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牧野知弘の「どうなる!? おらが日本]#2 2018年日本の不動産はこうなる(3/5ページ)

牧野 知弘牧野 知弘

2018/02/20

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「金利」と「有事」を甘くみてはいけない

世界情勢は目まぐるしく変動する。日本も例外ではない
一見すると死角がないかのように映る日本の不動産、実はかなり脆弱なシャシーなのに猛烈なスピードで突っ走るポンコツ車なのだとする見方もある。

こうした見方はおおむね以下5点に集約される。

1.「金利」と「有事」で逆回転となる不動産マーケット
2.需要なきオフィスビルマーケットでのテナント争奪戦の始まり
3.投資家不在で消えるマンションマーケット
4.民泊ビジネスの限界
5.逃げる外国人、立ちすくむ日本人不動産投資家

日銀によるマイナス金利政策の継続によって、資金を借りて投資を行う不動産投資にとってはこれほどの快晴状態はなかなかない。しかし、こうした低金利政策はすでに異常ともいえる長期間に及んでいる。

日本は安全だと多くの日本人は漫然と思っているが、戦争が終わってからわずか70年強。日本や世界の歴史を紐解くならば、むしろ平和が長く続くことのほうが歴史的には稀なのである。

「金利」と「有事」を甘く見ないほうが良い。2018年はこのどちらの要素も問題が勃発する可能性が高いからだ。いうまでもなくアメリカは度重なる利上げをすでに発表している。その影響が日本にとって円高に出るか円安に振れるかは専門家の間でも意見が分かれるが、日本の金利がこれ以上に下がる可能性は少ないといってよい。

金利の上昇は借入金に頼る不動産投資の世界には確実に効く効果的なパンチとなる。

北朝鮮のみならず世界中のどこでテロや戦争が起こってもおかしくない時代、日本だけが惰眠を貪れるはずはない。安全な国、日本というキャッチフレーズなどミサイル一本の着弾で粉々になるのだ。

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この記事を書いた人

株式会社オフィス・牧野、オラガ総研株式会社 代表取締役

1983年東京大学経済学部卒業。第一勧業銀行(現みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループを経て1989年三井不動産入社。数多くの不動産買収、開発、証券化業務を手がけたのち、三井不動産ホテルマネジメントに出向し経営企画、新規開発業務に従事する。2006年日本コマーシャル投資法人執行役員に就任しJ-REIT市場に上場。2009年オフィス・牧野設立、2015年オラガ総研設立、代表取締役に就任。著書に『なぜ、町の不動産屋はつぶれないのか』『空き家問題 ――1000万戸の衝撃』『インバウンドの衝撃』『民泊ビジネス』(いずれも祥伝社新書)、『実家の「空き家問題」をズバリ解決する本』(PHP研究所)、『2040年全ビジネスモデル消滅』(文春新書)、『マイホーム価値革命』(NHK出版新書)『街間格差』(中公新書ラクレ)等がある。テレビ、新聞等メディアに多数出演。

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