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新型コロナウイルスで起こる家賃滞納を防ぐ公的支援と自己防衛(1/2ページ)

平野 敦之平野 敦之

2020/04/23

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新型コロナウイルスの感染拡大からの緊急事態宣言の発令による営業の自粛を背景に、事業の継続や雇用の不安の声が高まっています。これらは失業や収入の減少に繋がるため、賃貸物件オーナーの家賃収入にも少なからず影響がでてくることが考えられます。

事態が長期化すれば入居者の家賃の滞納の懸念があります。オーナーとしては普段以上に滞納の兆しがないかなど家賃の入金状況を小まめに確認することが必要です。家賃の支払いに遅れがでたら、その都度原因の確認や対処をしていかなければなりません。大切なことはその状態が継続しないこと、かつ長期化に繋がらないことです。できることには限度がありますが、考えられる準備はしておかなければなりません。国の支援制度や民間の保険の対応状況などを確認してみましょう。

■住居確保給付金

2015年4月に施行された生活困窮者自立支援制度には「住居確保給付金」というものがあります。離職などで経済的に困窮して住居を失ったまたはそのおそれがある人に住居確保給付金を支給します。

住居確保給付金の主な概要

支給対象者

・離職等後2年以内の者

・離職等の前に世帯の生計を主として維持していたこと

・ハローワークに求職の申し込みをしていること

・国の雇用施策による給付等を受けていないこと

支給要件

収入要件

申請月の世帯収入合計額が、基準額(市町村民税均等割が非課税となる収入額の1/12)+家賃額以下

家賃額は、住宅扶助特別基準額が上限

支給要件

 資産要件

申請時の世帯の預貯金合計額が、基準額×6(ただし100万円を超えない額)以下であること

支給要件

 就職活動要件

ハローワークでの月2回以上の職業相談、自治体での月4回以上の面接支援等

支給額

賃貸住宅の家賃額(上限額は住宅扶助特別基準額)

支給期間

原則3カ月間(就職活動を誠実に行っている場合は3カ月延長可能で最長9カ月)

【参考】住居確保給付金

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/0914_shiryou03_1.pdf

なお、制度発足時には、申請日において65歳未満という要件がありましたが、20年4月にこの要件はなくなっています。

【参考】新型コロナウイルスに関連した生活困窮者自立支援法に基づく住居確保給付金の活用について

https://www.mhlw.go.jp/content/000605807.pdf

この制度は賃貸物件オーナーが直接受け取ることのできる支給ではありません。しかし、入居者が収入の減少などで家賃を滞納している状況であれば、こうした制度があることを伝えることも方法です。せっかく制度があっても知らなければ利用できません。

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この記事を書いた人

平野FP事務所 代表 CFP ®認定者、1級FP技能士、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー

東京都出身。証券会社、損害保険会社を経て実務経験を積んだ後に1998年から独立して活動をはじめてFP歴20年以上。また相談業務を受けながら、中小企業の支援にも力を入れている。行政機関や大学での非常勤講師、企業研修などセミナーや講演も多数。メディアでの執筆記事も多く、WEBに公開されているマネー記事は550本以上。2016年にお金の情報メディア「Mylife Money Online」の運営を開始。主な著書に「いまから始める確定拠出年金投資(自由国民社)」がある。誰もが自分らしい人生を安心して豊かに過ごすため、「お金の当たり前を、当たり前に。」をモットーに活動中。「Mylife Money Online」のURLはコチラ→ http://mylifemoney.jp

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