お客さんには絶対見せない! 知らないと損する不動産業界の4つの仕組み(3/4ページ)
ウチコミ!タイムズ編集部
2017/04/04
売り主にとって大きな損失になる「囲い込み」
「両手取引」は宅建業法で禁止されているものではなく、違法行為ではありません。仮に、他社が連れてくる買い主よりも、高く買ってくれる買い主を見つけられるのであれば、「両手取引」であっても売り主の利益が損なわれることはなく、何の問題もありません。
ですが、少しでも高く売りたい売り主と、少しでも安く買いたい買い主の利益は多くの場合は一致せず、双方代理の要素がある両手取引には倫理的な問題があると言えるでしょう。
「両手取引」よりも問題なのは「囲い込み」です。「囲い込み」は違法性の高い禁止行為なのですが、一部の不動産会社の間では、いまだに横行しているようです。
「囲い込み」にあってしまえば、売り主は経済的に大きな損失を被ることになってしまいます。そのようなことにならないため、売り主はどのように対処していけばいいのでしょうか。
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「囲い込み」を防ぐための具体策
「囲い込み」に遭うのを防ぐ具体策として、次のようなものが考えられます。
(1)業界の仕組みを理解すること
ここでご説明したような、不動産業界独特の仕組みを知っておくことが大切です。そして、不動産会社や営業マンを選ぶ際には、その考え方をしっかり聞いて、信頼できる相手をパートナーを選ぶことです。
その上で、「囲い込み」を始めとする業界の仕組みについて知っていることを相手に見せましょう。
(2)媒介契約は慎重に選択する
不動産会社との間で結ぶ「媒介契約」には、「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3種類があります(図表1)。
(図表1)媒介契約には3種類がある
「専任媒介」と「専属専任媒介」の場合、1社に仲介を任せることになるため、「囲い込み」に遭いやすいと言えるでしょう。しかも、「専属専任媒介」では売り主自らが買い主を探すことさえできません。
「囲い込み」を避けたいのであれば、「一般媒介」を選択することが有効です。「一般媒介」で複数の不動産会社に競争をさせることで、売り主にとって条件のよい買い主を見つけることも可能になります。
ただし、「一般媒介」の場合は、レインズへ物件情報を登録する義務がありません。また、販売活動について売り主へ報告する義務もないので、売り主が積極的に不動産会社に働きかける必要があるでしょう。
また、不動産会社からしてみれば、仲介手数料は成果報酬なので、真剣に販売活動を行なっても報酬がゼロに終わることもあります。そのため、ほかに物件を多く抱えている大手不動産会社などは、あまり真剣に取り組んでくれない可能性が高くなります。
そのため、時間的な制約などから、あまり自分から働きかけることができない場合には、「専任媒介」を選択して、「囲い込み」などの行為があった場合には、すぐに契約を解除することです。媒介契約を結ぶ際には念のために、売り主から申し出れば、契約期間内でも契約を解除できることを確認しておきましょう。
この記事を書いた人
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