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民泊「管理業者」8割に法令違反。逆風が吹く民泊の現在(いま)

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国が方針転換

6月16日、民泊の今後を揺るがす報道が、各ニュースサイトを賑わせた。「民泊営業を自治体が事実上禁止可能に」「観光庁が方針を転換」などというものだ。

住宅宿泊事業法による民泊(いわゆる一般的な「民泊」)では、年間180日までの営業が認められている。しかしながら、自治体は条例によりこれを制限できる。

そこで、宿泊者が出す騒音や、ゴミ問題などの近隣トラブルが増えたことから、昨今、営業できるエリアや日数を狭めるなど、民泊を制限しようとする動きが各地で見られていた。

一方で、国はこれまで民泊を「適切な規制の下、振興する」との立場に立ってきた。

そのため、自治体等に向けたガイドラインでは、営業を全くさせない「ゼロ日規制」といった厳しい制限は、「法の目的を逸脱するものであり、適切ではない」としていた。

そのうえで、今回の報道は、そういった方針を国が転換する旨を報じたものとなる。ゼロ日規制についても、自治体がそれを定めてよいと、国が認めるかたちとなる。

なお、以上については、報道翌日(17日)の観光庁長官の会見においても、

「全国で最も施設数が多い新宿区においては、昨年度には900件を超える苦情が寄せられていると承知」

「いわゆるゼロ日規制などにつき、今月(6月)中にも全国の自治体に向けて通知を発する方向で検討中」

重ねて、公式に示されるところとなっている。

一方、民泊へのこのような厳しい制限に対しては、自治体への届け出をそもそも行わずに営業する「闇民泊」を増やしたり、彼らを助長する結果につながったりするのではないかとの意見もある。(民泊へのニーズのあるエリアからまともな事業者が消え、闇業者だけが残ったり、そこに進出したりする)

たしかに、民泊に対する苦情に関しては、近隣に迷惑を及ぼしているのが、きちんと法令に従い届出している施設ではなく、違法な闇民泊であるケースも少なくないだろう。

(以上は6月25日時点までの状況)

住宅宿泊管理業者の約8割に法令違反の指摘

さて、上記報道等に先立って、5月29日、国土交通省からは、令和7年度(2025年度)分の「住宅宿泊管理業者への全国立入検査結果」が公表されている。

住宅宿泊管理業者とは、民泊として活用・運営される住宅、さらには当該運営を文字どおり管理する業者のことだ。

彼らは、民泊の家主、いわゆるホストから委託を受け、報酬も得ながら、宿泊者の衛生・安全の確保や、住宅設備の維持管理、外国人も含む宿泊客への対応など、さまざまな業務を行う。

周辺住民から苦情があれば、これに迅速に対応する義務も課されている。そのうえで、住宅宿泊管理業者となるには、国土交通大臣の登録を受ける必要もある。

そうした登録業者のうち、今回、全国44の業者に対して立入検査が行われた結果が、以下のとおりとなる。

法令違反が認められ是正指導された業者

 44業者中35業者(79.5%)(前年度は39業者中32業者)

住宅宿泊事業法の条項ごとの是正指導件数

  1. 変更の届出等義務違反(法第26条関係) 8件(前年度4件)
  2. 管理受託契約の締結前の書面の交付義務違反(法第33条関係) 14件(前年度11件)
  3. 管理受託契約の締結時の書面の交付義務違反(法第34条関係) 11件(前年度4件)
  4. 再委託の禁止(法第35条関係) 2件(前年度0件)
  5. 証明書の携帯等義務違反(法第37条関係) 16件(前年度21件)
  6. 帳簿の備付け等義務違反(法第38条関係) 18件(前年度24件)
  7. 標識の掲示義務違反(法第39条関係) 14件(前年度16件)
  8. 住宅宿泊事業者への定期報告義務違反(法第40条関係) 16件(前年度22件)
  9. 住宅宿泊管理業務の実施義務違反(法第36条関係) 6件(前年度3件)
    ……9のうち、周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項の説明(法第9条関係) 2件(前年度0件)

