ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

牧野知弘の「どうなる!? おらが日本]#4 新築分譲マンションを買うという意味を考えよう(5/5ページ)

牧野 知弘牧野 知弘

2018/06/20

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

マンションは賃貸資産として考えるのが自然

いっぽう賃貸住宅としてのマンションは借りる側にとってはまことに都合のよいものだ。短期間暮らすには利便性がよく、住戸の管理がしやすく、安全性の高いマンションは都会の棲家としては格好の住宅だ。賃貸であれば、自身の人生の変化、リストラにあう、事故でけがをする、病気になる、地震などの天変地異に遭遇する、様々なリスクが身にふりかかっても「住み替えて」しまえば大きな負担を背負い込む心配はない。

ましてや25年後、子供は(いたとしたら)独立して家には夫婦のみ。場合によっては妻と離婚しているかもしれない、病気になっているかもしれない、人生には想定しなかったような様々なリスクがあるものだ。その時々の状況に応じてその時点の自分の身の丈にあった住居に住み替えていくには賃貸住宅は価値が高いといえるかもしれない。


 
もちろん高齢になった場合、賃貸住宅に申し込んでも、大家が高齢を理由に断ってくるケースが多いのは事実だ。しかし、これも「今」という時代では事実であるというだけだ。人口の減少と国民の年齢構成が激しく高齢化する日本では、25年後には空き家は増え続け、「貸し先」に困った大家の多くが、外国人や高齢者にも廉価で賃貸することは当たり前の社会になっていることは容易に想像される。

ローン完済後に、老朽化した建物の維持管理に頭を悩ます必要もなく、家賃は住むための「必要コスト」とわりきれば考え方も劇的に変わってくるはずだ。

このように考えるとマンションは賃貸資産として考えるのが一番自然かもしれない。買って住むのではなく、借りて住む。または所有して人に貸して運用する。一定年限の中で確実に収益を上げ、建物の償却を享受すれば賃貸資産としては決してそんな悪い資産ではない。そのためにはやはり都心部で交通利便性の高いマンションが賃貸用としては優位になる。マンションは立地のよい賃貸用資産、という概念が実はこれからの「常識」となるのかもしれない。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

株式会社オフィス・牧野、オラガ総研株式会社 代表取締役

1983年東京大学経済学部卒業。第一勧業銀行(現みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループを経て1989年三井不動産入社。数多くの不動産買収、開発、証券化業務を手がけたのち、三井不動産ホテルマネジメントに出向し経営企画、新規開発業務に従事する。2006年日本コマーシャル投資法人執行役員に就任しJ-REIT市場に上場。2009年オフィス・牧野設立、2015年オラガ総研設立、代表取締役に就任。著書に『なぜ、町の不動産屋はつぶれないのか』『空き家問題 ――1000万戸の衝撃』『インバウンドの衝撃』『民泊ビジネス』(いずれも祥伝社新書)、『実家の「空き家問題」をズバリ解決する本』(PHP研究所)、『2040年全ビジネスモデル消滅』(文春新書)、『マイホーム価値革命』(NHK出版新書)『街間格差』(中公新書ラクレ)等がある。テレビ、新聞等メディアに多数出演。

ページのトップへ

ウチコミ!