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改ざん、過剰融資、中抜き…

なんでもありのシェアハウス「かぼちゃの馬車」トラブル(3/5ページ)

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ビジネスマンや士業といった金融に対してある程度の知識のある人が、今回のようにいとも簡単に籠絡されるものだろうか。そこにはスルガ銀行という地銀の雄の存在が大きく影響していた。
「詐欺的スキームといわれますが、シェアハウスの説明会はスルガ銀行の支店の会議室で行われ、そこでは銀行もこのビジネスモデルについて評価しているといっていたようです。こうしたこともあって、このスキーム自体が銀行主導のように見えて、事業会社、販売会社が群がって実際どうなっているかわからないような状況が作られてしまっていたわけです。顧客は言われるままに書類は出して、印鑑を押した人が多かった。しかも、家賃についてはスマートデイズが30年間、一律の家賃を払ってくれるといわれれば、サラリーマンでやっていけるだろと安心してしまったようです」(大谷さん)

また、契約をした人のなかには、最初から銀行ローンの審査を通らないだろうと思っていた人も多かったという。というのも、土地と建物をまとめてフルローンにしていため、一件あたりの融資金額も多く、1億円~2億円を中心に、なかには3億を超える融資だったため、そう簡単にローン審査が通るとは思っていなかったからだ。しかし、結果は億単位の融資がいとも簡単に実行された、その背景には、ローン審査に提出した預金通帳などの書類の改ざんがあった。

一般的にはローン審査では、収入を証明する源泉徴収票や納税証明書、預貯金の証明のため通帳の原本の提出が求められる。しかし、スルガ銀行では預金通帳などの書類はコピーでもよく、そこで改ざんが行われていた。そうした改ざんによって、実際の預金残高が30万円しかないのに、スルガ銀行に提出された書類では6000万円になっていたものまであった。しかも、こうした書類の改ざんは、1件、2件ではなく、ローンを申し込んだ人の大半から発見されている。

「こうした書類の提出は、本来は銀行が自らを守るためのものなのですが、これがコピーでも可能というのは、それを放棄したようなものです。しかも、スルガ銀行ではスマートデイズがおかしくなる以前、サクトやゴールデンゲインといったシェアハウス事業が破綻していたことを知っており、このビジネスモデルそのものが破綻する可能性があることを予見できたはずなんです」と大谷さん。

しかも販売されたシェアハウスの価格は、土地、建物ともに相場の3~4割高くなっており、その分被害額も多くなった。

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