ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

売却しやすい農地、売却しにくい農地――農地の相続・売却は早め早めの対応で(1/3ページ)

田中 裕治田中 裕治

2020/05/19

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

イメージ/©︎123RF

農地の固定資産税は安くても、相続税は高い

「相続で田んぼや畑を取得したけれど、農業をしないので処分したい」

こうした相談を受けることがしばしばあります。相続した土地の処分でやっかいなのが、こうした農地です。農地には2つの種類があって、農地以外に利用できない農地と、農地以外の用途に利用できる農地があります。農地以外に利用できない農地は、当然ながら農家か、農業法人への売却しかできません。ですから、処分するにはこうした売却先を探すしか方法はありません。これは賃貸にする場合も同様です。そのためこうした農地の売却はハードルが高くなります。

一方、転用可能な農地(農地以外に利用できる農地)は農地として農業委員会の許可を得て、売却したり貸したりする以外に、駐車場、資材置き場、太陽光発電、風力発電などの用途に使用する土地として売却したり、賃貸借契約を結ぶことが可能です。そのため農業専用地域(農地以外に利用できない農地)に比べて、売却しやすくなります。農地の処分がこのように厳しい理由には、農地法と言う厳しい法律が関係します。これにより売却や農地以外の用途への変更(農地転用)などが制限されているのです。そのため、そういった規制を受けている農地は、固定資産税が安いということがあります。

例えば、以前担当した愛知県知多郡の3000㎡の農地では、固定資産税が年間1万円ほど。いかに固定資産税が低くされているかがお分かりかと思います。しかし、これが相続税評価になると、実際の売却価格の何十倍になることがほとんどです。先ほどの愛知県知多郡の農地では、売却価格が20万円だったにもかかわらず、相続税評価は240万円になりました。つまり、相続税評価では20万円の土地が240万円の評価になってしまうため、相続税も高くなるというわけです。そんな農地の相続が予想される方は、早め早めの対応をおすすめします。

次ページ ▶︎ | 実例 農地の売却での思わぬ“落とし穴” 

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

一般社団法人全国空き家流通促進機構代表理事、株式会社リライト代表取締役

1978年神奈川県生まれ。大学卒業後大手不不動産会社に勤務したのち、買取再販売メインとする不動産会社に転職。その後、34歳で不動産会社を設立。創業以来、赤字の依頼でも地方まで出かけ、近隣住民や役所などと交渉。売れない困った不動産売却のノウハウを身につけてきた。著書に『売りたいのに売れない! 困った不動産を高く売る裏ワザ』『本当はいらない不動産をうま~く処理する!とっておき11の方法』などがある。

ページのトップへ

ウチコミ!