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東京はホールド、大阪と名古屋については売り気配が先行中――コロナ本格反映の「地価LOOKレポート」(2/3ページ)

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商業施設や店舗の収益性の低下が地価を押し下げる

ここで目をひくのは、やはり商業系地区での下落数だ。今回のレポートでは、「平成23(11)年第4四半期以来となる、3%以上の下落地区が生じた」こともトピックとなっている。その「顔ぶれ」を見ていこう。

・東京 新宿区 歌舞伎町
・東京 台東区 上野
・金沢市 金沢駅周辺
・名古屋市 中区 栄南
・大阪市 北区 茶屋町
・大阪市 中央区 心斎橋
・大阪市 中央区 なんば
・神戸市 中央区 三宮駅前


「商業系地区」で下落した歌舞伎町/©︎cittadinodelmondo・123RF

東京の2地区や、大阪の心斎橋、なんばといったところでは、インバウンド(訪日外国人客)の激減による影響が色濃くうかがえる状況だ。その他の地区においても、外出自粛などによる商業施設や店舗の収益性の低下が、地価を押し下げていることが明白である。

気になる東京、大阪、名古屋のコントラスト

加えて、気になる点は東京、大阪、名古屋、三大都市圏のコントラストだ。ちなみに、冒頭に記した唯一の「上昇」商業系地区は、宮城県仙台市の「中央1丁目」。そのため、東京圏、大阪圏、名古屋圏ともに、上昇地区は存在しない。その内訳はどうか。

[東京圏]
横ばい …38地区
0%超3%未満の下落 …3地区
3%以上6%未満の下落 …2地区

[大阪圏]
横ばい …8地区
0%超3%未満の下落 …13地区
3%以上6%未満の下落 …4地区

[名古屋圏]
横ばい …0地区
0%超3%未満の下落 …8地区
3%以上6%未満の下落 …1地区

このように、上昇地区はなくなっても、横ばいが大きな割合を占める東京圏に比べ、下落地区が全体の半分以上を占める大阪圏、全地区が下落の名古屋圏の対比が目立つ格好となっている。すなわち、投資言葉でいうならば「東京はホールド、大阪と名古屋については売り気配が先行中」といったところか。

事前に予測されてはいたが、新型コロナウイルスの影響は、日本の地価にもはっきりと影響を及ぼし始めている。ただし、国交省は今回のレポートにこんなコメントを添えている。

「リーマンショック時の地価下落の主因となった、マンションやオフィスの需給バランスに大きな変化は見られていない」

さらにこうした見方も記している。

「需要者の様子見など取引の停滞が広がる(状況が見られる)」

いずれも「まさに」、といったところか。

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