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牧野知弘の「どうなる!? おらが日本]#2 2018年日本の不動産はこうなる(5/5ページ)

牧野 知弘牧野 知弘

2018/02/20

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都心部のマンションも「都心居住」の浸透と言いながら実はその多くの需要はインバウンドマネーと富裕層だ。「金利」と「有事」に敏感な彼らがいなくなるとき、マンションマーケットが大きな影響を受ける可能性も考えなければならないだろう。

民泊新法の施行もよい側面ばかりではない。インバウンドが激増する中、新しい宿泊形態としての民泊の定着を望む声がある一方で、既存のホテル旅館業界からの猛烈な反発で、この新法は民泊を「促進」するどころか厳しく「規制」する法律になってしまったことはあまり知られていない。営業日数を極端に短くする動きなどはすでに京都などインバウンドの多い自治体でも公然と唱えられ始めている。

東京五輪が近づくにつれて、これまでニッポンを買ってきた外国人投資家はそろそろ「売り」の季節に入る。外国人は日本人とちがって別に日本に「想い」があって不動産を買っているわけではない。海外のいろいろな場所に投資を行い、ポートフォリオを組んでいる外国人投資家にとって、日本が「売り」と感じれば不動産はさっさと売って、他の有望な地域に買い替えるだけだ。逆に日本の投資家は逃げ場がない。逃げる外国人の背中を眺め立ち尽くすだけだ。

さて、全く異なる見方が並列する2018年不動産だがあわてる必要はない。不動産は読んで字のごとく動かすことができない財産だ。きちんと磨きをかけて中長期を見据えた確実な運用を続けることがいつの時代でも鉄則だ。くれぐれも投資マネーなどの移り気な空気に乗せられて行動しないように心したいものだ。

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この記事を書いた人

株式会社オフィス・牧野、オラガ総研株式会社 代表取締役

1983年東京大学経済学部卒業。第一勧業銀行(現みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループを経て1989年三井不動産入社。数多くの不動産買収、開発、証券化業務を手がけたのち、三井不動産ホテルマネジメントに出向し経営企画、新規開発業務に従事する。2006年日本コマーシャル投資法人執行役員に就任しJ-REIT市場に上場。2009年オフィス・牧野設立、2015年オラガ総研設立、代表取締役に就任。著書に『なぜ、町の不動産屋はつぶれないのか』『空き家問題 ――1000万戸の衝撃』『インバウンドの衝撃』『民泊ビジネス』(いずれも祥伝社新書)、『実家の「空き家問題」をズバリ解決する本』(PHP研究所)、『2040年全ビジネスモデル消滅』(文春新書)、『マイホーム価値革命』(NHK出版新書)『街間格差』(中公新書ラクレ)等がある。テレビ、新聞等メディアに多数出演。

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