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駐車場経営における注意点

森田雅也森田雅也

2023/12/19

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駐車場利用を目的とする土地の賃貸借では、原則として借地借家法は適用されませんが、思わぬかたちでトラブルが発生する可能性があります。また、無断で駐車場が使用されてしまうケースも散見されています。今回は、駐車場経営をするうえでのポイントや注意点についてご説明します。

1.借地借家法と駐車場

⑴ 借地借家法とは?
借地借家法は、建物の所有を目的とする土地の賃貸借に適用されます(借地借家法1条)。借地借家法が適用される場合、貸主側から一方的に契約を解除することはできません。賃貸借契約の期間満了の際も、借主が契約の更新を請求すれば、既に締結済みの契約と同一の条件で契約を更新したものとされます(同法5条1項本文)。
貸主は、借主からの更新請求に対して異議申し立てをすることはできますが(同条同項但書)、「貸主が当該土地を使用しなければならない事情が発生した」等の正当事由が必要とされます(同法6条)。

⑵ 駐車場にも借地借家法は適用される?
駐車場利用を目的として土地を貸し出す場合、建物の所有を目的とするものではないため、借地借家法は適用されません。よって、契約期間が満了すると土地賃貸借契約は終了し、賃借人が契約の更新を請求しても、賃貸人は当該更新請求を拒絶することができます。
もっとも、駐車場にするために貸し出した土地上に、勝手に建物が建築されてしまった場合、その状態を長期間放置してしまうと、当該土地賃貸借契約が建物の所有を目的とするものとみなされる可能性があります。
上記のように、思わぬかたちで借地借家法が適用されてしまうトラブルを防止するためには、土地の賃貸借契約を締結する際、契約書に契約の目的として「自動車駐車場として使用する」旨を明記しておくことや、定期的に貸している土地の状況を確認することが重要です。

⑶ 駐車場のオーナーチェンジがあった場合、新賃貸人は駐車場の土地の賃借人を立ち退かせることができる?
民法605条の2第1項では、「借地借家法第10条又は第31条その他法令の規定による賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人の地位は、その譲受人に移転する。」と定められています。他方で、譲渡人と譲受人との間で、賃貸人の地位の移転を譲渡人に留保する旨の合意がある場合等には、例外的に、賃貸人の地位は移転しないとされています(同法605条の2第2項前段)。
上述した通り、駐車場契約には原則として借地借家法の適用はないことから、駐車場として利用している土地についての賃借権登記がなければ、駐車場の賃貸人の地位は、駐車場として利用されている土地を譲り受けた第三者には当然移転しません。
よって、駐車場として利用されている土地について賃借権の登記がなければ、賃借人は、駐車場の新賃貸人に対して、自己の賃借権を主張することができません。このような場合、駐車場として利用されている土地の買主は、土地の賃借人に対し、原則として、土地の明渡請求をして賃借人を立ち退かせることができます。

2.駐車場を無断で利用されてしまった場合の対応

⑴ 自力救済の禁止
駐車場経営にまつわるトラブルとして、契約が終了した後も自動車が放置され続けるケースや、そもそも何の契約もしていない人に駐車場を無断で利用されてしまうケースが多く見受けられます。
何の権利もなく無断駐車している自動車であれば、勝手に移動させてしまっても問題ないと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、法的手続によらず権利を行使する「自力救済」は、原則として禁止されています。
さらに、所有者に無断で自動車を移動させたり傷つけたりした場合には、逆に相手方から不法行為に基づく損害賠償を請求されてしまう恐れがあります。
よって、無断で駐車場が利用されてしまった場合には、法的手続きによって、土地の明渡請求をする必要があります。

⑵ 自動車の所有者の特定
駐車場に無断で駐車されてしまった場合、まず自動車のナンバー等の情報に基づき国土交通省運輸局に問い合わせをし、無断駐車をしている自動車の所有者を特定する必要があります。軽自動車の場合には、窓口は運輸局ではなく軽自動車検査協会となるため、注意が必要です。
所有者が明らかになった場合、まずは任意で自動車の早急な移動を求めましょう。

⑶ 土地明渡請求訴訟の提起
交渉による自動車の任意撤去に応じてもらえない場合、管轄裁判所に対し、自動車の所有者を被告として、土地明渡請求訴訟を提起することになります。
さらに、駐車場の明渡しまでの期間の賃料相当の損害金を支払うよう請求することも考えられます。
裁判で明渡請求を認める判決が出た後は、当該判決に基づき強制執行の申立てを行い、土地の明け渡しを実現することになります。

3.まとめ

上述した通り、駐車場経営をするにあたっては、様々な法的トラブルに直面する可能性があります。
駐車場経営でお困りの方は、お近くの弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

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この記事を書いた人

弁護士

弁護士法人Authense法律事務所 弁護士(東京弁護士会所属)。 上智大学法科大学院卒業後、中央総合法律事務所を経て、弁護士法人法律事務所オーセンスに入所。入所後は不動産法務部門の立ち上げに尽力し、不動産オーナーの弁護士として、主に様々な不動産問題を取り扱い、年間解決実績1,500件超と業界トップクラスの実績を残す。不動産業界の顧問も多く抱えている。一方、近年では不動産と関係が強い相続部門を立ち上げ、年1,000件を超える相続問題を取り扱い、多数のトラブル事案を解決。 不動産×相続という多面的法律視点で、相続・遺言セミナー、執筆活動なども多数行っている。 [著書]「自分でできる家賃滞納対策 自主管理型一般家主の賃貸経営バイブル」(中央経済社)。 [担当]契約書作成 森田雅也は個人間直接売買において契約書の作成を行います。

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