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業界の悪しきカルチャーを暴く(5)

不動産会社の「不安につけこむセールストーク」にご用心(2/2ページ)

大友健右大友健右

2016/03/21

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唯一のリスクは「売れない、貸せない物件」

こんな話をしてしまうと何を信じていいかわからなくなってしまいますし、この話そのものが読者のみなさんの恐怖心を煽る話になってしまうので、あわててつけ加えておきましょう。

不動産購入における最大のリスクは、「売れない、貸せない物件」をつかまされることです。

どんなに素晴らしい家を購入したとしても、失業や離婚、転勤といった事情でその家に住み続けられなくなるリスクはあります。しかし、そうしたリスクは、「家を売却する」あるいは「人に貸して維持する」という方法でほとんどが解決してしまいます。「売れる、貸せる」というカードは、リスク回避に最大の効果を発揮するのです(災害リスクの回避には、保険対策が適切なのはいうまでもありませんね)。

その反対に「売れない、貸せない物件」は、ちょっとしたリスクに直面しただけで住宅購入者を悲惨な状況に追いやってしまいます。誰も買ってくれない、借りてくれないような物件は、競売にかけられるか、一戸建てであれば建物を取り壊して土地価格にして処分するしかありません。そして、ほとんどの場合は、家を失ったうえに多額のローンだけが残るという悲惨な結末が待っているのです。

ただ、ここでよく考えてほしいのは、その物件が問題の「誰も買ってくれない、借りてくれない物件」かどうかを見分けるのは、プロである不動産会社の人間だけなのかということです。「不動産の専門知識がなくても、そんなことくらい少し勉強すればわかるはず」、そう思う人のほうが多いのではないでしょうか。

確かに家を購入するということは、一世一代の買い物です。不安を感じない人はいないでしょう。でも、本当に不安を感じるべきは「売れない、貸せない」ということだけだと考えてみると、恐怖心に訴えるような営業トークには惑わされずにすむのではないでしょうか。

今回の結論
・住宅購入は大きな買い物。購入時に不安を感じない人はいない。
・そのため、不安を煽るような営業トークに説得力を感じてしまう人は多い。
・ただし、唯一のリスクは「売れない、貸せない物件」をつかまされること。
・唯一のリスクを知っておけば、不安につけ込まれることはないはず。

 

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この記事を書いた人

株式会社ウチコミ 代表取締役 株式会社総研ホールディングス 代表取締役 株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役 1972年生まれ。大手マンション会社で営業手法のノウハウを学んだのち、大手不動産建設会社に転職。東京エリアにおける統括部門長として多くの不動産関連会社と取引、不動産流通のオモテとウラを深く知る。 現在、株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役として、住宅リフォームを中心に事業を展開。また、株式会社ウチコミ 代表取締役として、賃貸情報サイト「ウチコミ!」を運営。入居の際の初期費用を削減できることから消費者の支持を集める。テレビ・新聞・雑誌などメディア出演も多数。

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