このとおり、内容に重い・軽いはあるものの、立入検査を受けた業者のうち、約8割で違反が指摘されたという結果はかなり厳しい。

何となれば、今年3月現在の住宅宿泊管理業者の登録数は4,095業者とのこと。仮にこの数字にあてはめると、8割イコール3,300に近い。大変な数の業者が何らかの法令違反を犯しているイメージとなる。

民泊ホスト(住宅宿泊事業者)は、単に不動産物件オーナーであるなど、概して法令に疎い立場ともなりやすい。そのため、住宅宿泊管理業者は、彼らをその面からサポートすることも大いに期待される存在となる。よって、こうした状況は当然ながら心細い。

次回の立入検査では、大幅な改善が見られることをぜひ望みたい。

なお、上記各項目のうち注目したいのが、最後に挙がっている「周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項の説明(法第9条関係)」での違反となる。

第9条の中身はこうなっている。(原文の一部に手入れ、省略あり)

「住宅宿泊管理業者は、宿泊者に対し、騒音の防止のために配慮すべき事項その他の届出住宅の周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項であって国土交通省令・厚生労働省令で定めるものについて説明しなければならない」

「外国人観光旅客である宿泊者に対しては、外国語を用いて前項の規定による説明をしなければならない」

このように、周辺住民にとっては切実な内容となっている規定での違反は、今回は幸いにして2件に収まるかたちとなっている。

ただし、望ましいのはもちろん「ゼロ」だ。

増えている民泊

民泊はいま全国にどのくらいあるのか。観光庁による5月15日時点の数字を見てみよう。

住宅宿泊事業の届出住宅数 4万745件
(これまでの届出件数 6万3658件 / 事業廃止件数 2万2913件)

見てのとおり、これまでの届出件数から事業廃止件数を引いた“生き残り”が、4万745件となる計算だ。

そのうえで、この数字につき、1年ごとにさかのぼるとこうなる。

26年5月15日時点 40,745件
25年5月15日時点 31,863件
24年5月15日時点 24,213件
23年5月15日時点 19,208件

このとおり、まさに激増していることが判る。苦情多発の逆風ものともせず、近年、民泊の数はぐんぐんと右肩上がりだ。

(参考までに、わが国の旅館・ホテルの数は5万2946施設、簡易宿所は4万4901施設:厚労省「24年度衛生行政報告例」)

ちなみに、民泊への宿泊者数は、直近の住宅宿泊事業者からの定期報告の対象期間である本年2月~3月が629,216人、前年同期比は135.2%となっている。(日本国籍42.2%、外国人57.8%)

延べ宿泊者数も、前年同期比 143.0%となる172万3600人泊だ。

(延べ宿泊者数とは、たとえば1人が2連泊した場合は「2人泊」と数え、これを集計した数字のこと)

すなわち、民泊の「激増」は、いわゆるインバウンドの伸長含め、こうした、現実として増加している宿泊ニーズに対し、供給側が積極的に応えている結果といえるだろう。

よって、現状語れることとして、民泊は、存在が許されない闇民泊も含め、すでにわが国の旅行・宿泊市場における一定規模のインフラとなっている。

そのため、民泊をこれからもっと育てるのか、抑制するのか、さらには闇民泊をどう“駆除”していくのか―――?

地域、地域によっての状況も踏まえつつ、それぞれ知恵をこらした対応が、国にも自治体にも大いに迫られていくことになりそうだ。

当記事で紹介した資料を以下に掲げておく。

住宅宿泊管理業者への全国立入検査結果(令和7年度)
住宅宿泊事業法に基づく届出及び登録の状況(令和8年5月15日時点)

(文/賃貸幸せラボラトリー)

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賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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