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フェーズフリーとは――「普段」が「備え」になる防災のための新たな概念(1/4ページ)

朝倉 継道朝倉 継道

2021/08/04

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人生をサバイブせよ イメージ/©︎Elnur・123RF

ローリングストックのためにパントリーが欲しい

最近、人気の住宅設備として名前が挙がるもののうち、特に気になるのがパントリーだ。キッチンに隣接して設けられる食品庫のことだ。


イメージ/©︎vicnt・123RF

本来はウォークインできるくらいの小部屋を指していうのが正しいようだが、実際にはいわゆる壁面収納程度のものもパントリーと呼ばれている。


イメージ/©︎fotografiche・123RF

パントリーの中には、通常、棚が豊富に設けられる。缶詰や調味料など、常温保存できる食品をスペースの分だけ保管しておける仕組みだ。そこで、私が「自分の家にもパントリーがあればいいな」(残念ながら現実にはない)とよく思う理由は、これをローリングストックのための使い勝手のよい空間にできるからだ。

ローリングストックとは、災害など非常時への蓄えを上手に、いわばスマートに行う方法のひとつを指す。

その対象は食品であれば、缶詰やレトルト食品、フリーズドライ食品、インスタント麺、ペットボトル飲料など、日常消費するものでありつつも、保存が効くため、非常時の備えともなるものだ。


イメージ/©︎zepp1969・123RF

そのうえで、ローリングストックではこれらをつねに一定量備蓄しておくかたちを目指す。なおかつ、個々の食品にあっては消費期限をオーバーさせることのないよう、一定の鮮度を保ったままでそれを行う。

方法は簡単だ。要は、古いストックから消費していき、消費した分を買い足していく。新陳代謝させるのだ。

「いざというときのことを考えるのは大事だが、考えること自体が面倒」……といった、災害対策で生じがちなストレスを感じることなく、備えを保つことができるよい方法といえるだろう。

そこで、こうしたローリングストックのような考え方を指して、最近よく聞かれるのが「フェーズフリー」という言葉だ。

フェーズフリーとは何か? それは「防災に関する新たな概念」などと説明されている。

次ページ ▶︎ | フェーズフリーの概念とは 

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この記事を書いた人

コミュニティみらい研究所 代表

小樽商業高校卒。国土交通省(旧運輸省)を経て、株式会社リクルート住宅情報事業部(現SUUMO)へ。在社中より執筆活動を開始。独立後、リクルート住宅総合研究所客員研究員など。2017年まで自ら宅建業も経営。戦前築のアパートの住み込み管理人の息子として育った。「賃貸住宅に暮らす人の幸せを増やすことは、国全体の幸福につながる」と信じている。令和改元を期に、憧れの街だった埼玉県川越市に転居。

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