ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

マンションを購入する際、注意すべき点は何か?

マンション購入 モデルルームに行く前の4つのチェックポイント+α(1/2ページ)

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

イメージ/©︎dit26978・123RF

変わるモデルルーム見学の風景

引っ越し転勤シーズンの3月、久しぶりに千葉市内の新築マンションのモデルルームに立ち寄ってみた。ところが「予約がないとご覧いただけません」と断られた。その後、別のマンションの販売センターにも電話をしてみると、そちらでは「まずオンライン登録をしたうえで、翌週以降の予約をしてほしい」とすぐにはできないと断られた。

少なくとも、数年前まではモデルルームの見学は予約などしなくても歓迎された。駅前でチラシを配ったり、住宅情報誌と提携して来場者に商品券を配ったり、あらゆる手段を講じて集客していた時代が懐かしい。

当時はモデルルームに大勢の来場者が来て、賑わっている光景も重視されていたのだ。今はコロナ禍で密を避けるためという理由もあるが、首都圏でのマンション供給戸数がピーク時の3分の1程度まで減っていることもあり、売る側にもお客を選別できる余裕がでてきたのかもしれない。

さて、そんな状況を考慮すると、マンショ購入にあたって、とくに初めての購入者はなおさらだが、モデルルームにはすぐには行かないように「ディベロッパー側の裏事情」からアドバイスしていきたい。

物件購入にあたっては、インターネットや住宅情報誌などでたくさんの情報を集め、気になるいくつかの物件をリストアップ。そして、はやる気持ちを抑え、モデルルームには寄らずに、まずは現地周辺の環境調査を行うことをお勧めする。

「周辺だけを見て後日モデルルームに行くなんて二度手間」などと思ってはいけない。平日・休日それぞれ朝・昼・晩と様々な条件で何度も足を運ぶ人だっている。頻繁にオフィスへ出勤する人なら、通勤時間帯に現地から駅まで歩き、電車に乗って通勤してみるのもいい。

在宅勤務の多い人は近所でテレワークをしてみよう。近くの公共施設やお店などに入って、ちょっとした世間話をしてみることで地域の住環境、学校の評判、買い物の利便性など様々な生の情報を得ることができる。

最初にモデルルームに行ってはいけない理由

新築マンションのモデルルームには百戦錬磨のセールスパーソンが待ち構えている。映像や模型を交えて、豪華な内装・設備に飾られたモデルルームを案内。あっという間にあなたをその物件の虜にしてしまうだろう。

豪華な家具、家電、装飾品でホームステージングを施し、部屋を広く見せるために壁に設置した大型の鏡……しかし、これらの設備や備品は別売りのオプション品ばかり。あなたが実際に購入する部屋はまったく別の風景になると思うべきだろう。

また、素人が思いつきそうな質問に対しては完璧な想定問答集が用意してあるのか、何でもポジティブな回答が返ってくる。不動産営業に慣れていない人など、マインドコントロールされてしまうので、そのような状況になる前に多くの物件を冷静に比較しておくことが大事なのだ。そして、自分なりのチェック基準を頭に入れた上で、なるべくなら優先順位の低い物件からモデルルームを訪問しよう。

モデルルーム訪問前のチェックポイント

物件の周辺環境のチェックにあたっては、現地の地図、カメラ、チェックリスト、メモ帳などを持って行き、以下のポイントをチェックする。

チェック1:周辺の道路事情の確認

通勤・通学・買い物などの経路となる生活道路の見通しの良さ、歩道・自転車道の有無、信号・ガードレールの設置状況、夜間の街の様子や街灯などをチェック。子どものいる家庭では通学路の安全性も大切だ。

また、マンション近辺に高速道路や幹線道路がある場合は交通量や騒音・排ガスの実態も調べておきたい。鉄道と違い、道路には休みがない。交通量の多い道路に面していると365日24時間、逃れることができず、許容できるレベルか、どのような対策が施されているかなども調べておきたい。

チェック2:最寄り駅からの所要時間

「最寄り駅から徒歩○分」という所要時間は、マンションにおいて駅に最も近いエントランスから駅までの距離を80m/分で計算している。高齢者や子どもから見れば早い感じだ。距離は同じでも坂道や信号、踏切、歩道橋などがあれば本当の所要時間が違うし、地下鉄などでは駅に入ってから、ホームまでの時間がかかることもあるので、実際に歩いて測ることが大切だ。中でも大規模物件やタワーマンションの場合は、自宅玄関からエントランスまでの時間を加えた所要時間は表示よりもかなり長くなることがある。タワーマンションでは高層階専用エレベーターの有無も要チェックだ。高層階に住む友人は、物件概要に表示の所要時間は駅徒歩8分なのに、実際にはエレベーターでロビー階まで降りエントランスを通り抜けるだけで7~8分かかることが多いと嘆いていた。

チェック3:周辺の土地・建物の状況

眺望や日当りの優先順位が高い人は、隣接地(特に南側の土地)の現状や建替え・増築の可能性をチェックする。また、隣接地に限らず周辺の用途地域を調べ、何が存在するかだけでなく、将来どのような建物が建設される可能性があるか、地域の都市計画や高さ制限まで考えてみる。投資物件購入であれば、これはなおさら当然の視点だ。

チェック4:物件周辺のポイント

家族構成やライフスタイルによって優先順位は異なるが、学校や習い事など教育環境、公園やスポーツ施設、図書館、音楽ホールなどの公共サービス、買い物・レジャーなどの商業施設の有無なども、建設地周辺を訪問する際のチェックポイントになる。

長く暮らすつもりで5年後、10年後、20年後の状況も想像してみる。例えば、若いカップルにとって、現在は通勤やレジャーの利便性が優先かもしれないが、5~10年後のことを考慮すると、病院であれば産婦人科・小児科、公園、幼稚園・保育園、学校や塾などの重要度が高まっていることが予想される。中高年層の場合は、20年ほど経てばバリアフリーの必要性、近所での買い物、医療施設へのアクセスなども気にとめておきたいポイントである。

新型コロナによってテレワークが推奨され、コロナ後も在宅勤務対応も重要になるだろう。とはいえ、夫婦2人または夫婦+子どもの3~4人が同時にオンラインで仕事や学習をする環境をマンション内だけで整えることは大変だ。それにたまには息抜きも必要で、それには仕事もできるカフェ、あるいは家族に気兼ねせずテレワークができるコワーキングスペースやレンタルボックスなどが近所にあると便利で、こうした点もチェックポイントになる。

次ページ ▶︎ | 必ず押さえておきたい管理費、長期修繕計画と駐車場料金

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

都市開発・不動産、再開発等に関係するプロフェッショナルの集まり。主に東京の湾岸エリアについてフィールドワークを重ねているが、全国各地のほか、アジア・欧米の状況についても明るい。

ページのトップへ

ウチコミ!