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【京都で愉しむセカンドライフ】特別編/「改正高年齢者雇用安定法」施行で考える70歳までの働き方(1/2ページ)

奥村 彰太郎奥村 彰太郎

2021/04/19

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花筏(はないかだ)の川面/奥村 彰太郎

雇用確保から、就業機会の確保へ

先月は京都の桜を話題に取り上げた。今年は開花が早く、3月中に満開を迎えた桜が多く、4月に入ると既に川面が花筏になっていた。

さて、新年度になるとさまざまな制度が変わる。セカンドライフを考えるうえでも影響のある「改正高年齢者雇用安定法」が施行され、70歳までの就業を企業に求められるようになった。とはいえ、当面は努力義務だが、企業にとっては具体的な対応が必要になる。近い将来、70歳まで働くことが当たり前の時代になる。

企業にとっての選択肢は次の5つになる。

① 70歳まで定年引き上げ
② 定年制の廃止
③ 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
④ 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
⑤ 事業主が自ら実施あるいは資金提供等を行う社会貢献事業に70歳まで継続的に従事できる制度の導入

選択肢の①②③は前回65歳に引き上げた改正のときと同様の考え方だが、④と⑤は今回の改正で新たに付け加えられた。前回の雇用確保という考え方から、今回は就業機会の確保という考え方に変わった。

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現状は、60歳定年の企業が8割以上で、65歳まで再雇用制度により1年更新の契約社員という形態で雇用している。これらの企業が、さらに70歳まで同じ再雇用のスタイルを維持していくのは難しいのではないだろうか。かといって、定年廃止や定年を70歳へ引き上げる経営判断ができるだろうか。今回の法改正で、新たに付け加えられた業務委託や社会貢献活動という選択肢も具体化する必要があるだろう。

働く側に求められる「セカンドライフ」の本当の意味

一方、働く社員にとって今回の改正はどのように受け止められているだろうか。

人生100年時代といわれ、老後生活の収入確保を考えるうえでは、働ける機会が延びることは喜ばしいといえる。しかし、1つの会社で40年前後働いてきて、定年後も70歳まで再雇用で10年続けることに抵抗を感じる方もいるだろう。

70歳まで働くことを考えたとき、どのようなキャリアを選択するのか、真剣に考えることが重要だ。会社員生活を送っていると、日々の仕事に追われて将来のライフプランを考えることを忘れがちになる。とくに50代は仕事の面では熟練の域に達しているだけに、自信やプライドがあり、自分自身を白紙で考えることが難しい。

定年後の働き方を考えるうえで大切なことは、自分自身が何に興味関心があるのかを知ること。そして、セカンドライフをどのように充実させるかを考えること。

例えば、現在の会社に愛着があり同じ会社で長く働き続けたいのか。仕事の専門性を高めプロとして活躍したいのか。新しいことにチャレンジしたいのか。仲間と一緒に目標を達成することに喜びを感じるのか。ワークライフバランスを重視して趣味の時間を取れる働き方をしたいのか。田舎暮らしで晴耕雨読の生活を望んでいるのかなど、人それぞれの考え方が違うはずだ。

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この記事を書いた人

ファイナンシャル・プランナー&キャリア・カウンセラー

1953年東京生まれ、東京都立大学卒業、株式会社リクルートに入社。進学や住宅の情報誌の営業や企画・人事・総務などの管理職を務め、1995年マネー情報誌『あるじゃん』を創刊。発行人を務めた後、2004 年 ファイナンシャル・プランナー&キャリア・カウンセラーの資格を活かし、“キャリアとお金”のアドバイザーとして独立。企業研修の講師や個別相談を中心に活動中。大学の非常勤講師も務める。東京と京都のデュアルライフを実践中。

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