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不動産取引のプロが教える交渉術

中古マンションの値引き交渉を成功させる5つのポイント。交渉方法、タイミングは?(2/5ページ)

秋津智幸秋津智幸

2017/05/02

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<ポイント2>物件の種別を知っておく

中古マンションなど不動産物件は、その売り主によって大きくふたつに分けられます。個人が売り主の物件と、不動産業者が売り主の物件のふたつです。

まず、市場に売りに出ている中古マンションなど中古物件のほとんどは個人が売り主の物件と考えていいでしょう。個人の売り主から物件を購入する場合、通常は、不動産会社が取引の仲介を行なうため、取引が成立した際には不動産会社に仲介手数料を支払う必要があります。仲介手数料とは、不動産仲介会社に支払う成功報酬です(図表1)。


(図表1)一般的な不動産の売買取引

一方、不動産業者が売り主の物件ですが、その代表格は新築物件です。新築マンションや新築の建売住宅は、不動産業者が売り主となります。

最近では中古物件でも、不動産業者が売り主の物件が増えているようです。たとえば、不動産業者がマンションなどを安く買い取り、リフォームして再販売する“リノベーション物件”などがその代表格です。

不動産業者が売り主として販売する物件は、俗に「売主物件」と呼ばれます。この場合、不動産業者から直接購入することができれば、仲介手数料はかかりません。買い主にとってこれは大きなメリットと言えるでしょう(図表2)。



(図表2)売主物件を直接購入した場合

<ポイント3>「売主物件」は値引きしてもらえる可能性が高い

では、個人が売り主の中古マンションと、不動産業者が売り主の中古マンションでは、どちらが値引きに応じてもらいやすいのでしょうか。タイミングにもよりますが、不動産業者が売り主の中古マンションのほうが、値引きに応じてもらえる可能性は高いと言えるでしょう。

個人が売り主の場合、住宅ローンが残っているのであれば、その残債以下の価格では売れない、あるいは仲介手数料などの諸費用を売却代金から捻出するといった事情があり、「この価格を下回る金額では売却できない」という制約があるからです。しかも、個人の売り主にとっては、数十万円の値引きでも非常に大きな金額になりますから、心理的にも値引きに応じにくいと言えるでしょう。

逆に、不動産業者が売り主の場合は、基本的に事業として販売しているので、価格には利益や経費が盛り込まれています。事業ですから利益は取りたいですし、最低でもかかった経費分は取り戻したいと考えるものですが、決算期が近いなど事業の状況によっては赤字覚悟で売却する場合もあります。

先ほど、売主物件であれば仲介手数料はかからないとご説明しましたが、それはあくまでも売り主である不動産業者から直接購入した場合です。

不動産業者が売り主であっても、不動産仲介業者を介して売買契約を結んだ場合には仲介手数料が発生します。仲介手数料は、売り主である不動産業者も支払うことになるため、一般的には売主物件の多くには、経費として仲介手数料分があらかめ価格に上乗せされています(新築マンションの場合は、通常、販売代理の形になるため仲介手数料はかかりません)。

そのため、売主物件を売り主から直接購入する場合には、仲介手数料分を値引きしてもらえる可能性が高いと言えるでしょう。

不動産の仲介手数料は、宅建業法で物件価格の3%が上限と決められているので、通常、5000万円の物件なら150万円程度が上乗せされていると考えていいと思われます。仮に、手数料相当額の満額を値引きしてもらうのはむずかしいとしても、ある程度の金額の値引きは期待できるのではないでしょうか。


(図表3)売主物件は値引きに応じてもらえる可能性が高い

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この記事を書いた人

不動産サポートオフィス 代表コンサルタント

公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、AFP、ファイナンシャルプランニング技能士2級。 神奈川県住宅供給公社にて、分譲マンション、一戸建・宅地分譲、高齢者住宅等の新規不動産販売部門に従事した後、同社賃貸部門にて賃貸物件の募集、管理業務に従事する。その後、不動産投資専門の仲介会社を経て、不動産コンサルタントとして独立。 現在は「不動産サポートオフィス」の代表コンサルタントとして、自宅の購入、不動産投資、住み替え、融資など多岐にわたる不動産に関する相談・コンサルティングを行なう。その他、不動産業者向けの研修や各種不動産セミナー講師、書籍、コラム等の執筆にも取り組んでいる。 主な著書に、「貯蓄のチカラ~30歳からのおカネの教科書」(朝日新聞出版)、「失敗ゼロにする不動産投資でお金を増やす!」「賃貸生活A to Z」(アスペクト)がある。

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