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相次いでいる子どもの「転落死」を防ぐために。賃貸オーナーに出来ること・するべきこと

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相次いで起きている子どもの転落死亡事故

この11月、マンションのベランダや窓から子どもが転落し、死亡する事故が相次いだ。

2日午後2時過ぎのこと。千葉市美浜区の高層マンションの25階から2歳の男の子が転落、死亡した。その前まで男の子は昼寝をしていたとのことで、住戸内に両親は不在。ひとりで目を覚ましたあと、誤ってベランダから落ちたとみられている。

その3日後の5日午前9時45分頃、大阪府豊中市の4階建てマンションの敷地内で倒れている子どもが発見された。搬送先の病院で死亡が確認されている。亡くなったのはこのマンションの4階に住む2歳の男の子で、自宅窓から転落したものとみられている。当時、父親が在宅。しかし別室にいたため、子どもの様子がわからない状態だったという。

さらに13日午後11時過ぎ頃、青森県八戸市の市営住宅の10階から4歳の男の子が転落し、死亡している。事故の発端は、男の子が就寝中、母親がゴミ出しに出かけたことだった。目を覚ました男の子が、部屋の内側から玄関ドアの鍵をかけてしまったため、母親は中に入れず、男の子もうまく鍵を開けられない。仕方なく母親は警察官を呼びに交番に向かったが、その際、男の子は母親の姿を確認しようとしたのか、部屋の中にあった高さ45cmのイスを持ち、ベランダに出たらしい。おそらくはそれに乗ってベランダの手すりから身を乗り出したところ、バランスを失い、落下したとみられている。

転落事故に結びつく、大人が予期せぬ子どもの行動

以上、痛ましい3件の事故については、子どもがベランダや窓から落下する瞬間を目撃した人がいない。そのため、転落の直接的な原因は推測するしかない状況だ。そのうえで、一般的に建物のベランダや窓からの子どもの転落事故は、大人が容易には予測できない子ども特有の行動によって起こりやすいことが知られている。

たとえば、ベランダの外壁等を子どもが上手くよじ登ってしまう例だ。壁や柵、その上に設置された手すりの位置までがある程度高くても、装飾としての壁穴など、足がかりになるものが付いていると、子どもは上手にそれを利用してしまう。ベランダの向こうを覗きたい旺盛な好奇心そのままに、身を乗り出してしまうことになる。

同じように、どこのベランダにもありがちなエアコンの室外機や物干し金具、これらも位置によっては大変危険なものとなる。子どもが一旦室外機の上にのぼったうえで、次にベランダの柵を乗り越えたと見られる転落事故の例もある。

窓も同様だ。窓や網戸に体重をかけ、寄りかかるといった行為は、普通の大人ならば決してしない。なので、多くは予測もできない。だが、子どもは容易にやってしまう。体の重さでサッシが窓枠から外れたり、網戸の網が破れたりすれば、子どもはそのまま外へ真っ逆さまとなる。

「補助錠」で防げる可能性が高い、11月の3件のような事例

こうしたベランダや窓からの子どもの転落事故を防ぐため、たびたび注意を促しているのが消費者庁だ。今年も7月にリリースを行っている。

この中で、同庁は、

「見守りは大切だが、保護者がつねに目を離さずにいることは難しい」
「事故を防ぐためには、事故の特徴を知り、事前の対策を取ることが大切」

と、したうえで、次の6つのポイントを挙げている。

1.子どもが勝手に窓を開けたり、ベランダに出たりしないように、窓には子どもの手の届かない位置に補助錠を付ける

2.窓やベランダの手すり付近に足場になるようなものを置かない

3.窓、網戸、ベランダの手すり等に劣化がないか定期的に点検する

4.小さな子どもだけを家に残して外出しない

5.窓を開けた部屋やベランダでは小さな子どもだけで遊ばせない

6.窓枠や出窓に座って遊んだり、窓や網戸に寄りかかったりさせない

なお、以上を見て、「このうち2つは自分にできる」あるいは、「むしろ私の仕事だ」と、感じた賃貸住宅オーナーもいるはずだ。

どれか? 答えは簡単だ。

1―― 窓(さらに網戸)には子どもの手の届かない位置に補助錠を付ける
3―― 窓、網戸、ベランダの手すり等に劣化がないか定期的に点検する

特に3は、家賃と引き換えに借主に対して安全・安心な住居を提供しなければならない賃貸オーナーの基本的義務のひとつとなる。たとえ入居中の部屋であっても、入居者へ趣旨を説明の上、問題が無いか尋ね、口頭確認しておくのがよいだろう。

そして1の「補助錠」も、幼い子どものいる家族を迎えることも多いファミリー向けの物件を運営するオーナーを中心に、ぜひ実行しておきたい子どもの転落事故対策となる。

もっと重要なのは「啓発=よびかけ」?

