住宅ローンをフルローンで組むのは危険? そのメリット・デメリットは?(3/5ページ)
斎藤 岳志
2017/06/27
3000万円の物件をフルローンで買った場合の返済額は?
ここで、3000万円の物件を購入した場合の返済額をシミュレーションしてみましょう。
住宅ローンは、全期間固定金利型の【フラット35】で、返済期間は35年とします。金利は、頭金を1割以上用意した場合は1.09%、フルローンの場合は1.53%(いずれもアルヒ社の2017年6月の金利)とします。
図1を参照してください。
(図1)3000万円の物件を購入した場合の返済額の違いは?
頭金を2割(600万円)用意した場合、毎月の返済額は6万8759円、一方、フルローンの場合、毎月の返済額は9万2296円となり、毎月の支払額の差は、2万3537円です。
フルローンの場合、借入れする金額が多くなる分、毎月の返済額も多くなります。ですが、約2万4000円の差額をどのようにとらえるかは、それぞれの家庭によって違うことでしょう。ただ、現在はかつてないほど金利水準が低くなっていますから、借入額による金利負担の差は小さくなっていることは確かです。
仮に、毎月の返済額でこれだけの差額があっても、家計事情を踏まえた上で、無理なく返済していけると判断できるのであれば、フルローンでマイホームを購入することは、決して危険な判断ではないと考えます。
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フルローンで家を購入するメリットは?
ここまでお読みいただいて、フルローンを組むことに対する向き合い方が、少しずつおわかりいただけてきたのではないでしょうか。
そこで、フルローンでマイホームを購入するメリットを改めてまとめておきましょう。
フルローンでマイホームを購入することの最大のメリットは、「購入までの時間を短縮できる」という点です。つまり、頭金を貯めるまで購入を待つ必要がないということです。
頭金に当てるだけの十分な貯蓄がないとしても、ご自分の希望にあった物件が見つかれば、すぐにでも住宅ローンを活用してマイホームを手に入れることができます。
マイホームを購入したいと考えるタイミングが、それぞれのご家庭の事情によってまちまちです。また、マイホームへの夢を思い描き、物件探しを始めたとしても、いつ理想の物件と出会えるかは、誰にもわかりません。
理想の物件を見つけたときに、頭金が貯まっていないがために購入をあきらめることなく、理想の家に住み始めることができることこそが、フルローンを組むことで時間を短縮できる最大のメリットと言えるのではないでしょうか。
この記事を書いた人
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
FPオフィス ケセラセラ横浜代表 百貨店在職中にファイナンシャル・プランナーの資格を取得。税理士事務所、経営コンサルティング会社などを経て、FPオフィス ケセラセラ横浜を開設、代表を務める。 マイホーム購入・売却相談のほか、不動産投資のサポートも行なっている。株式投資やFXなど一通りの投資を実践した後、2007年より不動産投資をスタート。現在は、自らの資産運用はほとんど中古マンション投資に絞って取り組んでいる。