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別荘の売却――コロナ後の「新しい生活様式」で人気が高まる別荘の見切りの付け方

田中裕治

2020/09/17

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イメージ/©︎shawnccf・123RF

300万円前後が人気

新型コロナによってこれまでの生活スタイルや働き方に変わって「新しい生活様式」や「コロナ後の働き方」として、会社には出勤しないで仕事をする「リモートワーク」やリゾート地で休みながら働く「ワーケーション」が新聞、テレビ、雑誌、ネットの記事で取り上げられています。

こうした記事では、都心から離れ地方に居を構えようと、地方の空き家や別荘など、コロナ以前は“負動産”として扱われてきた物件がクローズアップされ、購入を検討する人が増えているといいます。

中でも人気があるのが別荘で、物件を探す人が増え、別荘で余暇を楽しみ、仕事をされている方が紹介さています。

実際、私のところにも「リモートワークできることがわかったので、家賃の高い都心から郊外に引っ越したい」「別荘を購入したい」といった問い合わせが増えており、価格的には300万円前後の反響が一番多くなっています。

別荘をご紹介した方の中にはコロナ禍の中で、千葉県の海の近くにある貸別荘を毎月30万円支払って住んでいた方もいました。また、こうした別荘と並んで問い合わせが多いのが、家族でキャンプをしたいので、山林を購入したいというものです。

このように注目が集まる別荘ですが、別荘は購入した時期に比べて、市場相場が大きく暴落していることが多い不動産です。そのため売れるときに売っておくというのが得策です。ただ、新型コロナによって反響があるのは別荘で、別荘地内の土地だけの物件は相変わらず売るのは難しいのが実情です。

新型コロナによるブームはいつまで続くかわかりません。使わない別荘で、処分を考えているのであれば、これは千載一遇チャンスとも言えるかもしれません。

【実例紹介】別荘地内の土地処分(栃木県那須塩原市)

今回ご紹介する実例は、栃木県那須塩原市にある別荘地の売却です。

この別荘地はご相談者のお父様が30年前に購入したもので、まったく活用することもなく、毎年固定資産税と別荘地の管理費だけがかかる土地でした。

すでにお父様は他界され、相続されたお母様も高齢で、「タダでもいいので処分してほしい」というご相談です。

売却希望の土地の資料を拝見し、お話を伺うと、その別荘地はご高齢のお母様が将来自身の認知症などにより意思能力がなくなる前にと、贈与を目的とするお子様への所有権移転登記をされていました。

また、お客様はこれまでもいくつかの不動産会社に相談されていましたが、すべての不動産会社から「売れない」と言われてしまったそうです。実際、周辺の不動産の成約事例がない物件でした。

マイナスイオンに包まれた「別荘地」

市役所で都市計画法、建築基準法、その他法令上の制限など物件調査を行ったところ、別荘地内のため、別荘地管理規定のほか森林法・自然公園法(日光国立公園の普通地域)や景観法の規制がかかるものの、特に懸念されるような問題はありませんでした。

売却物件の現地を訪れると、そこは緑に囲まれたマイナスイオンたっぷりの別荘地内の一画でした。まさに、別荘地内に複数の建物が建築されている「ザ・別荘地」といった物件です。


【物件詳細】栃木県那須塩原市/管理された別荘地内南傾斜地の一画・土地のみの管理費は年間2万4000円・権利金を支払えば温泉利用可


隣接する前面道路

物件は幅4mの道路に面した南傾斜の515㎡の土地で、境界標もすべて設置されており、懸案事項は、大きな木と大きな岩が複数あることでした。

現地の管理事務所でヒアリングを行うと、売却物件にかかる管理費などのランニングコストは、管理費が毎年2万4000円、建物を建てる際の工事負担金(20万円)がかかること、建物ができたあとは年間の管理費が4万8000円に増額されることが分かりました。また、権利金120万円を支払えば温泉が利用できること、冬場は別荘地が立入禁止になることも分かりました。

とにかく、早く処分したい

販売活動は当初、一般市場に向けた販売戦略も考えましたが、早く処分したいというお客様からの強い要望があったため、格安物件をお探しの不動産コレクターに向けて情報を発信してみることにしました。

すると、1件の反応がありました。

その内容は、土地を引き受けるかわりに「所有権移転の登記費用と1年分の管理費を売主様に負担してほしい」というものでした。つまり、売主様はタダで処分できるのではなく、登記費用と管理費1年分を持ち出すという内容です。

条件が条件だったため、売主様には、無理をして今回のお客様で話を進めず、一般市場での売却活動を行うことを進めました。

しかしながら、売主様は、

「今後、引き受けていただける方が現れるかわからない。一般市場で一定期間販売して売れなかった場合、今回の購入希望者の方がお引き受けいただけなくなってしまうかもしれない。むしろ買い手が見つからない期間が長引いて、負担が増える可能性もあるかもしれない」

との理由から、多少持ち出しがあっても手放したいというお答えでした。

その後、売買契約から引き渡しなどの手続きはトラブルもなく一切の手続きを無事に終えることができました。

今回の案件のポイントは「マイナス不動産の売却」です。

別荘に限らず地方の空き家など、マイナス不動産、負動産は今後も増え続けることが予想されます。特に所有しているだけでランニングコストがかかるリゾートマンションや、別荘地内の土地・戸建ては購入したいという方がほとんどいないため、売りたくても売れない状況になってしまいました。そのため自ら持ち出しをしてまで処分する方も多く現れるようになりました。

しかし、新型コロナによって郊外の空き家や別荘が注目されたため、それまで処分を考えていた方のなかには、高くなるかもと売ることをためらわれる方もいるという話も耳にします。

株式用語には“見切り千両”という言葉がありますが、これは不動産も同様です。使っていない、使うアテもない土地や別荘であれば今こそ手放すチャンスといえるでしょう。

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この記事を書いた人

一般社団法人全国空き家流通促進機構代表理事、株式会社リライト代表取締役

1978年神奈川県生まれ。大学卒業後大手不不動産会社に勤務したのち、買取再販売メインとする不動産会社に転職。その後、34歳で不動産会社を設立。創業以来、赤字の依頼でも地方まで出かけ、近隣住民や役所などと交渉。売れない困った不動産売却のノウハウを身につけてきた。 著書に『売りたいのに売れない! 困った不動産を高く売る裏ワザ』『本当はいらない不動産をうま~く処理する!とっておき11の方法』などがある。

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