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【京都で愉しむセカンドライフ】火の神聖さを実感させられる、奇祭「鞍馬の火祭」(2/2ページ)

奥村 彰太郎奥村 彰太郎

2020/10/05

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始まりは940年――鞍馬で守り続けられる伝統

鞍馬の火祭は、由岐神社の例祭。毎年10月22日に行われる。

昨年は天皇陛下の即位の礼と重なり目出度い神事となった。火祭の起源は平安時代に大地震や争いごとが頻発し、世の中の平安を願う朱雀天皇の勅により、940年に御所にお祀りしていた由岐明神を都の北の鎮めとして鞍馬に遷したとのこと。その際、松明を携えた行列が約1キロに及んだとされている。この儀式を鞍馬の住民が守り伝えてきたようだ。

火祭のクライマックスは、鞍馬寺の山門前の階段に約20本の大松明が集まり燃え盛る光景は、見る者が圧倒される迫力がある。


山門前で燃え盛る松明

松明の火が治まると、由岐神社の2基の神輿が煙に包まれた階段を下りて来る。幻想的な光景だ。さらに神輿の担ぎ棒の先端に両足を逆さ大の字にしてぶら下がる「チョッペン」という元服の儀式がある。

鞍馬の男にとって一生一度の体験だ。階段を下る神輿のスピードが上がらないよう神輿の後ろに縄がつけられ、女衆が綱を持つ。この綱を持つと安産になると伝えられている。まさに奇祭だ。


神輿とチョッペンの儀式

火祭の当日は夕方から観光客が押し寄せ、2両編成の電車は超満員。山あいの小さな集落に人があふれるため、警官や警備員の指示で決められたルートを一方通行で歩きながら見物することになる。

外国人観光客も多く、警備のスタッフも誘導を苦労していた。夜中まで神事が続くので終電を気にしながらの見物になる。伝統的な火祭を楽しむには、夜中まで人混みの中を長時間歩き回れる体力も気力も必要だ。

叡山電車鞍馬線は、今年7月の大雨による土砂崩れで、現在も一部区間で運休が続いている。バスの振替輸送が行われているが、運転再開の見通しは立っていない。

来年は鞍馬線の運転が再開され、コロナ感染も収まり、「鞍馬の火祭」が開催されることを期待したい。

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この記事を書いた人

ファイナンシャル・プランナー&キャリア・カウンセラー

1953年東京生まれ、東京都立大学卒業、株式会社リクルートに入社。進学や住宅の情報誌の営業や企画・人事・総務などの管理職を務め、1995年マネー情報誌『あるじゃん』を創刊。発行人を務めた後、2004 年 ファイナンシャル・プランナー&キャリア・カウンセラーの資格を活かし、“キャリアとお金”のアドバイザーとして独立。企業研修の講師や個別相談を中心に活動中。大学の非常勤講師も務める。東京と京都のデュアルライフを実践中。

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