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改ざん、過剰融資、中抜き…

なんでもありのシェアハウス「かぼちゃの馬車」トラブル(2/5ページ)

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そもそも日本のシェアハウスは、外国人旅行者などが長期滞在する「ゲストハウス」からはじまったものだった。こうしたシェアハウスは入居の際の仲介手数料や保証人が不要、家具や家電も完備され入居者のメリットが大きいと注目が集まった。その一方で、オフィスや倉庫を1~2畳のスペースに仕切り、居住用シェアハウスとして貸し出す違法貸しルーム、いわゆる“脱法ハウス”が横行。この対策として、国土交通省は13年にシェアハウスは「寄宿舎」に該当すると見解を出し、脱法ハウス規制を行った。しかし、この寄宿舎の基準があまりに厳しく、すでにワンルームマンションや戸建てといった居住用住宅を改造したシェアハウスまでも脱法ハウスになってしまうためシェアハウス業界は、この規制の見直しを求めていた。


女性受けしそうな内装で入居付けを試みたが結果はご存知の通り

その後、15年に東京都が戸建て住宅、マンションを転用したシェアハウスの規制を緩和。シェアエコノミーの高まりとも相まって、住宅型のシェアハウス投資が大きく広がっていくことになる。実際、スマートライフ(スマートデイズの前社名)の売上も15年7月期の20億円・営業利益は4900万円から16年7月期には売上180億円・営業利益12億円と売上、利益を急激に伸ばし、20年には上場を目指していた。

銀行も結託? 騙しのスキーム

スマートデイズのシェアハウスのビジネスモデルは、いたってシンプルだ。それはオーナーが銀行ローンでシェアハウスを購入。スマートデイズが30年間一括借り上げを行い、家賃を保証し、管理運営を行うというサブリース。また、管理についても独自の考え方を持っていた。前身であるスマートライフの実質的なオーナーだった佐藤太治氏を知る人は「女性専用にすることで物件は傷まず、居住者のなかから寮長的な人が自然発生的に現れるため変な居住者は排除されるため管理も楽だ」と女性専用シェアハウスのメリットを聞かされたという。

しかし、スマートデイズの被害をここまで大きくしたのには理由があった。

「一般的なサブリースは土地を持った人に銀行ローンでアパートを建ててもらって、それを一括借り上げするのですが、スマートデイズの特異なところは、土地代も含めて銀行ローンを組んで販売しているところです。融資額も1億円から2億円が中心で、ローンの中身もフルローン、オーバーローンになっているんですね」

こう話すのは「シェアハウス被害者の会」日本不動産仲裁機構・専務理事の大谷昭二さんだ。シェアハウスのサブリースではスマートデイズ「かぼちゃの馬車」が大きくクローズアップされているが、シェアハウスのサブリースをめぐる被害は5月に破綻した「ゴールデンゲイン」をはじめ、「サクトインベストメントパートナーズ」「サンフィール」「ガヤルド」がある。そして、その被害者の多くは、企業に勤めるサラリーマンという点も共通している。

「被害者は上場企業に勤めている会社員が多く、そのほかには士業もいます。年収800万円~1000万円ぐらいで、いわゆる属性のよい人たちです」(大谷さん)

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