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ようやく回復傾向の兆しか

コロナの足かせ重い「商業地」地価がやっと離陸?——「地価LOOKレポート」令和3年第4四半期分(2/2ページ)

朝倉 継道朝倉 継道

2022/03/09

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住宅系地区は「コロナ前」にほぼ持ち直しか

一方、全国の住宅系地区を見ると、商業系地区に比べ、コロナ・ショックからの回復傾向は前期までに変わらず著しく、現在はほぼコロナ前の状態に戻りつつあるといっていい。こちらも過去10期分の推移を掲げてみよう。

ちなみに、コロナ前2期においての上昇31地区には、上昇幅が「3%以上6%未満」と比較的大きな地区がそれぞれ3地区含まれている。一方、今期にあっては全てが(30地区)「0%超3%未満」に留まっている。それでも、ざっと眺めてのところをいえば「コロナ前に肉迫・ほぼ持ち直し」といった状況だ。

東京圏・大阪圏・名古屋圏と沖縄那覇

次に、三大都市圏の様子を見てみよう。住宅系地区・商業系地区、両方を合わせた数字となる。

このとおり、名古屋圏ではすべてが上昇地区となった。一方、減少してはいるものの東京圏、大阪圏においては下落地区がいまだに多い。

なお、東京圏には東京都のほか埼玉・千葉・神奈川の各県が含まれるが、下落7地区はすべてが東京都区部にあり、かつすべてが商業系地区となっている。

また、大阪圏もこれに状況が近く、下落5地区のうち4地区は大阪市内の商業系地区となる。残り1地区は兵庫県神戸市の三宮駅前で、やはり商業系地区となる。

そうしたわけで、これら三大都市圏の明暗に関しては、繰り返し言われていることだが、コロナ禍によってインバウンド=訪日客需要が根こそぎ失われ、その影響が一部商業地地価に深く及んだことが大きい。そうした傾向が特に顕著とされる大阪、次いで東京に対し、名古屋においてはそうではなかったことがうかがえる以上の結果となっている。

なお、同じことは、沖縄県那覇市の商業系地区(県庁前)における下落が今期で6期連続していることに対してもいえるだろう。添えられた不動産鑑定士によるコメントは以下のようになっている。

「当地区では観光市場の動向が重要であり、新型コロナウイルス感染症の影響により外国人観光客の来沖は当分の間見込むことができない――(略)――当期の市況が当面続くと見込まれることから、将来の地価動向はやや下落傾向が続くと予想される」

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この記事を書いた人

コミュニティみらい研究所 代表

小樽商業高校卒。国土交通省(旧運輸省)を経て、株式会社リクルート住宅情報事業部(現SUUMO)へ。在社中より執筆活動を開始。独立後、リクルート住宅総合研究所客員研究員など。2017年まで自ら宅建業も経営。戦前築のアパートの住み込み管理人の息子として育った。「賃貸住宅に暮らす人の幸せを増やすことは、国全体の幸福につながる」と信じている。令和改元を期に、憧れの街だった埼玉県川越市に転居。

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