【インタビュー】離婚・再婚から拡がる家族 ー それぞれの家庭を尊重するあらたなカタチ(2/3ページ)
しばはし聡子
2019/01/22
■前向きになれた経緯、やってよかったという思いをお聞かせください。
前向きになれたきっかけは臨床心理士の先生に思いがけず相談できたことです。そして「子どもは泣くものだよね。(嬉しくても悲しくても。)」と言われて、子どもの涙に振り回されていたらダメだって、ハッと気付きました。
帰りたくないくらい楽しく過ごせたことは良いことだし、それを保ち続けることが大切なのに、それを諦めたら、子どもが本当に悲しい思いをするのじゃないかと。ほんの一言だったんですけど、腹が決まりました。私も大泣きしてたんですがけろっと。離婚してもしてなくてもこういうことはありますよね。
やってよかったことは、やっぱり、子どもが「自分にはパパがいない」とは思っていない、とか、一緒に住んでいなくても親子・家族として大切にする様子が見られることです。「家族」や「離婚」に対して悲観的じゃない感じがします。
■お相手がどんなことをしてくれたらうれしいですか。
シンプルに、子どものことを気にかけてもらいたい…ですね。本当は色々期待はずっとあったんですが、かなり叶いませんでした(苦笑)。
養育費をずっと払ってほしい、子どもの勉強や苦手なことを応援してほしい、自転車の補助輪外しをサポートしてほしい…とか。どうもイクメンタイプじゃないようなので全然です。だけど子どもがささやかでも「嬉しい」と思えることが得られるなら、してやってほしいなと。
いつだったか、実父の今の奥様が、子ども用に部屋着を繕ってくれてたんです。アロハな感じのを。子どももすごく嬉しかったようです。ここに居ていいんだねって思える感じですよね。
■共同養育はどんなメリットがありますか。子どもはもちろんご自身にとっても良いことがあれば教えてください。
うまくいかない間柄では、理想的な協力関係は確かに難しいんですけど、理想じゃない方法であっても、個別に子どもとの関係を維持できていることが、意外に雑草的なつながりを感じるようになりました。
定型の家族とは異なるのだけど、形じゃなく、温かな良い経験が子どもの内面を支えている気がします。部屋着だけじゃなく、先方のおばあちゃんがお世話してくれたり、地元の友達と遊んだり、異母弟が慕ってくれたりが、子どもの居場所を作ってくれてるように思います。私は、そんな子どもの居場所を奪わずに済んだこと、それが救いですね。
この記事を書いた人
一般社団法人りむすび 共同養育コンサルタント
1974年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。自身の子連れ離婚経験を生かし当事者支援として「一般社団法人りむすび」を設立。「離婚しても親はふたり」共同養育普及に向けて離婚相談・面会交流支援やコミュニティ運営および講演・執筆活動中。 *りむすび公式サイト:http://www.rimusubi.com/ *別居パパママ相互理解のオンラインサロン「りむすびコミュニティ」 http://www.rimusubi.com/community *著書「離婚の新常識! 別れてもふたりで子育て 知っておきたい共同養育のコツ」️