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不動産で後悔しないために知っておくべきこと

「物件の募集図面」を見れば不動産会社の裏側が手に取るようにわかる!(6/6ページ)

大友健右大友健右

2016/11/17

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知っておくべきフリーレントの仕組みと裏側


(図4)「AD2カ月(AD→フリーレント転用可)」の意味は?

礼金だけでなく、入居後の一定期間の家賃が無料になる「フリーレント」も、この手の営業トークによく使われます(図4)。
この図面には「AD2カ月(AD→フリーレント転用可)」と書かれていますね。

この場合、バックマージンであるADが家賃の2カ月分ありますので、お客さんに「フリーレント1カ月」をつけてあげて、残りの1カ月は家賃を払ってもらい、それを自分たちの儲けにすることもできるし、最大で「フリーレント2カ月」まで広げて迷っているお客さんの決断をうながすことができるというわけです。

なお、ここでご紹介した、「AD」や「フリーレント」の裏側については、下記の記事に詳しくまとめてありますので、ご一読ください。

(参考記事)
「ネットで部屋探し」をすると家賃が高くなるって本当?

結局、損をするのは誰なのか?

先ほどお話ししたように、賃貸の場合の仲介手数料は、その上限が「1カ月分の家賃」と決められています。
しかもこれは、「大家さんと入居者の双方から得られる報酬額の合計金額」ですから、不動産会社は入居者から1カ月分の仲介手数料をもらったら、大家さんからは手数料を受け取ることはできませんし、大家さんから1カ月分の仲介手数料をもらえば、入居者からは手数料を受け取ることはできないことになります。
同様に、売買取引の仲介手数料も上限が決められています。

ただ、それはあくまで建前で、残念なことに実際には「AD」とか「B」という暗号を使って宅建業法のきまりをすり抜けてしまうのです。
そして、そのような方法で不動産会社が受け取った「グレーな報酬」は、回り回って住宅を購入する人、家賃を支払う入居者の負担へと形を変えていくと考えていいでしょう。

今回の記事をごらんいただいたみなさんには、不動産業界の慣習や商習慣について知ることが、ご自身の大切な資産を守るための第一歩だということがおわかりいただけたのではないでしょうか。
一般の消費者として、不動産の取引で後悔しないための知恵や対策を、この連載ではお話ししてきたいと思います。

※この記事は、次の記事を再編集して掲載しています。
不動産の販売図面には、お客さんには見えない「秘密の暗号」がある
「礼金ゼロ」「フリーレントつき」物件のカラクリとは

 

 

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この記事を書いた人

株式会社ウチコミ 代表取締役 株式会社総研ホールディングス 代表取締役 株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役 1972年生まれ。大手マンション会社で営業手法のノウハウを学んだのち、大手不動産建設会社に転職。東京エリアにおける統括部門長として多くの不動産関連会社と取引、不動産流通のオモテとウラを深く知る。 現在、株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役として、住宅リフォームを中心に事業を展開。また、株式会社ウチコミ 代表取締役として、賃貸情報サイト「ウチコミ!」を運営。入居の際の初期費用を削減できることから消費者の支持を集める。テレビ・新聞・雑誌などメディア出演も多数。

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