賃貸管理業者・サブリース業者に立入検査。7割に「是正指導」

2026/06/16
168社に立入検査、118社に対し是正指導
6月5日、国土交通省が「賃貸住宅管理業者及び特定転貸事業者への全国立入検査結果」令和7年度(2025年度)分を公表している。全国168の事業者へ立入検査が行われ、うち118社が是正指導された。
なお、特定転貸事業者とは、いわゆるサブリース業者をいう。これを含む賃貸住宅の管理等を行う事業者について、法にもとづいた正しい業務が行われているかどうかを国交省の担当者が検査し、確かめたということだ。
法とは「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」を指す。「賃貸住宅管理業法」と呼ばれるものだ。21年6月に全面施行されている。
なお、今回の検査対象事業者の業態別の内訳は以下のとおりとなる。
| 賃貸住宅管理業のみを行っている事業者 | 110社 |
| 賃貸住宅管理業を行い、かつサブリース業者でもある事業者 | 57社 |
| 賃貸住宅管理業を行っていないサブリース業者 | 1社 |
(サブリース業者は計58社)
是正指導率は今回も上昇
今回と前回、さらに前々回、3年度分の数字を並べてみよう。
| 年 | 立入検査対象業者数 | 法令違反が認められ是正指導された業者 | 延べ指導件数 |
| 令和7年度(25年度・今回) | 168社 | 118社(70.2%) | 243件 |
| 令和6年度(24年度・前回) | 187社 | 127社(67.9%) | 291件 |
| 令和5年度(23年度) | 179社 | 106社(59.2%) | 228件 |
このとおり、是正指導された業者の割合は前回よりもわずかに増えている。残念なことだ。軽い内容のものも含むとはいえ、検査を受けた業者の7割で法令違反が指摘されるというのは、やはり辛い結果であるというほかない。
賃貸住宅管理業法の施行後、年数が経てば、その浸透とともに法令違反はごく少なくなっていくだろうとの声もかつては聞かれていた。だが、実際は逆の状況となっている。
違反・指導件数および根拠となる条項
賃貸住宅管理業法の条項ごとの指導件数が公表されている。前年度の数字も添えて挙げていこう。
- 管理受託契約の締結前の書面の交付(重要事項説明)義務違反(法第13条関係)
……43件(前年度35件) - 管理受託契約の締結時の書面の交付義務違反(法第14条関係)
……62件(前年度60件) - 賃貸住宅管理業者の財産の分別管理義務違反(法第16条関係)
……7件(前年度7件) - 賃貸住宅管理業者の従業者証明書の携帯等義務違反(法第17条関係)
……22件(前年度42件) - 賃貸住宅管理業者の帳簿の備付け等義務違反(法第18条関係)
……32件(前年度41件) - 賃貸住宅管理業者の標識の掲示義務違反(法第19条関係)
……15件(前年度22件) - 賃貸住宅管理業者の委託者への定期報告義務違反(法第20条関係)
……17件(前年度20件) - 特定転貸事業者等の誇大広告等の禁止義務違反(法第28条関係)
……4件(前年度6件) - 特定賃貸借契約の締結前の書面の交付(重要事項説明)義務違反(法第30条関係)
……4件(前年度13件) - 特定賃貸借契約の締結時の書面の交付義務違反(法第31条関係)
……14件(前年度19件) - 特定転貸事業者の書類の閲覧義務違反(法第32条関係)
……23件(前年度26件)
これらのうち、特に重要な違反を挙げるとすれば、次の2つになるだろう。
(再掲)
3.賃貸住宅管理業者の財産の分別管理義務違反 7件(前年度7件)
(再掲)
8.特定転貸事業者等の誇大広告等の禁止義務違反 4件(前年度6件)
(ほかにも、たとえば1、2、9、10―――それぞれの書面交付義務違反といった中に深刻な事例が個別に存在するかもしれないが、公表の限りにおいては明確ではない)
「口座を別ける」ことは、賃貸管理の基本のモラル
上記に挙げた重要な違反のうち、まずは3についてだ。(賃貸住宅管理業者の財産の分別管理義務違反)
ここでは、
「管理業務において受領する家賃等の金銭を管理するための口座と自己の固有財産を管理するための口座と明確に区分していないなど」
と、例が挙げられている。
要は、賃貸物件の所有者であるオーナーのものであるお金(入居者が支払った家賃等)と、自社のお金がきちんと分別されていないということだ。他人の財布と自分の財布を一緒にしてしまっている。
これは、指摘を受けた各業者において、サブリースを含む賃貸住宅管理業を行う上での基本的なモラルが欠けていることを示すものとなる。
また、当然ながら、業者の経営に不測の事態が生じた際は、オーナーにとって財産上の被害により結びつきやすい環境ということにもなる。
サブリース業者が「社会で生きていく」ための2条項
一方、8となる。(特定転貸事業者等の誇大広告等の禁止義務違反)
違反・指導の件数が4件(前年度6件)となっているこちらでは、
「特定賃貸借契約の解除に関する事項(契約期間、契約の更新時期及び借地借家法第28条に基づく更新拒絶等の要件)の記載不備」
と、例が挙げられている。
ここで、まず特定賃貸借契約とは、マスターリースのことだ。
「賃借人が当該賃貸住宅を第三者に転貸する事業を営むことを目的として締結される」契約をいう。
そして、ここでいう賃借人こそが、
「特定賃貸借契約に基づき賃借した賃貸住宅を第三者に転貸する事業を営む者」
つまり、サブリース業者(特定転貸事業者)となる。
すなわち、上記では、サブリース業者が行った広告において、
「契約期間」
「契約の更新時期」
「借地借家法第28条に基づく更新拒絶等の要件」
これらの記載に不備がある事例があったとの報告がされている。その上で「指導も行った」ということで、その数が4件だ。
なお、今回、このように件数は少ないが、当該「誇大広告等の禁止義務違反」というのは、サブリース業者にとって重い案件となる。
なぜなら、サブリースでは、オーナーは賃貸物件の運営に関するあらゆる手間から解放されるが、その代わりにリスクを背負う。
うち、重要なものとして、借地借家法の規定により、家賃の設定や契約の継続にかかわる主導権を業者に握られてしまうことがある。事前にしっかりと勉強しない限り、気付かれにくいリスクだ。
そこで、これらを正しく開示し、契約の相手方となるオーナーに間違った判断をさせないため、賃貸住宅管理業法においては、第28条に「誇大広告等の禁止」が定められている。
これは、第29条「不当な勧誘等の禁止」などと並び、過去にさまざまな問題が指摘されてきたサブリース業者が、いわば「社会で生きていく」ための基本といえるものだ。よって、違反や不備は厳に許されざるものとなる。
すなわち、業界は全力を挙げて、これらについては早期に「ゼロ」を目指さなければならない。
以上、このたびの国交省の発表内容は下記でご覧いただける。
「国土交通省 賃貸住宅管理業者及び特定転貸事業者への全国立入検査結果(令和7年度)について」
(文/賃貸幸せラボラトリー)
この記事を書いた人
編集者・ライター
賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

























