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狭小住宅や築古物件、売却しようとしたらトラブル発覚 注意したいポイント(3/3ページ)

田中 裕治田中 裕治

2020/03/20

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【実例紹介】相続で取得した後、「再建築不可などの問題物件の売却」(埼玉県児玉郡上里町)

「相続で取得した不動産があります。兄弟で相続した長年空家にしたままの共有不動産を、維持管理もできないため、売却したい」というご依頼でした。


駅から比較的近くの住宅と畑が混在するエリアにある一戸建て。長年、空き家だったためメンテナンスはされておらず、そのままでは使用できる状態ではない。公道に出るにはが第三者所有地を通行しなくてはならない

お話をうかがっていくなかで、建て替えができない建築不可物件であること、家から公道までお隣の私道(厳密にいうと通路)を通行しなければならないことなど、ご本人たちも知らない問題が発覚しました。

私道通行についてはお隣との交渉の末、合意。建て替えについても測量などを行い特別な許可が出れば可能ということになったのですが、売主さまは費用をかけたくないとのことで、現状のままで販売を開始しました。

しかしながら、物件に対するお問い合わせも少なく、長い期間、厳しい状況が続きます。

販売開始から1年半が過ぎたころ、私道通行の合意をいただいたお隣より「草木に害虫が大量に発生しているので対応してほしい」という苦情が寄せられます。それをきっかけに、そのお隣と協議を重ね「現状の販売価格で購入することはできないが、こちらの予算で売っていただけるなら購入してもよい」とうことになり、売主さまも妥協され、売買が成立しました。

この件でのポイントは「売るときに発覚する不動産トラブル」です。この物件では建て替え不可、公道までの第三者の私道の使用など相続して売却しようとしたときにいろいろな問題を知ることになりました。

こうしたトラブルが事前にわかっていれば、相続の分配も変わっていたかもしれません。前にお話ししたように、古い物件では建ぺい率や容積率などの面で建築不可物件というのはめずらしくありません。古い不動産の場合は、専門家に依頼して事前に調査されることをおすすめします。

「売れない不動産はない〜負動産を富動産に変える〜」田中裕治氏のコラム一覧
第1回   どうしても売れない不動産をどう売るか
第2回   「苦しい物件」を早く処分するために必要なこと
第3回   狭小住宅や築古物件、売却しようとしたらトラブル発覚 注意したいポイント
第4回   車が入らない、市街化調整区域…マッチングで売れない不動産を売る
第5回   売却しやすい農地、売却しにくい農地――農地の相続・売却は早め早めの対応で
第6回   共有名義の自分の持分だけの売却――いったいいくらで売れるのか?
第7回   「事故物件」は売れるのか? 事故物件を売るために必要な取り組みと事前対策ポイントとは
第8回   共有名義の「農地」の売却――売るための準備と超えるべきハードル
第9回   別荘の売却――コロナ後の「新しい生活様式」で人気が高まる別荘の見切りの付け方
第10回 使えない、建て替えできない……市街化調整区域の「分家住宅」の対処法
第11回 底地と借地の売却で重要なのはタイミング
第12回 農地転用で市街化調整区域の農地の売買を可能にする

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この記事を書いた人

一般社団法人全国空き家流通促進機構代表理事、株式会社リライト代表取締役

1978年神奈川県生まれ。大学卒業後大手不不動産会社に勤務したのち、買取再販売メインとする不動産会社に転職。その後、34歳で不動産会社を設立。創業以来、赤字の依頼でも地方まで出かけ、近隣住民や役所などと交渉。売れない困った不動産売却のノウハウを身につけてきた。著書に『売りたいのに売れない! 困った不動産を高く売る裏ワザ』『本当はいらない不動産をうま~く処理する!とっておき11の方法』などがある。

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