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生活保護はほとんどの人が受けている 間違えたくない文明社会での「人を別ける」線引き(4/4ページ)

朝倉 継道朝倉 継道

2021/09/18

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メンタリスト氏の本を買う人々の属性

以上、この夏話題となったひとつの「事件」について、見解を並べてみた。

不動産まわりの世界に身を置いていると、いわゆる富の分配に関するさまざまな考え方について、日常敏感になってくる。そのうえで、今回の件に関していえば、世の中挙げての異論・反論はエネルギッシュで、かつ方向性も正しい気がするが、どうもその前が危なっかしい。

そもそもの発信元における現実への認識自体が、酔っ払いの寝言のごとく、雑で、かついい加減なものでありすぎるのではないかというのが私の見方だ。

ちなみに、さきほど示したような「黒字・赤字」の線引きで、一応国民を別けられるとして、メンタリスト氏は、意見を公表するかはともかく、その後あらためて「黒字」側の人を責めることになるのかもしれない。

漏れ聞くところ、彼はうらやましくも堂々たる「赤字」側の人なので、その資格があるといえばあるからだ。

しかしながら、若干皮肉をいえば、おそらく彼の書いた本をこれまでに買ってくれた(私のような)人、いま買ってくれている人のほとんどは「黒字」側の人間のはずだ。

なぜならば、メンタリスト氏の書くようなテーマの活字本が売れるような、豊かで知的水準が一定以上に高いマーケットは、理由は省くが、上記のような黒字過多のバランスにある社会においてこそ、形成されるはずだからだ。

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この記事を書いた人

コミュニティみらい研究所 代表

小樽商業高校卒。国土交通省(旧運輸省)を経て、株式会社リクルート住宅情報事業部(現SUUMO)へ。在社中より執筆活動を開始。独立後、リクルート住宅総合研究所客員研究員など。2017年まで自ら宅建業も経営。戦前築のアパートの住み込み管理人の息子として育った。「賃貸住宅に暮らす人の幸せを増やすことは、国全体の幸福につながる」と信じている。令和改元を期に、憧れの街だった埼玉県川越市に転居。

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