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田舎の集落は小さいほど居心地がいい!?

田舎暮らしの人間関係、温かくて心地いい? それともめんどくさい?(3/5ページ)

馬場未織馬場未織

2017/05/18

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田舎暮らしの人間関係【2】 ネガティブなつながり

(1)細部まで知られてしまう

学校に履いていった靴下の柄まで知られていて「あんたあんなに派手なものを履いていったんだってね」と近所のおばさんから言われたり、誰と誰が付き合い始めた、といったことは本人たちが誰にも話していなくても全近所に知れ渡っていたり。

(2)周囲と違って目立ったことをすると変な目で見られる

地方を走る車の色はほとんど白。次いでシルバー。目立つ=協調性がない、という意識からか、個性を表現することを控えていくようです。

(3)盾突くと村八分

前例主義や、年功序列など、暗黙の決まりを破ろうとすると地域から「干される」。秩序こそ命。ある種、体育会系ですよね。

(4)暗黙のルール

冠婚葬祭のしきたりや、贈答品やお返しのボリューム、町内会でのご法度事項など、暗黙のローカルルールにしばられる。

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(c) maroke – Fotolia

さてここで、よーくこの2つを見比べてみると、【1】のポジティブなつながりと、【2】のネガティブなつながりには真逆の特徴があることに気がつきます。

【1】には、思いやりと「個」への尊重があり、多様性を認める一面さえ見えます。

【2】には、行き過ぎた同族意識や同調圧力があり、「個」ではなく「群」としての自意識があります。

 地元の窮屈さがイヤで飛び出した人からは【1】の話を聞き、二地域居住や移住をしたいという人は、【2】のつながりを求めているわけです。そしてどうも、わたしは【1】をメインで経験し、たまに【2】的なものにも触れますが、暮らしに嫌気がさすほどの強さや頻度ではありません。

 それはずっと、たまたまなのかな、と思っていました。

たまたま、近隣の方に恵まれていた(←実際そうだと思います!)。

たまたま、土地柄との相性がよかった(←ほんの何キロ離れただけで土地柄が違う、という話も聞きます)。

たまたま、嫌な目に合う機会がなかった(←二地域居住者はイイトコドリ、という揶揄どおりなのかな、と)。

だとすれば、本当にラッキーな話で、今後アンラッキーな目に遭ったら「ああようやく実態が見えた」と思うのかもしれません。

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この記事を書いた人

NPO法人南房総リパブリック理事長

1973年、東京都生まれ。1996年、日本女子大学卒業、1998年、同大学大学院修了後、千葉学建築計画事務所勤務を経て建築ライターへ。2014年、株式会社ウィードシード設立。 プライベートでは2007年より家族5人とネコ2匹、その他その時に飼う生きものを連れて「平日は東京で暮らし、週末は千葉県南房総市の里山で暮らす」という二地域居住を実践。東京と南房総を通算約250往復以上する暮らしのなかで、里山での子育てや里山環境の保全・活用、都市農村交流などを考えるようになり、2011年に農家や建築家、教育関係者、造園家、ウェブデザイナー、市役所公務員らと共に任意団体「南房総リパブリック」を設立し、2012年に法人化。現在はNPO法人南房総リパブリック理事長を務める。 メンバーと共に、親と子が一緒になって里山で自然体験学習をする「里山学校」、里山環境でヒト・コト・モノをつなげる拠点「三芳つくるハウス」の運営、南房総市の空き家調査などを手掛ける。 著書に『週末は田舎暮らし ~ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記~』(ダイヤモンド社)、『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』(共著・学芸出版社)など。

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