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新築神話崩壊との報道も。新設住宅着工戸数はリーマン、コロナ時を下回る数字に

朝倉 継道朝倉 継道

2026/02/25

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ニュースサイトは「新築神話崩壊」と報道

1月30日、建築着工統計調査報告の令和7年(2025)計分が、国土交通省より公表されている。これを受け、同日の日本経済新聞電子版の記事には「新築神話は崩壊」との見出しが掲げられた。

「新設住宅着工戸数は前の年に比べ7%減」「過去61年間で最低」「建設費の高騰や人口減少により、需要が回復する見通しは立たない」―――などの記述が並んでいる。

実際のレポートを開いて、数字をいくつか眺めていこう。

総計は昭和39年以降最低

まずは、持家、貸家、給与住宅、分譲住宅を合わせた新設住宅着工戸数の総計だ。前年比マイナス6.5%となる74万667戸となっている。

(給与住宅とは、社宅や公務員宿舎など、会社や官公庁が従業員などに貸し与えるための住宅のこと)

この数字は、先般の「コロナ禍」で前年比マイナス9.9%と落ち込んだ2020年の81万5340戸、さらにはリーマン・ショックの激動に見舞われた2009年の78万8410戸(前年比マイナス27.9%)も下回り、1964年(75万1429戸)以降の最低となった。

利用関係別の数字を見ていこう。(給与住宅および、マンション・一戸建以外の分譲住宅の数字は割愛)

種類 新設住宅着工戸数 前年比 備考
持家 20万1285戸 マイナス7.7% 4年連続の減少
貸家 32万4991戸 マイナス5.0% 3年連続の減少
分譲住宅(マンション) 8万9888戸 マイナス12.2% 3年連続の減少
分譲住宅(一戸建) 11万5935戸 マイナス4.3% 3年連続の減少

このとおり、いずれも前年比マイナスだ。かつ3年以上連続している。

さらに、上記それぞれを20年(コロナ禍)、09年(リーマン・ショック)の数字と比較してみよう。

持家
新設住宅着工戸数 前年比 備考
2025年 20万1285戸 マイナス7.7% 再掲
2020年 26万1088戸 マイナス9.6% コロナ禍が影響
2009年 28万4631戸 マイナス10.6% リーマン・ショックの翌年

(コロナの20年、リーマンの09年よりも大幅に少ない戸数。かつ、それらに近い落ち込み)

貸家
新設住宅着工戸数 前年比 備考
2025年 32万4991戸 マイナス5.0% 再掲
2020年 30万6753戸 マイナス10.4% コロナ禍が影響
2009年 32万1470戸 マイナス30.8% リーマン・ショックの翌年

(リーマン・ショック影響時とほぼ同じ水準の戸数)

分譲住宅(マンション)
新設住宅着工戸数 前年比 備考
2025年 8万9888戸 マイナス12.2% 再掲
2020年 10万7884戸 マイナス8.4% コロナ禍が影響
2009年 7万6678戸 マイナス58.0% リーマン・ショックの翌年

(今回の落ち込みはリーマンの時ほどではないが、コロナ禍影響時よりも大きい。戸数もコロナ時より減)

分譲住宅(一戸建)
新設住宅着工戸数 前年比 備考
2025年 11万5935戸 マイナス4.3% 再掲
2020年 13万753戸 マイナス11.4% コロナ禍が影響
2009年 9万1254戸 マイナス21.2% リーマン・ショックの翌年

(リーマン時ほどの水準ではないが、コロナ禍影響時よりも戸数は下回っている)

このとおり、今回25年の数字は、コロナ禍やリーマン・ショックのような激しい経済的変動があったわけでないにもかかわらず、それらの影響を受けた頃に匹敵する水準のものとなっている。こうした結果などを受けての「新築神話は崩壊」報道となるわけだ。

シンクタンクの予測も大きく下回る

とはいえ、新設住宅着工戸数が減少していくこと自体は想定外のものではない。現状、さらには今後において人口がどんどん減っていくわが国にあって、これは当然に予測されてきたことだ。

有名なシンクタンクのひとつ、野村総合研究所(NRI)による昨年6月公表のリポートでは、「2024年度の82万戸から、2040年度には61万戸に減少」との見込みが示されている。

抜粋すると、こんな様子だ。

年度 新設住宅着工戸数 備考
2024年度 81万6388戸 実際の公表値・国交省
以下、NRI予測
2025年度 約87万戸 工事原価高騰の影響を考慮した場合、約85万戸
2026年度 約86万戸  
2027年度 約84万戸  
2028年度 約83万戸  
2029年度 約81万戸  
2030年度 約80万戸  
途中略
2035年度 約71万戸  
途中略
2040年度 約61万戸  

