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不動産を貸したいときに注意すべきこと、前入居者の残置物について

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【事例2 前の借主が置いて行ったエアコンなど】

 

≪この借主さんからの質問≫

 

賃貸契約の時に、部屋にエアコンが設置されていました。契約時に「このエアコンは、前の方が置いていった物だから使うのは勝手だが、壊れても自分で修理してね」と言われていました。しかし、使用している内に「故障」してしまい、電気屋さんに見てもらうと「修理費は3〜4万円かかるよ。」と言われました。

 

不動産屋さんに電話してみましたが「契約の時に説明したでしょ。自分で直してください。」です。ですが、納得できません。大家さんに直してもらえないんでしょうか?

 

≪法的にはどうなのか≫

 

まず、前の借主さんがエアコンを置いていった事について、通常は「原状回復の義務」がありますので前の借主さんが「このエアコンを撤去」して大家さんに部屋を明け渡さなければいけません。それが、そのままにされているという事は、大家さんが了承したとしか考えられません。

 

大家さんが了承したのであれば、そのエアコンは、もはや大家さんのものになります。すると、次の借主さんには「エアコン付の賃貸住宅」を貸したことになります。結果、エアコンの修理費用は、この場合「大家さんが全額負担」しなければいけません。

 

≪対応と考察≫

 

前の借主が、勝手に置いて行ったときは?こんな事も想定されますが、次の借主には、そんな事情は関係ありません。不動産を貸したい大家さんが「それを利用するか、しないか」で決まってしまいます。不動産を貸したい大家さんは、設備も含めて「建物を健全に利用できる状態」を維持する責任があります。

 

前の借主さんが置いていく時点で「責任が取れないから、撤去してくれ」というべきでした。民法でも定められていますが「建物に設置されている設備が、自分のものでは無い」は通りません。ましてや、自分で費用負担していないものを、そのまま次の借主さんに渡して「収益をして」「壊れたら知らない」では・・・。

 

これ、賃貸借契約書に「事情を書いて契約」したとしても、修繕の特約は有効ですが、借主に負担させられるのは「小修繕」しか有効と認められていません。ハッキリとは言いにくいのですが「小修繕=1万円以下」なのは確実です。

 

裁判によっては、5千円でも高額と認められるぐらいですから、3〜4万円の修繕を負担させるのはほぼ、難しいでしょう。つまり、全額「大家さんの負担」です。これは、裁判の判例から説明していますので、例外などもありません。

 

前の借主の設置したエアコンなどは、不要なら撤去してもらうしかありません。自分の賃貸住宅に設置しているなら、自分のものとして修理義務は免れません。こんな場合、もう一つの選択肢があります。

新しい借主さんと賃貸契約を結ぶ際に・・・。

 

「前の借主さんが置いて行ったエアコン何だけど、あなたにあげるから、自分で修理等はしてください。」とうい具合にあげてしまう事。これだと、大家さんは修理などする必要も無くなります。

 

しかし、新しい借主さんが「大家さん、これ古いからいりません。」って言われてしまうと、大家さんが自費で撤去しなければいけなくなります。何をどうしたいか、最終的には「不動産を貸したい大家さん自身」で選んでください。どれを選べば何の責任があるかを比較して…。

 

貸主も借主も気持ちよく良い関係を続けたいものです。

部屋を貸したい人、部屋を借りたい人が集まり、コミュニケーションをしているサイトがあります。ウチコミ!と言います。借主さんも貸主さんも一度覗いてみてはいかがでしょうか?

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この記事を書いた人

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