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鍵交換費用を入居者負担とすることの問題点(1/2ページ)

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不定期連載のコラム第3弾です。前回に引き続き、賃貸紛争を避ける為のポイントです。前回は残置物についての解説をして来ましたが、もう一つ似たような物があります。それは「鍵交換」の事です。

■「鍵交換」をしないで入居するということについて

「鍵交換」とは、賃貸住宅の玄関の鍵の事です。今の現状からお話しして行きましょう。現在、賃貸住宅の現場では、ほとんどの場合「入居者負担」で鍵が交換されています。

貸主が法人の場合や、大手の管理会社が介在していると、賃貸契約の契約金に「ほぼ強制的に」組み込まれているケースが大多数ですね。

又、貸主が個人の大家さんでも、ほとんどのケースで「鍵交換の希望があれば・・・○○○円」という様な具合です。実質的に、入居者さんの負担と言う事が当たり前の様になっています。

そうでないのは、新築住宅の最初の募集の場合と、極稀に「大家さんが積極的に交換している」場合だけですね。この様な状況ですから、入居の為の費用を切り詰めたい入居者さん側では「鍵交換を希望しません」というケースも、意外と多いようです。

そこで、心配なのは・・・。

誰の負担で鍵の交換がされているかは後程触れますが、鍵交換をしないで入居した「新入居者さんが盗難にあった場合」どうなるのか? という事です。

言うまでも無く、一番悪いのは「盗難を働いた人」ではありますが・・・。被害を受けた入居者は、たまりませんね。

それでは、当事者の責任を考えて見ましょう。

【入居者さん】

言わずと知れた、最大の被害者
責任という事で見ると、鍵をかけて外出していたか?・・・・ぐらいの事でしょう。
管理責任が該当します。・・・鍵の管理、防犯上の設備の管理などです。
建物への損害などがあれば、被害者でもあります。

簡単に説明しましたが、以上のようになります。しかし、管理責任と言う説明が分かりにくいかと思いますので、例をいくつか挙げてお話しして行きます。(ここでのお話しは、基本的に玄関の鍵に起因する物を中心に考えて行きます。)

(例1)前の入居者さんに貸与した鍵の本数と同じ本数を返却された。新入居者さんは鍵交換を希望しなかった。

(例2)前の入居者さんは鍵を紛失していた。新入居者さんは鍵交換の希望をしなかった。

(例3)鍵交換をして2〜3年なので、新入居者さんにはそのまま入居して貰った。

(例4)前入居者が退出後、クリーニングなどの段階で鍵を紛失していた。

他にも、まだまだ沢山の状況が考えられますが、整理していきましょう。まず大前提として、鍵の責任はだれにあるのか?

賃貸契約を交して貸し借りをする賃貸住宅の場合、鍵はその目的となる住宅の「防犯性能を司る重要な設備」になります。ましてや、賃料を取って「入居者の生活の本拠地」を守る基本的なものです。

そうしますと、入居者さんが入居後に「自分のミスなどで紛失」したのなら、話は違いますが、大家さんが提供する時から「問題を抱えているかも知れない状態」という形は、大家さんの責任になる公算が非常に高くなります。

盗難などの被害に対しては、説明の通り「大家さんの責任」はとても大きいと言えます。

上記の例でも提示しましたが、鍵の管理と言いましても、非常に限界があるものです。貸し出した本数と同じ本数が返却されたとしても、果たして紛失が無かったのか?

紛失して合鍵を作って、同じ本数を返しただけなのかもしれません。前々入居者などが悪意を持って誰かに渡したかもしれません。住宅が空き家になっている時に、悪意を持った外部の人間が、コピーをしていたかもしれません。

直接的に大家さんが無くしていなくとも、その事を知りながらそのまま次の入居者に貸したのでは、責任は大家さんに課されます。

いずれにしても、鍵の管理という見地から見て行きますと「ずさん」と言われてもしかたがありません。また、現在の賃貸住宅の募集の手続きを見ていますと、第三者が多く介在しますので、完璧な管理も難しいでしょう。

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この記事を書いた人

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