賃貸住宅・初心者が陥りやすい重大違反。悪気なく思い込みで……?

2026/04/21
勘違いなどから重いルール違反
この春から、進学、就職などにともなって、初めての賃貸マンションやアパートでの生活を始めた人も多いだろう。
そんな「初心者」の中には、勘違いや思い込みから、賃貸住宅に暮らす中で決してやってはいけない重大な違反行為をしてしまう人がたまに現れる。
ほとんどの物件で契約違反となり、オーナー(大家)や管理会社から厳重注意を受けたり、退去を求められたり、それに納得がいかなければ法的に争うことになったりする重い案件だ。
代表的な例を4つ挙げていくので、ぜひ参考にしてほしい。
1.無断転貸
平たく言うと「又貸し」だ。自分の借りている部屋をオーナーや管理会社に無断で、勝手に他人に貸してしまう。タダで住まわせることもあれば、又貸しした相手から家賃を貰うケースもある。
「それはまずいことでは」と、普通は思うだろう。だが、そうでない人も中にはいる。「ちゃんと家賃を払っている以上、部屋の使い方は借りている者の自由のはず」と、論理的(?)に解釈し、悪気なく又貸しする例もまれにある。
無断転貸は法律違反だ。民法第612条第1項には「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない」と、書かれている。
それに加え、入居の際に取り交わした建物賃貸借契約書には、ほぼ必ずこんな記載があるはずだ。
「借主は、貸主の書面による承諾を得ることなく、本物件の全部又は一部につき、賃借権を譲渡し、又は転貸してはならない」
無断転貸は、オーナーや管理会社がもっとも嫌がる行為のひとつとなる。信頼して契約した相手ではない別の人間が、オーナーの大事な財産である賃貸物件の中に知らないうちに潜り込むかたちになるからだ。
違法なビジネス、あるいは後ろめたい目的のために部屋を確保したい人物が、自らの名前を伏せるため、友人や後輩に声をかけ、又貸しを頼むといった例もある。ぜひ注意したい。
2.勝手に同居人を増やす
勝手な同居人の増員―――よく見られる例が「同棲」だ。恋人を部屋に呼び寄せ、オーナーや管理会社に無断で同居生活を始めてしまう。さらには……
「生活に困るなどした友人や親族が部屋に転がり込み、そのまま居付く」
「家賃の支払いが苦しいため、誰かと折半して節約しようと、無断でルームシェアを始める」―――など。
これらは、いずれも契約違反にほぼなる。建物賃貸借契約書には、通常こんな決まりごとが書かれてあるからだ。
「借主は、入居者氏名欄に記載された者の居住のみを目的として、本物件を使用しなければならない」―――(勝手に増やした同居人についてはもちろん氏名の記載がない)
先ほど、無断転貸のところでも触れたとおりだ。オーナーや管理会社は、契約の過程で把握できていない人物が物件に入り込むことを非常に嫌う。
そのことについて、ピンと来ない人も中にはいるが、自身が賃貸住宅を運営し、入居者全員の生活と安全に責任を持つ立場にあると思えば、気持ちはすぐに理解できるはずだ。
一方で、こんな一文が記されている契約書も多い。
「借主は、本物件の使用にあたり、貸主の書面による承諾を得ることなく、別表に掲げる行為を行ってはならない」
そのうえで、「別表」にはこう書かれている。
「入居者氏名欄に記載する同居人に、新たな同居人を追加(出生を除く)すること」
これはすなわち、
「同棲相手など、同居人を住まわせたい事情があるならば、オーナー(あるいは窓口となる管理会社)に相談してくれ」
との意味になる。(その結果、承諾が得られるか否かは別)
「結婚の準備ができるまで、婚約相手と一緒に住みたい」
「生活に困っているきょうだいをしばらく部屋に置いてやりたい」
そんな場合は、勝手な行動はせず、「まずは相談」ということだ。
3.ペットの飼育
「ペット不可」の賃貸物件で、犬や猫を内緒で飼ってしまう……
重大な契約違反であることを多くの人は理解しているが、意外と軽い気持ちでこれを破ってしまう人もいる。
「友達がそうしてるから」
「みんなバレずにいるみたいだから」
