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ドーナツ化する東京・大阪の商業地地価 消えゆくハマトラの思い出 「地価LOOKレポート」令和3年第3四半期分(2/2ページ)

朝倉 継道朝倉 継道

2021/11/26

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名古屋の堅調

先般9月21日に公表された令和3年都道府県地価調査による調査結果、いわゆる基準地価でも、コロナ禍モードからの「名古屋の復調」はトピックのひとつとなっていた。

これについては、コロナ禍によってインバウンド=訪日客需要が根こそぎ失われ、その影響が商業地地価へのダメージとして特に大きかった大阪や、それに次ぐ東京に比べて、名古屋ではその特徴が薄かったことを要因と見る分析が多い。

そこで、今回の地価LOOKレポートでの名古屋の様子も見てみよう。

さきほどの東京都区部では17地区中上昇地区が1地区に留まり、さらに大阪市内では9地区中0地区となっていたのと比べると、基準地価同様、名古屋の堅調ぶりがここでもよく表れている。

「ハマトラ」もすでに忘れられた言葉に?

ここ数年の地価LOOKレポートを眺めながら、首都圏のある地区の孤立した動きがいつも気になっている人、意外に多いかもしれない。神奈川県横浜市の元町地区だ。

かつては全国に鳴り響いた「ハマトラ」の語を生み出すなど、ヨコハマの象徴的なファッション&ブランドエリアだった元町だが、近年は衰退を囁かれることが多い。

コロナ禍以前の全国的な都市部地価上昇期にあっても、取り残されたように元気が無かったが、コロナを機にさらにその様子が深まった。

横浜市内および神奈川県内の他の商業地区(横浜駅西口・みなとみらい・川崎駅東口・武蔵小杉)の地価が目下4四半期連続の上昇を示しているのに対し、ひとり寂しく7期連続の下落となっている。

このことについて、一応目に見える理由としては、横浜市中心部における商業地活性化の重心が、近年大きく北西側(鉄道路線的には東京寄り)にシフトしたことが挙げられるだろう。

しかしながら、おそらくはそれだけにとどまらず、さらに複合的な要因が元町衰退の水面下には隠れている可能性が高いようにも思われる。

西では、街の規模には差があるものの元町とはいくつか似た要素をもつ神戸市・三宮駅前地区が同様の動きを示している。こちらは6期連続の下落だ。

これらは、日本の東西を代表する港湾都市の著名な商業エリアで起きている類似した現象として、興味深い考察の対象ともなるはずだ。

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この記事を書いた人

コミュニティみらい研究所 代表

小樽商業高校卒。国土交通省(旧運輸省)を経て、株式会社リクルート住宅情報事業部(現SUUMO)へ。在社中より執筆活動を開始。独立後、リクルート住宅総合研究所客員研究員など。2017年まで自ら宅建業も経営。戦前築のアパートの住み込み管理人の息子として育った。「賃貸住宅に暮らす人の幸せを増やすことは、国全体の幸福につながる」と信じている。令和改元を期に、憧れの街だった埼玉県川越市に転居。

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