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改ざん、過剰融資、中抜き…

なんでもありのシェアハウス「かぼちゃの馬車」トラブル(5/5ページ)

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逆に入居者がなく家賃保証をする場合では、契約書に『家賃の減額に応じなければ解約ができる』とあれば、一方的に家賃を下げることできます。こうしたケースでオーナー側の楯になるのは消費者契約法なのですが、いまはほとんどの契約書に、この一文が入っておりこの法律もオーナーを守る手立てにはなりにくい」

その一方でオーナー側にまったく問題がないとも言い切れない部分もある。国土交通省がサブリースについて、オーナーへのアンケートを行った際、およそ8割のオーナーが業者の出した収支計画書を見たこともないという結果が出たというのだ。

大谷さんがこう話す。

「銀行がサブリースで貸し出す際に見るのは、収支計画書と大規模修繕の2つです。たとえば、収支計画書では周辺の家賃相場が5万円だったとしても、7万5000円で設定しても銀行の審査は通ります。つまり、収支計画書から貸し出せる金額をはじき出しているともいえます。こうしたことを勉強しているオーナーさんもいますが、まったくそうでないオーナーもいます。ましてや自宅の家や土地を共同担保にしていれば、デフォルトしてしまったときはすべてを失うことになります。実際、大手のサブリースを行っている会社はそういう仕組みを利用してきます。30年間一括借り上げ、家賃保証という言葉に安心せず、こうした書類をきちんと精査すべきです。そして、サブリースを行う会社が果たして、30年後も存続できる会社なのかの見極めも必要です。スマートデイズの案件では、奥さんにも相談せず販売会社の営業マンから『こういうことは男が判断するものです』といわれ契約書にハンコを捺した人もいたそうです。きちんと回りに相談していれば違った結果になっていたかもしれません。3億円も借りられるんだと舞い上がってしまった人もいたようです。もっときちんとリスクも考える必要があります」

スマートデイズをはじめとした一連のシェアハウスの融資の問題は、スルガ銀行そのものの経営を揺るがす大問題になる可能性も指摘されている。そのため不正があったとしても、スルガ銀行がそう簡単には融資そのものを白紙撤回するとは考えにくい。実際、すでに融資をしたオーナーに対して個別に交渉をはじめており、被害者団体の切り崩しにかかっているともいわれる。問題が表面化して、半年を過ぎたが、いまだ事件全体の構図は見えていない。しかも、オーナーに対して相場より高く売って、その途中で抜かれた金の行方の解明はまったく手が付けられていない。この事件の本質が見えてくるのはまだまだ先になりそうだ。

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