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団体信用生命保険や住宅ローン控除にも影響あり

夫婦で収入合算して住宅を購入するときの注意点は?(4/4ページ)

秋津智幸秋津智幸

2016/02/07

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住宅ローン控除の扱いは?

次に、住宅ローン控除(正式名称は、「住宅借入金等特別控除」)ですが、これは、一定の基準を満たす住宅ローンを一定の期間内に借りた場合、年末時点のローン残高に対して一定割合の税金(所得税)が控除されるというものです(対象となる住宅やローンの借り入れ時期によって条件は異なります)。

たとえば、要件を満たす住宅を平成27年1月に住宅ローンを借りて購入し、平成27年12月末時点でローン残高が2500万円であった場合、20万円が税額で控除(その年の所得税の支払いが20万円に満たない場合は、還付)されるというものです(この例の時期だと、年末ローン残高の1パーセント、かつ控除額は最大20万円)。

この住宅ローン控除の適用も、収入合算の従たる債務者の形式で異なってきます。上記の「ペアローン」と「連帯債務者」の場合は、上の例でいえば、妻も自分の所得税に対して適用できますが、「連帯保証人」となる場合には、妻に収入があって、合算で借りていても住宅ローン控除は使うことができません。

「持分」にも注意が必要

最後に、収入合算では住宅の「持ち分」((区分)所有権の持ち分の割合)についても注意が必要です。

夫婦以外の収入合算であれば必ず、夫婦であっても後々のことを考えると、きちんと持ち分を適正に振り分けておく必要があります。簡単にいってしまえば、「所有権の割合を、お金を出した割合に合わせて登記する」ということです。

たとえば、4000万円のマンションを夫が頭金500万円、妻が500万円、収入合算で3000万円を借りたとしましょう。夫の年収が500万円、妻の年収が300万円で収入全額の合算だった場合、夫のローン割合は1875万円、同じく妻が1125万円となり、頭金と合算して夫が2375万円、妻が1625万円を住宅購入費として出したことになります。

この場合、夫の持ち分は59.375%、妻の持ち分は40.625%となり、ざっと夫:妻=6:4の持ち分となります(厳密に細かい割合で登記することもできます)。

一般的に夫婦間のお金の拠出については、同一家計で、妻名義の口座に貯蓄を集中させているなど実態の事情も考慮して、税務署も比較的ゆるく見ていますが、夫婦でも行き過ぎた持ち分操作や夫婦以外の収入合算で持ち分をきちんとしない場合は、贈与税の対象となり、思わぬ税金が発生することがありますので、注意が必要となります。

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この記事を書いた人

不動産サポートオフィス 代表コンサルタント

公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、AFP、ファイナンシャルプランニング技能士2級。 神奈川県住宅供給公社にて、分譲マンション、一戸建・宅地分譲、高齢者住宅等の新規不動産販売部門に従事した後、同社賃貸部門にて賃貸物件の募集、管理業務に従事する。その後、不動産投資専門の仲介会社を経て、不動産コンサルタントとして独立。 現在は「不動産サポートオフィス」の代表コンサルタントとして、自宅の購入、不動産投資、住み替え、融資など多岐にわたる不動産に関する相談・コンサルティングを行なう。その他、不動産業者向けの研修や各種不動産セミナー講師、書籍、コラム等の執筆にも取り組んでいる。 主な著書に、「貯蓄のチカラ~30歳からのおカネの教科書」(朝日新聞出版)、「失敗ゼロにする不動産投資でお金を増やす!」「賃貸生活A to Z」(アスペクト)がある。

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