ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

住宅を買うことは本当にリスクなのか?

人口減少時代に30年後も資産価値が落ちない住宅の4つの条件(2/5ページ)

市川 貴士市川 貴士

2017/03/07

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

住宅は「資産価値」で選ぶべき

ですが、多くの人が抱えている不安は、住宅の「資産価値」に着目することで解消できるのではないかと私は考えています。

少々乱暴な言い方になりますが、30年後も資産価値が下がらない住宅、少なくとも、“下がりにくい”住宅を購入すればいいのです。

前回の記事(「マンションは「住み心地」で選んではいけない! その3つの理由とは?」)でもお伝えしたように、住宅は資産価値に着目して選ぶべきと言えるでしょう。

資産価値が高く、しかもその価値が下がりにくい住宅を選べば、万が一の場合でも、賃貸に出して家賃収入を得ることもできますし、売却してローンの残債をなくすことも無理なことではありません。

ただ、「30年後も資産価値が下がらない住宅を買えばいい」と、口で言うのは簡単です。ですが、これから人口が減少していく日本で、資産価値が下がらない、少なくとも下がりにくい住宅はあるのでしょうか?

(参考記事)

マンションは「住み心地」で選んではいけない! その3つの理由とは?

過去30年で首都圏のマンション価格はどう変動したか
まずは、この30年間で首都圏のマンションの価格が、どう変動したのかを見てみましょう。

私は、30年間、マンションデベロッパーに勤めており、その間、営業はもちろんマーケティングの仕事もしていました。私が30年前に実際に販売していた新築マンションは、西葛西駅から徒歩6分の立地で、当時の坪単価は125万円、20坪の3LDKで2500万円でした。

いま、西葛西の同じ場所で新築マンションを販売すると、坪単価は250万円以上にはなるでしょう。20坪の3LDKだと5000万円です。この30年間で同じ条件の新築マンションの価格は2倍になった、ということになります。

もちろん、この背景には30年間のインフレがあります。

30年前の大手企業の大卒初任給は11万円程度でしたが、現在では22万円程度と2倍になっています。アルバイトの日給を見ても、当時は5000円だったのが、現在では倍の1万円くらいになっています。

30年前と比べて給料が2倍になったことを考えると、西葛西はその流れに乗れた場所と言えるでしょう。

西葛西に限らず、都心エリアでは30年前と比較して物件価格が2倍以上に上がっているところが少なくありません。ですが、首都圏郊外に目を転じてみると、不動産価格は上がっておらず、むしろ下がっているところも多くあります。

ですから、西葛西の不動産価格が2倍になった理由は、単にインフレによるものだけでないことがおわかりいただけると思います。

しかも、これからの30年で給料が2倍になることは、まず考えられません。この低成長の時代に、不動産の資産価値を維持できる条件はどんなものなのか、改めて考えてみましょう。

次ページ ▶︎ | <条件1>生活利便性が高い

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

株式会社国際不動産エージェント 代表取締役社長

宅地建物取引士。公認不動産コンサルティングマスター。 1961年生まれ。東京外国語大学中国語学科卒業。 84年、株式会社リクルート入社後、株式会社リクルートコスモス(現コスモスイニシア)へ転籍。25年間の在籍中、不動産営業・マーケティング・商品企画に従事。その後、海外不動産の販売に従事し独立。世界各国の不動産の視察、販売を行なうほか、セミナー講師としても活躍。 30年のデベロッパー経験を活かし、独自の不動産マーケティング理論を組み合わせた分析を得意とする。14ヵ国38都市の不動産を視察し、現在も毎月海外視察を継続中。わかりやすい解説と不動産マーケットを知り尽くした深い視点からの語りが好評。

ページのトップへ

ウチコミ!