「厚生労働省 令和7年(2025)簡易生命表の概況」
「同 第4回 健康日本21(第三次)推進専門委員会 資料」
(文/朝倉継道)
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この記事を書いた人
コミュニティみらい研究所 代表
小樽商業高校卒。国土交通省(旧運輸省)を経て、株式会社リクルート住宅情報事業部(現SUUMO)へ。在社中より執筆活動を開始。独立後、リクルート住宅総合研究所客員研究員など。2017年まで自ら宅建業も経営。戦前築のアパートの住み込み管理人の息子として育った。「賃貸住宅に暮らす人の幸せを増やすことは、国全体の幸福につながる」と信じている。令和改元を期に、憧れの街だった埼玉県川越市に転居。























