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快適な住環境を実現するために(6/6)

快適な暮らしを実現する外装材の選び方

山田章人山田章人

2016/01/29

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外壁材におけるふたつの方法

 外壁材は「乾式工法」と「湿式工法」のふたつに大別されます。

 乾式工法では、主にサイディングが使われます(サイディングとは、建物の外壁に使用する壁板のことで、ザインが豊富で耐火性や耐水性にすぐれ、価格も比較的安いものです)。

 乾式工法は工期が短いことから、多くの住宅で採用されています。一方、湿式工法は左官職人の技術力の依るところが大きく、個性的で高級感のある外観となります。しかし、スケジュール・コストの両面で乾式工法に比べ、時間・費用がかかります。

乾式工法とは?

 乾式工法でよく使われるのはサイディングですが、多くの種類があります。

 セメントやケイ酸カルシウムを原料とする窯業系サイディング、表面に金属板を施した金属系サイディング、無垢の木材・合板を使用した木質系サイディング、粘土を焼成したタイルが素材のセラミック系乾式サイディングなどがあり、それぞれの特徴があります。

 たとえば、窯業系サイディングはコスト的に安く耐久性・耐火性が高く、デザインも豊富です。金属系サイディングは、外壁材のなかでもかなり軽量なので建物への負担がすくなく、シャープなデザインでモダンなイメージになります。

 そして、木質系サイディングは木の温かみを楽しめますし、縦張り・横張りのバリエーションがあることから表情も豊かになります。セラミック系乾式サイディングは、何といっても質感が魅力です。紫外線による色あせにも強いことから、塗り替えなどのメンテナンスも少なく済みます。

 また、サイディングより重装備になってしまいますが、ALCパネルという工法もあります。これは、軽量気泡コンクリートに鉄筋を入れたパネルで、耐火性に優れているのが特徴です。

湿式工法とは?

 湿式工法は、モルタルを下地に塗り、その上に左官材を塗るかタイルなどを張る工法で技術力を要します。

 塗り壁は、表現力の高さが人気で、サイディングと違い曲面の壁にも使えることから個性的な外観が実現します。日本の伝統的な工法である漆喰も、この塗り壁の一種です。また、タイル・レンガ・石を張りつける工法も、素材感あふれる外観となります。

屋根材の選び方

 屋根材は、コストや重さ、勾配によって使用する素材が決まっていきます。最近よく使用されている素材は、スレート・鋼板(金属板)・瓦です。

 スレートは、もともとは天然の粘板岩を薄く剥いだものですが、現在はセメントを繊維質材料で強化した人工素材が主力になっています。コスト的に安く軽量なことから、多くの住宅で採用されている素材です。

 鋼板は、銅・アルミ合金・トタン・ガルバリウム鋼板などの金属板を使用するもので、軽量で建物への負担が軽くなります。また、雨漏りに強いという特徴があるので、勾配が緩い屋根(雨水が落ちにくい屋根)にも適しています。このように、勾配が緩い屋根は使う素材が限定されてしまいます。

 最後に、瓦は日本の伝統的な素材で、粘土を焼成してつくります。耐久性が高くメンテナンスが少なくすみ、見た目にも重厚感がたっぷりの仕上がりになります。ただしスレートや鋼板と比較すると、若干高価になります。

防水工法の種類

 屋根材はもちろん、バルコニーの床などに使う素材も防水性が求められます。

 防水工法にもさまざまな種類がありますが、特に多く採用されているのが、「シート防水」と「FRP防水」です。

 シート防水とは、塩化ビニールや合成ゴムを原料とするシートを下地に貼り付ける工法で、材料に伸縮性があるのが特徴です。FRP防水は、ポリエステル樹脂と硬化剤を混ぜた液体を補強材に含ませる工法で、耐水性・耐食性に優れています。

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この記事を書いた人

一級建築士

5人建築家コンペでの家づくり 家escort京都 代表。 省エネ住宅診断士。 一級建築士事務所にて、神社仏閣から商業建築、住宅まで幅広く設計監理業務に従事した後、独立。2005年より、それまでの経験から、いい建物づくりには住まい手と設計者、施工者の相性のよい結びつきが不可欠と考え、住生活エージェントに専念。 住まい手が、自ら相性の良い建築家と施工者を選び出すのは至難の業であるという考えのもと、住まい手目線を基準に最適な建築家と施工者を結びつける代理人を目指す。自らの立場を、販売代理店ではなく、購入代理店と位置づけている。住まい手にとって最適な住宅とは何かを考え、老後までを考えた資金計画、不動産業者とは違う目線での土地探し、まだ施主様すら気づいていない好みや個性を引き出し最適な空間を生み出す工夫など、家づくりの準備を充実させることによって、結果、生涯心地のよい住まいを手に入れていただくことをミッションとして活動している。

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