マンション売却に強い不動産会社の選び方と知っておくべき業界の4つの仕組み(5/6ページ)
菅 正秀
2017/05/09
<仕組み4>「囲い込み」されていないかには要注意
(図表3)囲い込みと両手取引
信頼して任せた営業マンが、すぐに購入希望者を見つけてきてくれれば問題ありませんが、「両手取引」志向が強すぎて業界でいう「囲い込み」をされてしまうと、売り主にとっては不利益になります。
「囲い込み」とは、媒介を受けた不動産会社が、ほかの不動産会社が連れてきた購入希望者をシャットアウトしてしまう行為です。具体的には、ほかの不動産会社から問い合わせがあった場合に「商談中です」と返答して、話を断ってしまうのです(図表3)。
そうなると、媒介契約を結んだ不動産会社が購入希望者を見つけるまで、ほかの購入希望者とのマッチングが成立するチャンスがなくなってしまいます。ほかに好条件の購入希望者がいたにもかかわらず、低い条件で契約しなければならなくなるのです。
両手取引を成立させたい営業マンは、契約を成立させやすくするために、わざと値下げをさせて買い手がつきやすくするなど、売り主にとってマイナスになることをする場合があるからです。
マンション売却を成功させるためのコツは?
そうならないためにはどうしたらいいのでしょうか? マンション売却を成功させるためのコツはあるのでしょうか?
まず、1カ月目は黙って営業マンの販売活動を見守りましょう。
あなたのマンションを紹介する物件資料を作成したり、レインズに登録したり、ポータルサイトに掲載する、自社に登録しているお客さんに紹介するなど、あなたのマンションを売るための準備があるからです。
ただし、2カ月経っても内覧に来る購入希望者がないなど、反響が少ない場合には要注意です。
通常、媒介契約は3カ月が契約期間になっていて自動更新はありません。ですから、3カ月目にその会社との契約を継続するかどうか判断できるようになっています。ダメだと思ったら契約を継続せずに不動産会社を変えましょう。
もちろん一度契約すれば3カ月間絶対に拘束されわけではありません。媒介契約は民法で云う「委任」契約になりますので、いつでも解約は可能です。解約された不動産会社のほうは、それまでの実費を請求することは可能ですが、実務上請求されることまずありません。
つまり、一度信頼して任せても、「囲い込み」をしていたり、努力不足が感じられたりすれば、いつでもほかの会社に乗り換えてもいいということです。
これがマンション売却を成功させるためのコツと言えるでしょう。
この記事を書いた人
株式会社フェリーズディア 取締役チーフコンサルタント
宅地建物取引士、マンション管理士、住宅ローンアドバイザー、福祉住環境コーディネーター。 1958年、大阪府大阪市生まれ。創価大学法学部卒業。大学卒業後、弁護士事務所に勤務、宅地建物取引士資格取得を契機に大手不動産会社に転じる。法律知識を活用し中古住宅、中古マンションの仲介営業を担当。 その後、顧客と一緒にモノづくりをするために、地域中小建設会社に移り、注文住宅・賃貸マンションの受注営業を担当。大手建設会社との競合が激しい中、操業以後に流入してきた近隣住民のクレームにお悩みの経営者さんに、不動産会社時代の人脈を使い工場の移転先を斡旋した上で、その跡地に93戸の賃貸マンション建設の受注をするなど、15年間で約32億円の受注する実績をあげる。現在は、建築にも明るい不動産コンサルタントとして、不動産会社のエスクロウ業務(契約管理)・新人社員指導等を行なっている。 一生に一度の買い物ともいえる住宅の購入をアシストできる人材を育成し、業界の健全な発展に貢献すべく活動中。