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マンション売却を成功させるために大切なこと

マンション売却に強い不動産会社の選び方と知っておくべき業界の4つの仕組み(3/6ページ)

菅 正秀菅 正秀

2017/05/09

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<仕組み2>不動産会社は「専任媒介契約」を志向する

実際に不動産会社を選ぶときには、通常、マンションがいくらで売れるか、何社かの不動産会社に売却価格の査定を依頼することになります。そのとき、どの不動産会社も判で押したように「専任でお願いします」と言ってくるでしょう。なぜなら、不動産仲介は成功報酬の世界だからです。

マンションを売却するとき、無事に買い主が見つかって売買契約が成立すると、売り主は不動産会社に仲介手数料を支払います。

この仲介手数料は成功報酬ですから、いくら広告費をかけても、営業マンが走り回っても、実際に売買契約が成立しなければ報酬は発生しません。そのため、確実に仲介手数料を受け取りたい不動産会社は「専任媒介契約」を希望するのです。

この媒介契約についてご説明しましょう。マンションの売却を不動産会社に依頼するときには、売り主と不動産会社の間で媒介契約を結びます。この媒介契約には大きく分けるとふたつあります。

ひとつは、複数の不動産会社に媒介を依頼する「一般媒介」です。この場合、複数の不動産会社のなかで売買契約を成立させた1社だけが仲介手数料をもらえます。つまり、ほかの不動産会社はいくら頑張っても売上げはゼロです。

もうひとつは、1社にだけ媒介を依頼する「専任媒介」です。専任媒介を受けた不動産会社は、自分たちで買い主を見つけなくても、売買契約が成立さえすれば、売り主から仲介手数料を受け取ることができるのです。そのため、不動産会社は安心して活動ができる専任媒介契約を志向することになります。

ちなみに、専任媒介には、「専属専任媒介」と普通の「専任媒介」があり、専属専任媒介の場合には、あなた(売り主)が自ら買い主を見つけた場合であっても不動産会社に仲介手数料を支払わなければいけません。

なお、宅地建物取引業法では、専任媒介契約には7日以内にレインズ(不動産会社しか見られない物件情報データベース)に登録することと、2週間に1回以上、販売活動の状況を売り主に報告することを義務づけています。さらに専属専任媒介契約には、5日以内のレインズへの登録、1週間に1回以上の報告義務を課しています(図表1)。


(図表1)一般媒介と専任媒介の違い

もちろん、3種類の媒介契約のどれを選択するは、売り主であるあなたが自由に選べます。何社か競わせたほうがいいと考えるのであれば「一般媒介」がいいでしょうし、信頼できる1社に任せたほうがいいと考えるのであれば「専任媒介」がいいでしょう。

ただし、一番やってはいけないのは、大手数社に一般媒介で任せることです。これだとどこの会社も手数料が発生しないリスクを恐れて積極的に活動しないことが起こり得ます。

一般媒介にする場合は、地場中小の会社も入れることをおすすめします。

地場中小の不動産会社のなかには、売上げを上げるために、買い手を見つけてくる不動産会社にバックマージンを支払ってでも売買契約を成立させようとするなど、小回りのきく地場中小ならではの手法を取る会社もあり、積極的に販売活動をしてくれることが期待できます。

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この記事を書いた人

株式会社フェリーズディア 取締役チーフコンサルタント

宅地建物取引士、マンション管理士、住宅ローンアドバイザー、福祉住環境コーディネーター。 1958年、大阪府大阪市生まれ。創価大学法学部卒業。大学卒業後、弁護士事務所に勤務、宅地建物取引士資格取得を契機に大手不動産会社に転じる。法律知識を活用し中古住宅、中古マンションの仲介営業を担当。 その後、顧客と一緒にモノづくりをするために、地域中小建設会社に移り、注文住宅・賃貸マンションの受注営業を担当。大手建設会社との競合が激しい中、操業以後に流入してきた近隣住民のクレームにお悩みの経営者さんに、不動産会社時代の人脈を使い工場の移転先を斡旋した上で、その跡地に93戸の賃貸マンション建設の受注をするなど、15年間で約32億円の受注する実績をあげる。現在は、建築にも明るい不動産コンサルタントとして、不動産会社のエスクロウ業務(契約管理)・新人社員指導等を行なっている。 一生に一度の買い物ともいえる住宅の購入をアシストできる人材を育成し、業界の健全な発展に貢献すべく活動中。

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