そのうえで、さらにオーナーには意識してもらいたいことがある。

上記の1、3以外にも、子どもの転落事故防止のため、オーナーには積極的に関与できることが実はあるのだ。しかも、それはかなり効果的だったりもする。

答えは「啓発」だ。

1、3を除いた先ほどの残り――

2―― 窓やベランダの手すり付近に足場になるようなものを置かない
4―― 小さな子どもだけを家に残して外出しない(あるいは、小さな子どもだけを目の届かない部屋に残すなどしない)
5―― 窓を開けた部屋やベランダでは小さな子どもだけで遊ばせない
6―― 窓枠や出窓に座って遊んだり、窓や網戸に寄りかかったりさせない

こうしたことをオーナーが子どもをもつ入居者である親に対し、時宜を選んで、重ねて呼びかけておくのだ。

ひと口に「親」といっても、子育ての経験が豊富なベテランもいれば、まったくの初心者も大勢いる。「子どもの管理は親の義務」「他人が細かく口出しすべきことではない」などと放っておくのではなく、呼びかけ、気付かせることで、物件が悲しい事故の現場となることを少しでも避けるというやり方――、これはクレバーな意味でも、オーナーがぜひとも心得ておきたいこととなる。

リスクを積極的に知らせる

さらに、経営する物件に子どもの転落事故を招きかねない特有のリスクがもしも存在するならば、オーナーはそれも積極的に親へ知らせておこう。

たとえば、さきほど例にも示したベランダでの「足がかり」の存在だ。

子どもがよじ登ると、ベランダの外壁や柵、手すりを乗り越えやすくなるような位置にある……

・エアコンの室外機
・壁の穴や凹凸
・物干し金具 など

これらが重大なリスクとなることに気付いていない親、知らない親も、もちろん大勢いる。教えて気付かせようということだ。

ちなみに、「窓」では出窓の天板が特に危ない。同様に奥行きのある窓枠も危ない。

その手前にベッドやソファなどが置かれていると、子どもはそれらに飛び降りるジャンプ台としてこれらを使ってしまうことがある。あるいは、椅子に座るように天板や窓枠に腰掛けたりもする。

いずれもすぐに想像できるとおりだ。バランスを崩して身体が窓や網戸にぶつかると、転落事故の危険が一気に迫ることになる。

なお、こうしたリスクは、室外機を移動させるなど、そもそも物理的に排除できていることが理想だが、そうもいかないことも多い。

ならば「啓発」だ。しっかりと入居者に危険を知らせておこう。

「出窓の天板にお子さんがのぼれるような家具の配置は危険ですよ。ソファやベッドなど絶対に置かないように!」

そのような、文書や口頭による注意のほか、ステッカーをこしらえ、それぞれの場所に貼るというのもよい方法だろう。

補助錠を取り付けた場合の「火災リスク」について

最後に付け加えておきたい。

消費者庁も推奨する「窓には子どもの手の届かない位置に補助錠を付ける」――との対策だが、これは別のリスクをひとつ生んでしまう。

火災時だ。

子どもの手の届かない位置の補助錠が、たとえばベランダの窓にかかっていると、火災時、子どもはベランダを通っての避難ルートを失うことになる。

なので、オーナーが物件にそうしたかたちの補助錠を取り付けたならば、この「火災時リスク」も親にはしっかりと知ってもらうことだ。そのうえで、効果的に補助錠を使ってもらうよう促したい。

「小さな子どもだけを家に残して外出しない」の基本が、この場合あらためて重要なこととなる。

(文/賃貸幸せラボラトリー)

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消費者庁・令和4年7月20日リリース
「子どもの転落事故に注意!――落ちるまではあっという間です。事前の対策で事故防止を――」

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この記事を書いた人

編集者・ライター

賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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