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牧野知弘の「どうなる!?  おらが日本」#12 「サラリーマン大家さん」の真髄(3/5ページ)

牧野 知弘牧野 知弘

2019/11/02

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自分の家にお金をかけない

ただでさえ、つましいサラリーマンの給与だ。出世であくせくしない分だけ同僚とは同じか少し下回るくらいの額だ。大切にしよう。一番の敵は住宅ローンだ。自分の家はただ住んでいても、家賃収入があるわけではない。家族のために大きな家を買ったところで、子供が独立すれば、残された夫婦には広すぎる。多少狭くても子供なんてすぐいなくなる。
 
まずは定年まで、あるいはあるはずの退職金をアテにして返済し続ける住宅ローンの呪縛から解放されることだ。そこで浮いたお金を投資に回す。
 
Nさんは、夫婦と大学生のお子さんを筆頭に3人の子供の夫婦5人家族で、自宅は約17坪(56㎡)の古いマンションだ。いっぽうで彼の持つ賃貸マンションは10数軒になる。

会社で金を使わない

彼は出世を目指していないので、会社のためにお金を使う必要がない。同僚や上司との飲食は周りが奢ってくれる場合を除いてなるべく行かない。どうしても行かなければならないときはせめて割り勘だ。へたな見栄を張る必要はない。相手だって、「このおっさん、出世しないよね」とわかっているので、奢られなくてもたいして気にしない。二次会なんてもってのほかだ。

Nさんは、たまに一緒にご飯を食べる機会があっても、当然奢ってくれたりはしない。酒を飲むときはきっちり熱燗2本と決めている。しかも一番安い銘柄しか頼まない。私がビールを注文すると「もったいない、ビールなんてアルコール度数が低くて不経済やねん。なんでそないなもの飲むのん」と叱られる。おつまみはいつも冷奴にちくわ2本。それ以上頼もうとすると、ちょっと不機嫌になり、「そんなにいっぱい頼むから太るんだよ。あんたが頼んだ分は自分で払ってね」と必ず言い添える。ちなみにNさんは本当にスリムだ。食べ物にもお金をかけていないことがよくわかる。

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この記事を書いた人

株式会社オフィス・牧野、オラガ総研株式会社 代表取締役

1983年東京大学経済学部卒業。第一勧業銀行(現みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループを経て1989年三井不動産入社。数多くの不動産買収、開発、証券化業務を手がけたのち、三井不動産ホテルマネジメントに出向し経営企画、新規開発業務に従事する。2006年日本コマーシャル投資法人執行役員に就任しJ-REIT市場に上場。2009年オフィス・牧野設立、2015年オラガ総研設立、代表取締役に就任。著書に『なぜ、町の不動産屋はつぶれないのか』『空き家問題 ――1000万戸の衝撃』『インバウンドの衝撃』『民泊ビジネス』(いずれも祥伝社新書)、『実家の「空き家問題」をズバリ解決する本』(PHP研究所)、『2040年全ビジネスモデル消滅』(文春新書)、『マイホーム価値革命』(NHK出版新書)『街間格差』(中公新書ラクレ)等がある。テレビ、新聞等メディアに多数出演。

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