ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

ようやく回復傾向の兆しか

コロナの足かせ重い「商業地」地価がやっと離陸?——「地価LOOKレポート」令和3年第4四半期分(1/2ページ)

朝倉 継道朝倉 継道

2022/03/09

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

イメージ/©︎maroke・123RF

コロナ後7度目のレポートが公表

国土交通省の「地価LOOKレポート」(主要都市の高度利用地地価動向報告)令和3年第4四半期分(21年10月1日~22年1月1日)が、2月22日に公表されている。いわゆる「コロナ禍」の影響を期内すべてにわたって受けているものとしては、今回が7度目のリリースとなる。いくつか注目される内容をピックアップしていきたい。

なお、地価LOOKレポートは、公示地価・路線価・基準地価のいわゆる3大公的地価調査に次ぐ第4の指標として、他の3者にはない年4度の頻繁な更新をもってわれわれに日本の土地の価値にかかわる方向性を指し示してくれるものだ。

【「地価LOOKレポート」関連記事】
ドーナツ化する東京・大阪の商業地地価 消えゆくハマトラの思い出——「地価LOOKレポート」令和3年第3四半期分
「コロナ禍モード」を脱せない商業地が東京と大阪に集中——国交省の「地価LOOKレポート
コロナ禍を乗り越え、地価がふたたびキタ?——「住高商低」の「地価LOOKレポート
コロナ下での国交省「地価LOOKレポート」第3弾——上昇地区が増加するも、下落も高水準
国土交通省が完全コロナ下での「地価LOOKレポート」第2弾を発表——リーマンショック直後との違いは何か
東京はホールド、大阪と名古屋については売り気配が先行中——コロナ本格反映の「地価LOOKレポート」

特徴としては、地価の動向を表す9種類の矢印や、多用される表や地図により、内容がとても把握しやすい点が挙げられる。ただし、3大公的地価調査とは違い、土地の価格そのものが示されるわけではない。地価のトレンドを調査し、分析する内容の報告書だ。

全国100箇所の調査対象地区すべてにつき、不動産鑑定士による具体的なコメントも添えられている。それぞれのエリアの実情を理解するうえで大きな助けとなるだろう。

留意すべき点として、地価LOOKレポートは全国の主な都市部の地価にのみ対象を絞っている。正式名称「主要都市の高度利用地地価動向報告」が示すとおりとなる。

商業系地区が「回復の空」へいよいよ離陸?

今回の地価LOOKレポートのトピックとしては、一番に、商業系地区における地価の全国的な回復傾向がやっと見えてきたことが挙げられるだろう。過去10期分の推移を掲げてみたい。

このとおり、まずなんといっても目立つのが、コロナ前の状況からコロナ下1期目にかけての数字の移り変わりだろう。上昇地区の数は66から一気に1まで減り、下落地区は0から33に増えている。さらに、その翌期(20年第3四半期)には下落地区は39に達し、結果的にはこの期のデータが今回のコロナ下における下落のピークとなっている。

そのうえで、今期は前々期、前期と増え続けていた下落地区が大きく減少に転じ、同時に上昇地区が大きく増加した。「商業地地価、回復の空へいよいよ離陸か?」と、いったところだろう。もっとも、コロナ禍自体は終わっておらず、依然継続中だ。よって、以上はあくまで現時点に限ったうえでの観望となる。

次ページ ▶︎ | 住宅系地区は「コロナ前」にほぼ持ち直しか

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

コミュニティみらい研究所 代表

小樽商業高校卒。国土交通省(旧運輸省)を経て、株式会社リクルート住宅情報事業部(現SUUMO)へ。在社中より執筆活動を開始。独立後、リクルート住宅総合研究所客員研究員など。2017年まで自ら宅建業も経営。戦前築のアパートの住み込み管理人の息子として育った。「賃貸住宅に暮らす人の幸せを増やすことは、国全体の幸福につながる」と信じている。令和改元を期に、憧れの街だった埼玉県川越市に転居。

ページのトップへ

ウチコミ!