キャリア官僚の妻とエリート商社マンの夫の「別居婚」が破綻した理由（1/2ページ）

周囲も祝福　2人が結婚に踏みきった理由

昨年5月、女優の新垣結衣さんと、俳優で歌手の星野源さんの結婚は大きな話題になりました。その後、この結婚発表後も同居をしていないということで、「別居婚」がクローズアップされています。

■10代20代未婚者の約4割が別居婚をしたいと回答
質問：別居婚（籍は入れているが別の場所に住む）をしたいと思いますか？

絶対したい	8.25%
環境や相手が許せばしたい	29.25%
したくない（同居がいい）	62.5%

出典／STRATE（ストラテ）「10代20代未婚者対象 別居婚に関するアンケート」

こうしたこともあってか、ほかの芸能人やパワーカップルと言われる方にも別居婚がかなりいるというネットニュースも多くなり、「別居婚」という夫婦関係が注目されています。

今回は、キャリア官僚の妻とエリート商社マンの夫という、どちらも35歳の、いわゆるパワーカップルの話をしようと思います。

2人のなれそめは大学のイベントで知り合ったことでした。

とはいっても、その後は時おり食事をしながら仕事の相談をするといった、友人としての関係が続いていました。

そんな2人の関係において、恋愛感情や結婚はそれほど重要なことではなかったのですが、いつまでも半人前扱いされるが嫌だったという夫と、34歳になったとき、仕事しかないという自分が急に嫌になったという妻の意見がかみ合い、結婚に至ります。

その背景には、お互いの両親が偶然にも大学教員の父と専業主婦の母という家庭環境も似ており、そうした安心感もあったようです。

ただ、結婚にあたって2人は、結婚をしても一緒に住まない「別居婚」ということが一致した考えでした。

とはいえ、これまで結婚のそぶりもなかった2人が一緒になることに、双方の両親は大喜び。お互いの故郷で披露宴を行うなど、誰からも祝福される結婚を果たしました。

別居婚を選択した理由　ほころびのきっかけ

2人は、なぜ別居婚を選んだのでしょうか。

妻によると、官僚の仕事は、深夜のタクシー帰りや、ホテルに宿泊することも多い。それをいちいち夫に断りを入れるような生活なんて自分にはできない。一方、商社勤めの夫も海外も含め、いつ転勤があるか分からないため、身辺はいつも身軽にしておきたかったといいます。

そこでお互い住まいまでは車で10分ほどの距離の別居婚は、自らの理想を完成させるための合理的な関係のはずでした。

ところが、そんな別居婚は意外な出来事からほころびはじめます。

ある夜、妻のマンションの同じフロアの住人が、酔った勢いで火災報知器を壊すという悪質ないたずら騒ぎが起こりました。

すぐに警察がやってきて騒ぎは落ち着いたのですが、その日を境に、妻の不眠がはじまります。

2人には結婚する際に「帰宅時にLineでメッセージを送り合って就寝する」というルールがありました。

しかし、問題を起こした住人に退去命令の出せない管理組合に対する不満、またいつ何か起こるのではないかという不安から、妻はこのルールを破り、繰り返し夫に不安を訴えるようになったのです。

このことによって生活のペースを完全に乱されたと感じた夫は、その不満をこう妻にぶつけました。

「不安は自分自身で解消してくれないか」という夫。

「それじゃあ、なんのために結婚しているの」と言い返す妻。

「そういった不安を自分で解消するっていうのが別居婚じゃないのか」とさらに夫は突き放しました。

犬も食わぬ夫婦げんかですが、事実婚の2人の夫婦げんかは違った方向へと進んでいくことになります。

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