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住宅を買うことは本当にリスクなのか?

人口減少時代に30年後も資産価値が落ちない住宅の4つの条件(5/5ページ)

市川 貴士市川 貴士

2017/03/07

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<条件4>投資目的で購入した所有者が少ない(マンションの場合)

現在は湾岸エリアに人気が集まっていますが、すでに価格が高いため、住宅ローンの借り入れ額も膨らんでしまい、リスクが大きいと言えます。

お台場や豊洲はタワーマンションが建ちすぎました。これから大規模修繕に向けて、生き残れるマンションとうまく進まないマンションに分かれるのではないでしょうか。

特に投資目的で購入した人の多い高層マンションは、大規模修繕に伴う一時金の徴収に苦労することが考えられます。投資目的の所有者は、一時金の徴収を嫌がるからです。

管理組合を構成するのは区分所有者です。区分所有者のモラルが高くないとタワーマンションの長期修繕は頓挫することも十分に予想できます。

となると、通常の規模感のマンションで、投資目的ではない所有者が多く居住しているマンションを買うほうが資産価値を保つには有利と言えるはずです。

たとえ東京であっても、どこを買っても物件価格は上昇するという時代は30年前に終わりました。

低金利の時代が長く続き、投資目的で不動産を購入する人が増えています。ですが、アパートやワンルームマンションを持つことだけが不動産投資ではありません。自宅を購入するときに、投資の感覚を持って物件を選ぶ人はまだまだ少ないと思いますが、これからは投資の感覚を持つことが最も大切になってくることでしょう。

万が一の場合は、貸すことを優先して考える

住宅の資産価値は、その住宅からどの程度のお金を生み出すことができるかに直結しています。具体的には、「売る」「貸す」「担保にして融資を受ける」の3つに集約されるはずです。

このうち、優先すべきなのは「貸す」、つまり「賃貸に出して収益が安定的に上げられるか」ということです。

自宅として購入するのだから貸すことは考えていないという人がほとんどだとは思います。ですが、何らかの理由でその住宅に住み続けられなくなる可能性は誰にでもあります。その場合は、売ることよりも貸すことを優先に考えてください。

不動産は資産です。貸せば収入が入ります。しかし、手放してしまえば、それでおしまいです。良い不動産を手にすることができたなら、それを売ってしまうのは本当にもったいないことです。

もちろん。将来の売却も意識しなければなりませんが、売ることは簡単ではありません。ですから、まずはその不動産を借りる人がいるか、そして、家賃でローンの返済や管理費、税金が賄えるかを優先に考えてください。

ローン返済と管理費等の支出が家賃収入で賄える住宅を選べば、ローンを組むリスクを大きく軽減することができます。仮に家賃収入が維持費を大きく上回れば、生活面の支えにすることも可能です。

どれくらいの家賃が取れそうかは、近隣の賃貸物件を扱う不動産業者に聞いてみるのがいいでしょう。

「この物件を貸すとしたら、家賃はいくら取れますか? 実際に賃貸に出すときは、おたくに仲介をお願いしますね」と言えば、丁寧に答えてもらえるでしょう。

住宅は大きな買い物です。負債になることを恐れるよりも、資産になることを期待して住宅探しをすることをおすすめします。

(参考記事)
直直取引に要注意! 営業マンのおすすめ中古住宅が信用できるか、たった一言で見抜く方法

 

 

 

 

 

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この記事を書いた人

株式会社国際不動産エージェント 代表取締役社長

宅地建物取引士。公認不動産コンサルティングマスター。 1961年生まれ。東京外国語大学中国語学科卒業。 84年、株式会社リクルート入社後、株式会社リクルートコスモス(現コスモスイニシア)へ転籍。25年間の在籍中、不動産営業・マーケティング・商品企画に従事。その後、海外不動産の販売に従事し独立。世界各国の不動産の視察、販売を行なうほか、セミナー講師としても活躍。 30年のデベロッパー経験を活かし、独自の不動産マーケティング理論を組み合わせた分析を得意とする。14ヵ国38都市の不動産を視察し、現在も毎月海外視察を継続中。わかりやすい解説と不動産マーケットを知り尽くした深い視点からの語りが好評。

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