自分のごく身近で起きている例外的な事実をもとに、これを世の中全体の一般的なことと勘違いするこうした傾向は、社会経験の少ない若者を中心に、たまに見られたりするものだ。
あたりまえだが「ペット不可」の物件では、決して不可の対象となっているペットを飼ってはならない。(通常、犬・猫はこれに含まれている、というより主なターゲットだ)
隠れての飼育は、周囲の人間だけでなく、ペットに対しても無責任な行動となることをよく覚えておこう。
ところで、ペットについては、記述を辿っていくと、結論としてこんな内容になっている契約書も少なくない。
「観賞用の小鳥、魚など、明らかに近隣に迷惑をかけるおそれのない動物ならば、許可なく飼ってもよい」
この条件だと、セキセイインコや文鳥といった小鳥や、金魚、カメなどのほか、ハムスターや小型のウサギ程度ならば容易に該当しそうな雰囲気だ。
だが、それでも飼うのならば、やはり事前に相談することを強く勧めたい。
なぜなら、自らの契約書がこうした内容になっていることを知らないオーナーも中にはいるからだ。(よくないことだが)
実は、ペットに関しての上記のような寛容な(?)規定は、国土交通省が公表している「賃貸住宅標準契約書」に明記されている。
この標準契約書を多くの管理会社や仲介会社が、自社の扱う契約書のひな型にしているため、当該部分もそのまま流用されているケースがよく見られる。
しかし一方で、オーナーが「ペットはダメ」とする場合、対象範囲がかなり広い可能性もある。
たとえば、部屋に臭いがつくのではないかとの心配から「ハムスターなど小さな動物も全部ダメ。小鳥も困る」と、いった具合だ。
さらには、「地震で水槽がひっくり返ったら大変なので金魚や熱帯魚もNG」と、考えているオーナーもいる。
よって、こうした行き違いなどがもたらす結果を避けるため、ともあれ「相談を」というのが、この記事においての結論だ。
4.部屋で勝手にお店を開業
たとえば、勉強熱心な入居者が何かの特技を身に付けた。あるいは、資格に挑戦し合格した……
資金も貯まり、開業できる目途もついた。そこで……
「いま住んでいるこのアパートの部屋をそのままお店にしよう」
こんな場合、ぜひ気をつけたい。
あくまで居住用として借りている部屋で店を開いたり……
何かの教室を開業して生徒を集めたり……
事務所を開設し、従業員を通わせたり……
これらは、オーナーや管理会社に無断で行っては絶対にならない行為だ。
人が普通に住むための居住用賃貸の場合、契約書には「使用目的」として、通常こんな決まりごとが書かれている。
「入居者は、居住のみを目的として本物件を使用しなければならない」
なおかつ、民法にはこうある。
「借主は、契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用及び収益をしなければならない」(第594条第1項、第616条)
よって、上記を勝手に行えば、これらに違反する行為となる。すなわち「用法違反」と呼ばれるものだ。
そのうえで、こうした用法違反は、ほかにも法的あるいはその他さまざまな問題に波及しやすい。税務、保険、消防、衛生関連等々、オーナーも巻き込んでの面倒やトラブルが色々と生じる原因にもなってくる。
(代表的なひとつとして消費税がある。居住用ではなく事業用として部屋が賃貸借されていると認められれば、家賃には消費税がかかり、申告・納税の義務はオーナーが負うことになる)
もちろん、居住用の賃貸物件の中に店舗等が置かれるにおいては、人の出入りによる騒音や、セキュリティの不安といった問題も発生しやすくなるだろう。
なおかつ、オーナーにとっては、事業に使われることで住戸および設備の劣化が早まる可能性も心配のタネとなる。
以上により、「事前の相談なし」があってはならないことは、誰もが十分に理解できるはずだ。
(文/賃貸幸せラボラトリー)
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この記事を書いた人
編集者・ライター
賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

























