ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

本当の悪者は誰なのか?

横浜の「傾斜マンション」問題、報道されなかった事実(2/4ページ)

岩山健一岩山健一

2016/08/12

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

過去にもあった欠陥マンション問題

まず、この三井住友建設という会社について、三井建設と住友建設が合併した会社であることは、社名を見れば誰もがおわかりのことと思いますが、実は、この2社はどちらも、過去にそれぞれ同じような欠陥マンション問題を引き起こしていることが判明しています。

まず住友建設は、福岡西方沖地震の際、福岡市中央区のマンションで、雑壁崩壊により住民が玄関から退避できない状況を招くという極めて危険な状況の被害を発生させています。その原因は、設計図に入っている耐震スリット(*)が正しく入っていなかったという施工ミスでした。

(*)耐震スリット:RC造の建築物の柱と壁の間に設けられた耐震用の建築材料や隙間のこと

そして、住友建設は、時の理事長(1級建築士)を黙らせ、訴訟を回避させました(確たる証拠はないのですが、被害に遭ったマンションの住人とこの件を追跡調査していたテレビ局の人から証言を得ています)。さらに、築5~6年の真新しいマンションであるにもかかわらず、補修費まで取ろうと画策したという経緯があります。

一方、三井建設は、耐震スリットが1カ所も入っていないという前代未聞の欠陥マンションを造っています。これは、耐震偽装問題を引き起こした浅沼・元二級建築士が設計したマンションで、三井建設は住人らの補修要求にも応じずに開き直ったため、住人から裁判を起こされました。この裁判は、和解により三井建設(和解当時は三井住友建設)の補修費用支払いが確定するに至っているものです。

このような2社が合併したからといって、問題がなくなるわけがないと私は思っていましたが、「パークシティLaLa横浜」の杭打ちデータ偽装事件は起こるべくして起こったものだといっても過言ではないかもしれません。

というのも、杭打ちデータ偽装事件のマスコミ報道の際、私の知り合いの記者たちが口々に「三井住友建設に取材陣がコメントを求めに行くと、チンピラまがいの担当者が喚き散らすので取材にならない」と言っていたのです。このことは、三井住友建設という会社の本質を示していると思われます。

次ページ ▶︎ | 早期に全棟建て替えの方針が決まった裏側

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

株式会社日本建築検査研究所 代表取締役

一級建築士 建築ジャーナリスト 大学で建築を学び、NHKの美術職を経て建築業界へ。建築業界のしがらみや慣習に疑問を感じ、建築検査によって欠陥住宅を洗い出すことに取り組む。1999年に創業し、事業をスタート。00年に法人化、株式会社日本建築検査研究所を設立。 消費者側の代弁者として現在まで2000件を超える紛争解決に携わっている。テレビ各社報道番組や特別番組、ラジオ等にも出演。新聞、雑誌での執筆活動も行なう。 著書にロングセラー『欠陥住宅をつかまない155の知恵』『欠陥住宅に負けない本』『偽装建築国家』などがある。

ページのトップへ

ウチコミ!