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最近よく聞く「住み開き」とは?

都会と田舎はどう違う? 住まいのプライバシー感覚と心地よい暮らしのつくり方(2/4ページ)

馬場未織馬場未織

2017/08/10

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家のなかにも境界線は存在する

ところで、住まいのプライバシー感覚とは、単純に「住まいの内と外」で分けられているものだと思われがちですが、実は人それぞれ、地域それぞれに特質があることに気づきます。

たとえば、「よほどのことがないと玄関先以外に人は入れたくない」「友人知人でも、招き入れるのはリビングまで」という人がいれば、逆に「リビングにはよく家族以外の人も集っている」という人もいるでしょう。

単純に「住まいの内と外」という境界線だけでなく、住まいのなかにもまた、大事にしたい境界線があるのです。

家族間でも快適な暮らしについての感覚は違っている

また、閉ざされた暮らしが窮屈に感じる人と、オープンな環境では落ち着かない人とがいて、どれが正解というわけではありません。

それは本当に個人に属する感覚ですので、家族間でも違いがあることが多々あります。

夫は自宅を「みんなの寄り合えるオープンスペース」のようにして人を招き入れるのが好きでも、妻は「家族以外の人がいるとくつろげない」と不満がたまる、という話はたまに聞きます。

家の窓回りの状態ひとつとっても、落ち着く状態がみな一緒とは限りません。「昼間は開け放って光を入れたい」「夜も外が見えるほうが気持ちいい」という嫁に対し、「人から見られる状態は不用心」といつでもカーテンを引きたがる姑、という地味な闘いが繰り広げられることも。

感覚の違いについて追求することで幸せはなかなか生まれませんが(笑)、“自分にとって心地よい境界のつくり方”は、“幸せな暮らしのつくり方”と、ある意味同義だと言っても過言ではないでしょう。

以下にいくつか、境界のつくり方の例を示してみます。

あなたの住まいの境界感覚は、どのあたりにあるでしょうか?

次ページ ▶︎ | <例1>敷地境界線の内側は完全プライベート、外側はパブリック

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この記事を書いた人

NPO法人南房総リパブリック理事長

1973年、東京都生まれ。1996年、日本女子大学卒業、1998年、同大学大学院修了後、千葉学建築計画事務所勤務を経て建築ライターへ。2014年、株式会社ウィードシード設立。 プライベートでは2007年より家族5人とネコ2匹、その他その時に飼う生きものを連れて「平日は東京で暮らし、週末は千葉県南房総市の里山で暮らす」という二地域居住を実践。東京と南房総を通算約250往復以上する暮らしのなかで、里山での子育てや里山環境の保全・活用、都市農村交流などを考えるようになり、2011年に農家や建築家、教育関係者、造園家、ウェブデザイナー、市役所公務員らと共に任意団体「南房総リパブリック」を設立し、2012年に法人化。現在はNPO法人南房総リパブリック理事長を務める。 メンバーと共に、親と子が一緒になって里山で自然体験学習をする「里山学校」、里山環境でヒト・コト・モノをつなげる拠点「三芳つくるハウス」の運営、南房総市の空き家調査などを手掛ける。 著書に『週末は田舎暮らし ~ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記~』(ダイヤモンド社)、『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』(共著・学芸出版社)など。

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