なお、上記は年度での予測となる。さきほどの国交省の数字は「年」計なので、モノサシをあてる位置が少しずれている。

とはいえ、上記NRIの予測―――25年度に約87万戸(工事原価高騰の影響を考慮した場合、約85万戸)に対し、国の公表―――25年暦年で74万667戸は、その差にしてマイナス10万戸超あるいは12万戸超。やや衝撃ともいえる数字だろう。

人口減少・少子高齢化による市場の縮小とは別に、現下のインフレ・建設費の高騰が、マイホームをあきらめてしまう人をシンクタンクの予想以上に増やしているものと考えられる。

リフォーム市場の今後は?

こうした萎んでいく国内新築住宅市場に鑑み、冒頭に紹介した日経電子版の記事では、「国内の住宅メーカーは海外進出やリフォーム事業への転換を迫られる」―――との見方が示されている。

このうち、海外進出については、たとえばつい先日も住友林業によるアメリカ「Tri Pointe Homes,Inc.」の買収、子会社化が発表され、話題となったところだ。(2月13日)

これにより、同グループと上記「Tri Pointe~」社を合わせた年間供給戸数は約18,000戸の規模になるとのこと。全米ビルダーランキング5位に相当する数とのことだ。

そのうえで、もちろん同社だけではない。

積水ハウス、大和ハウス、旭化成ホームズ、ミサワホーム等々、国内住宅メーカーによる海外進出の加速、海外事業の拡大は、自動車メーカーのようにその動きが一般向けに目立って報道されることは少ないものの、業界まわりではつとに知られているところだ。(なお、マンションデベロッパーも同様)

もうひとつの事業転換先、国内リフォーム市場はどうだろう。

さきほどのNRIのリポートにはこちらの予測も掲げられている。25年以降、5年ごとの数字だ。

市場規模
2025年 約6.9兆円
2030年 約7.1兆円
2035年 約7.6兆円
2040年 約7.9兆円

(上の数字は、NRIが定義する「狭義のリフォーム市場規模」となる。ほかに耐久消費財等の購入費を含めた「広義のリフォーム市場規模」も予測されており、そちらは「狭義」よりも約1.3兆円規模が大きくなる)

このとおり、リフォーム市場については今後もわずかづつの成長、拡大が予想されている。とはいえ、腑に落ちない人もいるだろう。人口減少の中で、なぜそうなるとの疑問だ。

これに対し、NRIのリポートに答えは載っていない。そこで、試しにAIに話を投げかけてみた。すると、AIはリフォーム市場が今後成長するとの予測をまずは肯定した上で、以下のような要因を挙げた。(筆者意訳・編集)

  1. ストック(中古住宅)活用市場の拡大
    新築市場は縮小しても、その反面、こちらの市場は拡大するだろう。
  2. バリアフリー需要の拡大
    高齢者世帯の比率上昇がこれを促す。いわゆる減築ニーズも増える。
  3. リフォームの高度化
    修繕メインから、住宅の価値を高めることがリフォームの中心に。こうした変化が工事単価の上昇につながっていく。
  4. 行政・政策の関与
    1~3に対する補助金等の支援が拡充される。特に住宅の省エネ、断熱化の強力な推進を国は図るだろう。

―――いかがだろう。

ちなみに、筆者がこのうち特にポイントと感じるのは、4の「行政・政策の関与」だ。

なぜなら、住宅の新設を促してきたこれまでの各政策がそうであるように、リフォームにおいてのそれもまた「住宅政策」と重なって「経済政策」の色合いは濃いものになる。

加えて、リフォーム政策は「福祉政策」であり「環境政策」でもある。かつ「雇用・労働政策」であったりもする。

よって、政策としてのレバレッジがよく効くこの分野に、国は今後さらに関心を注ぐと思えるからだ。

紹介した資料はそれぞれ下記で詳しくご覧いただける。

国交省 建築着工統計調査報告(令和7年計分)

野村総合研究所(NRI)ニュースリリース:2040年度の新設住宅着工戸数は61万戸に減少

(文/朝倉継道)

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この記事を書いた人

コミュニティみらい研究所 代表

小樽商業高校卒。国土交通省(旧運輸省)を経て、株式会社リクルート住宅情報事業部(現SUUMO)へ。在社中より執筆活動を開始。独立後、リクルート住宅総合研究所客員研究員など。2017年まで自ら宅建業も経営。戦前築のアパートの住み込み管理人の息子として育った。「賃貸住宅に暮らす人の幸せを増やすことは、国全体の幸福につながる」と信じている。令和改元を期に、憧れの街だった埼玉県川越市に転居。

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