タワーマンションの大規模修繕ってどうするの？ 工事期間は？

増え続けるタワーマンション！ 高層階は眺めもいいし、マンションによっては、ジムやシアタールームなどの設備も。管理も徹底されて「美しくハイスペックなタワーマンション」というイメージがあります。そんなタワーマンションも、やはり築年数を経ていけば、老朽化してきます。そこで必要になってくるのが大規模修繕です。

目次▼

❶大規模修繕、なぜ必要？ タワーマンションの大規模修繕の足場
❷タワーマンションの大規模修繕費用はいくらくらい？
❸タワーマンションの大規模修繕で大変なことは？

 

❶大規模修繕、なぜ必要？ タワーマンションの大規模修繕の足場

マンションの劣化状況によっても異なりますが、1回目の大規模修繕が必要になる時期は築12年〜15年。その次は築30年頃など、だいたい15年に一回くらいのスパンで修繕が必要になってきます。その都度、高額な費用がかかるわけですが、そもそも大規模修繕はなぜ必要なのでしょうか？

＜大規模修繕は、なぜ必要なの？＞

• 年数の経過によっておこる建物の劣化を防ぐため
• 物件の資産価値を下げないため
• 建築当時の水準まで機能・性能を回復させるため

＜大規模修繕はどんな工事を行うの？＞

• 防水工事
• 外壁補修
• シーリング工事
• 鉄部の塗装工事
• 給排水管工事
• エレベーターのメンテナンス、交換など

＜タワーマンションの大規模修繕の足場事情＞

通常、マンションの大規模修繕は足場を組んで作業します。しかし、タワーマンションのような20階以上のマンションに足場を組んで作業することはできません。足場を組むのは低層階のみで、それ以上の高層階はゴンドラを使ったり、移動昇降ができる足場を使用します。ただ、現時点ではタワーマンションの工事例が少なく、大規模修繕工事を行える業者は限られてきます。

❷タワーマンションの大規模修繕費用はいくらくらい？

＜タワーマンションの修繕費用はいくら？＞
マンション規模が201〜300戸以下の場合・・・約2億4000万円
マンション規模が301戸以上の場合・・・約10億円

参照：国土交通省による令和3年度マンション大規模修繕に関する実態調査

ちなみに、日本ではじめての55階だてタワーマンションである埼玉県川口市にあるエルザタワー55が、2015年〜2017年にかけて大規模修繕を行いました。その金額は、12億円。1戸あたりの負担は約200万円です。戸数が多いタワーマンションの大規模修繕の総額は、億単位。目が飛び出るような値段に見えます。
通常のマンションは一戸あたりの修繕費用は、約100万円。タワーマンションになると、修繕の規模にもよりますが1.5倍〜2倍の修繕費用がかかります。ただ、この費用を大規模修繕のときに区分所有者が一括で支払うということはなく、一般的にマンションの管理組合が「修繕積立金」として毎月徴収し、積み立てたお金の中から捻出します。

❸タワーマンションの大規模修繕で大変なことは？

＜業者の選定など住人全員の同意を得るのに時間がかかる＞
たくさんの人が住むタワーマンション。説明会で同じ日に全員が集まるというのはほぼ不可能でしょう。また住人それぞれの意見や、住んでいる階によっても世帯収入や価値観にギャップも出てきます。なかなか全員に同意を得るのは大変です。大規模修繕をするまでに数年単位で時間がかかることが考えられます。

＜工事期間が長い＞
タワーマンションの工事範囲は大規模になります。低層階〜中層階のマンションは３ヵ月ほどで終わるところ、100戸を超えるようなタワーマンションでは半年〜1年。さらに高層で施工面積が多い建物の場合は1年以上かかることもあるようです。長い工事期間を想定しておく必要があります。

＜工事期間中、施設利用に制限が生じる＞
工事中は、エントランスの出入りや共有部である施設の制限があったり、騒音や塗料のにおいなども長期的に我慢がいる場合も多く、生活のしづらさが生じます。

＜30年後は、大規模修繕の値段が高くなっている＞
二度目の大規模修繕のときは、劣化が進んでいたり、エレベーターの交換などが必要になってきます。その場合、大規模修繕の値段がさらに高くなるため、修繕積み立ての中から捻出できるかが課題です。

＜あとがき＞

持ち家に住んでいれば、いずれ必要になってくる修繕費用。そして建物が大きければ大きいほど、総額の修繕費用の値段は高くなる・・・。
物件の資産価値を下げないためにも、住人一人一人が滞納せず積み立てをすることが大切なんですね！

（絵・文／ながれだあかね）

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