『猫と住まいの解剖図鑑』一級建築士の猫エキスパートが教える！　猫と暮らす理想の間取りとは？

“猫ブーム”はもう何年も続いている。テレビや雑誌でも特集を組まれ、猫に興味がない人でも一日一度は猫を目にするのではないだろうか。

本記事の筆者である私もそうだが、可愛い猫の画像やYouTube動画をつい何度も見てしまう。猫の様子を見ていると、猫と暮らしてみたいと思う、そんな人も多いだろう。コロナ禍でおうち時間も増え、癒しがほしくなってしまうような今の時代、『猫と暮らすこと』も幸せの一つなのかもしれない。

そもそも、どうして“猫”なのだろうか。

猫ブームの理由の上位に「犬のように散歩の必要がない」ということが挙げられるが、猫とはいえ運動させることは必要である。室内にキャットウォークやキャットステップを設置し、猫が自由に動ける空間をつくることが望ましいだろう。猫の習性を考えた家づくりをしていないと、柱や壁で爪を研がれたり、人間にとって困ったことが起きやすくなってしまう。

しかし、そんなことは飼ってみるまで分からないはずだ。そして飼った後も、猫との暮らしのなかで「猫がいるから……」と諦めていることも多いのではないだろうか。

そこで愛猫家はもちろん、これから猫を飼おうと思っている人におすすめなのが本書だ。写真も多く、カラーで読みやすい一冊になっている。

著者であるいしまるあきこさんは、愛猫6匹と暮らす一級建築士であり、猫と楽しく暮らせる賃貸住宅「ねこのいえ」シリーズ、猫と暮らせる住まい探し「ねこのいえ不動産」を展開。さらに、猫・犬に関するセミナーの開催、執筆活動、保護猫活動、2018年からは猫シッターとしてさまざまな猫のお留守番のお手伝いもしている。

本書は、猫エキスパートでもあるいしまるさんが、猫の健康や安全はもちろん、習性に配慮しながら、そして飼い主の取り組みやすさも重視している「猫との幸せな暮らし」をまとめた手引書なのだ。

まずは、猫との幸せな暮らしを考える第一歩として、今すぐできる家の中のほんの少しの工夫でもっとよくなる具体例が掲載されている。

続いては「間取り」。猫と暮らす理想の間取りとはどんな間取りなのか。二次元の間取りをもとに立体的な猫との暮らしを考えることができる。

猫を育てるうえで大切な猫のしつけの仕方も書かれている。しつけについては、人間も猫もやはり“環境”が大切だと考えてしまう項目だ。

そして“これだけは外せない猫との暮らし”ということで、飼い主にとって困ったことが起きないように猫の習性を配慮した住まいの提案。こちらは基本編・応用編とたくさんの具体例が載っているので、あなたの家でも必ず役に立つだろう。すぐに取り組めるところとしては、爪研ぎ対策から理想の猫トイレ、キャットウォーク・ステップのDIYなどがある。DIYについては、写真付きで載っているので実践しやすいはずだ。また、猫の習性から見直すべき家の中の細かいところまで丁寧に書かれている。

立体的な猫との住まいを考えることができ、例えば、猫が寝るために必要な棚の幅なども猫の飼育数別で分かりやすく解説している。

初めて猫と暮らす人や、愛猫家など、猫ともっと快適に暮らしたい人やリフォーム・DIYを考えている方にはおすすめの一冊だ。また多頭飼いについても、リアルな悩みも詳しく掲載されており、悩み多き多頭飼いにもおすすめである。

猫も人も無理なく生活していくためにはどうすればいいのか。本書を読んでいると、猫との暮らしが頭の中で広がっていき、楽しい生活が想像できるだろう。猫を飼う前は分からない“猫あるある”も微笑ましく読み進めることができる。実は犬派の私も猫が飼いたくなってしまったのはここだけの話……。

長年いろいろな猫との幸せな暮らしを追求してきた、いしまるさんだからこそ分かる内容が満載。猫も人も幸せになる暮らしが分かる本書をぜひ手に取っていただきたい。

また現在、賃貸住宅オーナー向けの動画・オンラインセミナー配信サービス「ウチコミ！プラス」にて、いしまるさんの出演の動画を公開している。

ダイジェスト動画はこちら

ペット飼育の現状や、オーナーが気を付けるべき猫飼育の際の入居条件、猫が喜ぶ物件作りなどについて解説しており、猫飼育可の物件を所有している、または猫飼育可にすることを検討しているオーナーにとって必見の内容だ。

BOOK Review——この1冊
『北条氏の時代』 北条氏が権力を握り、なぜ維持できたか――「鎌倉時代」を俯瞰する1冊
『ばにらさま』　さまざまな女性の生きる姿を描き続けてきた山本文緒の遺作
最新版『まずはアパート一棟、買いなさい！』資金300万円から家賃年収1000万円を生み出す極意